徳もり徳もり


徳もり

午前5時10分起床。浅草はくもり。「徳もり」である。「得もり」でもなく、「特もり」でもなく、「徳もり」なのなのである。これを手繰った。場所は上野の森さくらテラスにある「喜乃字屋」である。「喜乃字屋」では「おおもり」をもらったことがあるが、その量の少なさにがっかりさせられた覚えがある。これは500gと謳っているが、500gは一昔前なら食べられないような量であった。しかしだ、今は全然平気なのだ。蕎麦は500gでも600gでも食べることができる(但し、蕎麦だけ、つまり100%の蕎麦粉だけだが)。

その蕎麦粉100%の「徳もり」という看板が出ていれば手繰らぬ訳にはいくまい(と思った)。800円と云う値付けは少々高いが、押出式製麺機から造り出されたその蕎麦が、あたしに食ってくれ、と云っているようだ。出てきた蕎麦を目の前にして思う、これなら充分だと。

猪口は二つだ。これは「ねぎどん」と同じである。なぜかやるな、と思う。汁は如何しても多い方がいいのだ。蕎麦のさきっちょだけを汁につけて手繰るのが江戸人の粋だ、という人達が多いけれども、少し甘い汁にたっぷりと蕎麦を付けて手繰りたい(とあたしは思う)。そう、あたしは江戸の人ではないのである。

手繰ると蕎麦は少々茹ですぎであった。くたびれて立っていられなくなっている。蕎麦が自重で押しつぶされているのだ。あはは、と笑うが、これが茹ですぎの大きな欠点だ。この茹ですぎと丁度良い、の加減は紙一重であるが、茹で過ぎの蕎麦は今一であり、この蕎麦はもう少しだけ茹で時間を短くしてくれたら、押出式製麺機を使う店の蕎麦としてはかなりうまいものとなっただろう。いや残念至極、とだけれども全部食べるこの腹減りマシンの意地の汚さよ。

徳もり

看板

喜乃字屋
東京都台東区上野公園1-54 上野の森さくらテラス1F