白老牛のスキヤキ白老牛のスキヤキ


白老牛のすきやき

午前6時45分起床。浅草は晴れ。これは砂子さんからの贈り物で白老牛のスキヤキ用の牛肉である。スキヤキ用の牛肉となれば即「すき焼き」にするのが内の流儀である(たぶん何処でもそうだろうが)。この日は例によってあたしが鍋奉行をやるのであるが、それは10月始めの「岩泉まつたけのスキヤキ」以来のことだ。年に2度も鍋奉行をやるとは珍しい(それだけ「すきやき」なんて食べられないのである)。肉は全部で10枚、あたしと家人が2枚ずつ、残りは息子にあげることで早速焼き始めたのだ。

食べると当然にうまい。うちの「すきやき」は、浅草で云うところの「牛鍋」であり、割り下で牛肉とザクを煮るというよりは焼くのである。ただし最初だけは、牛脂をひいて、ねぎを焼き、それから肉にさっと火を通し、さらに少量の割り下で少し焼くのである。それを溶き卵で食べるのだ。それが一番うまい。抜群である。つまり最初が一番うまいのだが、今回は次の次の肉も抜群にうまかったのだ。

こうなるとあたしも家人も最初の約束は何処かに忘れてしまっている。ただ楽しく食べるのである。それでもこの肉やっぱり3枚で腹ができ上がってしまうのだった。どうした訳か強烈な満腹感に襲われるのである。高い和牛など、滅多なことでは口にできない我が家では尚更なのだ(たぶん)が、甘辛い割り下の影響かもしれない。ザクだけでも充分にうまいこの「すきやき」を食べながら、「スキヤキ」「すき焼き」と同じ音の同じ意味の言葉を並べ、やっぱり日本語はおもしれぇわ、と思っている58歳の冬なのだ。

白老牛のスキヤキ用の牛肉