どぜう鍋まる


まる

午前5時起床。浅草は晴れ。なんの変哲もない「まる」(どぜう鍋)だ。村上さんとの午前中の仕事を終え、「浅草らしくどぜう鍋なんてどうですかねぇ」、という(村上さんの)言葉にハッとして、めでたく「どぜう飯田屋」で昼餉にすることになった。ランチだというのに、あたしはビールをオーダーし、村上さんと家の家人と息子はご飯を食べる人となった。村上さんは(あたしが薦めたのにもかかわらず)、呑んだらフラフラになってしまいます、と呑まなかった。

しかし「まる」はいつになくうまい(というか、うまく食えるようになった己の身に驚いた)。この普通の「どぜう鍋」が、なぜか泥のにおいもかぐわしく、骨も完全に食えるようになって出てくるのだ。そして、鍋に「どぜう」を入れたら葱も大量に入れてやる。そうしている内にあっという間に汁が沸騰してくるのだ。そしたら「さあ!食え!」なのである。そして、二杯目はごぼうをプラスしてまた炊くのである。勿論葱は忘れない。

さらには豆腐だけをいれて炊く。割り下が塩辛くなく、これが豆腐を煮るには丁度いいあんばいなのだ。まかないのおばさんたち(だいぶ歳をとっているが)の働く姿は年なりなのだが、これを恨む人もいない。みんなそれぞれ勝手にやっている。おばさんたちが遠くで見ているようで見てはいない。統べては店の都合と客の好みとお金の塩梅という制限の中で、客が自分の手で行う想像なのである。まったく凄いものを『飯田屋」は考えたものだ。[浅草グルメマップ]

葱を入れる前のまる

ごぼうを入れてどぜうを入れて最後に葱を

あたしだけビール

どぜう飯田屋
東京都台東区西浅草3丁目3-2