ふりかえって鶴見俊輔

…大衆として行動するときの仲間がなつかしいだけでなく、その中から、時代を経てするりとぬけて、個人として立つ人がなつかしい。

マスではなく、エンド・ピースとして。

八十三年生きた。自分を、時代から抜け落ちたエンド・ピースとして見るとき、私の生きている同時代に、ひとりの個人としても面影を、私の中に今も残している人びとのことを書きたかった。


from  鶴見俊輔:『回想の人びと (ちくま文庫)』:p304)

回想の人びと

回想の人びと (ちくま文庫)

鶴見俊輔(著)
2006年2月10日
筑摩書房
760円+税

エンド・ピースとは端っこの部品のことであるけれど、例えば、時計のブレスレットなら、ブレスレトのコマの内で、もっともケースに近いコマのことをエンド・ピースという。それは力が集中するために、強度が要求される。