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2019年03月03日|お知らせ



『ポピュリズムへの反撃―現代民主主義復活の条件』 山口二郎を読む。

 ポピュリズムへの反撃―現代民主主義復活の条件

ポピュリズムへの反撃 現代民主主義復活の条件 (角川oneテーマ21)

山口二郎(著)
2010年10月10日
角川書店
724円(+消費税)

午前6時45分起床。浅草は雨。今日は日中の気温が5℃にしかならないそうで、春には、まだ一ヶ月は早いのか、とひとりごちる。

ポピュリズムの反撃

これも北海道のA木さまネタ※1で、山口二郎氏の『ポピュリズムへの反撃』である。こちらは『デフレの正体』に比べれば格段に読み易く、余計な苦労をしなくても済んだ。

つまりこれは、『公共事業が日本を救う』 を語るとき、ベースにするというA木氏の考えが、よく分かるような気がするのである。 

「生活者の政治」が生活を壊す

例えば、山口先生は、自らパリで生活した経験をこう書いている。

フランスは、アメリカ型の資本主義とは一線を画してきました。もちろん、フランスにもカルフールやモノプリという大きなスーパーマーケットのチェーンがあり、これを利用する人が多いことも確かです。それにしても、個人経営の店を一層するなどという愚かなことはしていません。また、日曜日はほとんどの店が休み、そこで働く人は、まさに自分の生活を大事にしているのです。

これは「街的」の事だろう。「街的」が、日本では消えうせてゆくことの哀しさを書いている(と思う)のだが、それは、江弘毅が京都精華大の「まちづくり論」の講義をしている時に聞いた、フランス人の学生の言っていたことと同じである。※2

フランスや他の国では、日曜日や休日に店が閉まっている。それだけで、人々は、暇な時間が出来ると、どうのように過ごせばよいか考えざるをえない状況におかれている。つまり、消費者以外の立場に立つのは、社会に強制的に進められている体験である。一方、日本や米国などでは、日曜日や休日になると、少しでも暇な時間が出来ると、毎日のように、当たり前に、買い物しに行くことは多い。日本では、「24時間・年中無休」と書いてある看板が多いが、よく考えると、店側だけでなく、市民側も、一日・一年中、消費者という立場に閉じこめられている。

山口先生は、「大型店舗を野放しにして町の中心部を空洞化させた日本の都市と、個人経営の店を守り中心市街地が活気を保っているパリと、どちらが生活者の町でしょうか。くり返しになりますが、生活社の政治とは、働く場と消費する場を両方とも守る政治です」といっている。

これは、小泉構造改革の、規制緩和、民営化、歳出削減等を批判している訳だが、(小泉構造改革とは)「街的」の本格的な総崩れなのである。

小泉構造改革の反省を望む

だから、藤井聡先生には小泉構造改革からの議論を望むのだ。

しかし、議論しても仕方がない、と言われれば、そうかもしれず、けれど、『公共事業が日本を救う』のだから、大規模な一過性の工事ではなく、地方の地域社会を守るべく、ある程度の公共事業費は確保して地方の雇用のボトムを支えるべきである、と思う。

まあこんな風に書くのだが、小泉構造改革批判なんて、この本では一部のことにしか過ぎず、ここのところの政治ついて(あたしにしてみれば)正しい見方が書いてある。

ただ、あたしと徹底的に違うのは、山口先生は民主党指示者である、ということか。 

※注記

  1. 北海道のA木さまより、地場建設業は?とのコメントがきた。 参照
  2. 浅草・桃知利男 岸和田・江 弘毅の「浅草←→岸和田からワシらも考える」|いっつも消費者でおったら、しんどいやろ。 参照
  3. 北海道のA木さまより、地場建設業は?とのコメントがきた。 参照

Written by 桃知利男のプロフィール : 2011年02月28日 13:58: Newer : Older

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コメント

 お返事が遅くなりました。大変申し訳ございません。あっという間に3月7日が近づいてきました(汗)

 まだ、考えがまとまりませんが、当日までにいくつかのキーワードを導き出し、豊かな生活空間を手にするための公共事業を議論できればと思っています。よろしくお願いします。

 ステレオタイプの論調に流されず、もう一度立ち止まって自分の頭で物事を考えるきっかけになればとも思っています。

投稿者 北海道のA木 : 2011年02月28日 15:16

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