鳥瞰図!『鳥瞰図!』 本渡 章


『鳥瞰図!』 本渡 章(著)を読む

午前4時15分起床。浅草はくもり。大阪の「140B」快心の作品は本渡 章氏の『鳥瞰図!』という本だった。この作者どこかで聞いたことがあるなと思ったら、なんと『古地図で歩く大阪 サ・ベスト10』の人だった。古地図で散々楽しませてくれた上に、今度は「鳥瞰図」である。

ポケットからひょいと出してきたように地図を描く。勿論、全編カラーの「鳥瞰図」は抜群に素晴らしい。なんと引き出しの多い人なのだろう。

その『鳥瞰図!」だが、第1章に出て来る「吉田初三郎」がキーマンだ。大正2年に京阪電気鉄道の依頼で作成された「京阪電車御案内」。それが、皇太子時代の昭和天皇に褒められた事で、数々の交通機関に依頼されて鳥瞰図を描く事になった。

つまり、この人が「鳥瞰図」を世間に広めたのだ。大正時代中頃から戦前期にかけて、日本本土を空から眺めるような図で描いた人だ。その絵がごろごろと載っている。その初三郎の描く絵は、まさに「鳥瞰」である。これは飛行機の発明が大きい。まさにパノラマの誘惑である。

大胆なデフォルメを採り入れ、富士山や大都市などの絶対に見えない筈の場所を遠景に見せてくれる。正に創造性の作品だといえよう。そして絵柄は、和風と洋風のハイブリッドでもある。

第2章は初三郎と同世代の人達が紹介され、第3章は「江戸時代から現代へ、鳥瞰図進化論」と銘打って、新しい鳥瞰図を紹介している。あたしは「石原 正」の「ニューヨーク2000」と「青山大介」の「港町鳥瞰図2017」に心惹かれたが、この本、なによりも「本渡 章」という人の魅力に溢れているのだ。