冷やしなす天そば冷やしなす天そば


冷やしなす天そば

午前5時30分起床。浅草はくもり。これはまだ父が逝ってしまう前に食べたもので、「本陣」の「冷やしなす天そば」だ。暑いのか寒いのか分からないような日が続いていた。あたしは何を食べようか悩んでしまった。「本陣」では珍しことだが、これだ、という「一押し」のものが無くなっていた、と云っていいのかもしれない。しかし、やっぱり茄子だとばかりに「冷やしなす天そば」を選んでみたのだ。

「冷やしなす天そば」は「本陣」の傑作だと云っても良いだろう。簡単な構造でできているが、見ているだけでうまいのがわかる。あたしは茄子が好きだ。誰にどう云われようが茄子はいいに決まっている。この蕎麦はその茄子が天ぷらになって美しく皿を飾る。ねぎ、貝割れ、大根おろし、なるとの千切り、そして浪波と汁のぶっかけだ。

ただし、皿の縁にべったりと付いているワサビは(あたしには)いらない。なるべく触れないように注意はしているが、時々食べてしまっては「あっ」と思う。せっかくの蕎麦が甘く感じてしまうのだ。それならワサビ抜きで頼めば良いだろうと思うだろが、そうはいかないのが何故かおかしい。そして冷麺の如き蕎麦も健在だ。たぶん「冷やしなす天そば」は季節の蕎麦だからなくなってしまう。その無くなってしまうものを食べる楽しみがこの蕎麦にはある。[浅草でランチ

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石臼挽き生蕎麦 本陣
東京都台東区浅草2丁目22-10