浅草寺の神木・いちょう浅草寺の神木・いちょう


浅草寺の神木・いちょう

午前6時10分起床。浅草はくもり。これは昨日の朝撮った写真で「浅草寺の神木・いちょう」である。何故にこの写真が欲しかったのかと云えば、2月11日のあたしの講演の為にだ。その講演の中で「都市のすきま」(『〈想像〉のレッスン』 2005年:鷲田清一より引用)と云うものを少し出すのだが、その三つの要素である「古木、寺社、場末」を紹介する為に写真が欲しかったのだ。

つまり古木の写真を撮りに出掛けたのである。自転車で5分たらずの場所に、こうしてあたしの時間感覚の外にあるものが立っているという事実。実際の年齢は800年位だと思うが、あたしの知らない時代、例えば第二次世界大戦の記憶をこの木は肌に残している。つまり、この「古木」の生はあたしの持っている時間軸を遙かに凌駕する時間を宿している。

あたしはほぼ毎日浅草寺を通る。この「古木」の前を当然の様に自転車で走っている。ただこの「古木」の事を考えたりはしなかった。だけど今、この「古木」を前にすれば、明らかに自分と云うものが違って見える(ような気がする)。時間のスケールがちょっと変わる。キアムス図式のトリックスターのようにだ。これは明らかに妖しい感覚だ。ちょっと恐いけれど、恐いが故に惹きつけられる。それは「別の世界」への想像を駆る「都市のすきま」だ。

浅草寺本堂東南に位置するこのいちょうは、源頼朝公が浅草寺参拝の折、挿した枝だから発芽したと伝えられる。昭和5年に当時の文部省より天然記念物に指定されたが、昭和二十年三月十日の戦災で大半を焼失した。今は天然記念物の指定は取り消されたが、あの戦災をくぐり抜けた神木として、今も多くの人々に慕われている。 金龍山 浅草寺

浅草寺の神木・いちょう

浅草寺
東京都台東区浅草二丁目3-1