THE pinkhip WORLD    「中小建設業情報化講座」 第9回 |戻る 著作権|   

第9回 資産としてのノウハウ


前回、現場はノウハウの宝庫であるという話をしましたが、それでは、資産としてのノウハウとはなにか?を今回は述べたいと思います。

■経営の醍醐味は資産の運用・活用・増大にある
経営という大きな視点で、この資産としてのノウハウを考えてみましょう。
経営は資産を運用活用し増大させようとする経済活動以外のなにものでもありません。資産は通常会計学では、資産=資本+負債の公式の中で語られるものですが、つまり資産が限りなくゼロに近くなれば会社は倒産ということです。
会社の中に埋もれている(多くは社員個人の頭の中にしまわれている)状態のノウハウは、そのままでは価値ゼロの資産(というより遺産)です。この埋もれたノウハウを組織の財産であると理解し、光を当てることができれば、会社は既存の概念下の資産以外の資産(プラスαの資産)を手に入れることができるのです。そしてこの新しい資産を運用・活用し価値を与えることができれば、経営における資産という視点で見てもその効果の大きさが理解できるのではないでしょうか。

■情報化は経営の問題である。
社内情報化の目的の一つは、社員の頭の中に隠された業務ノウハウを引きずり出し、選別し、洗練し、会社の標準業務プロセスとして昇華させること、すなわち業務プロセスの資産化を行うことです。そして経営の醍醐味は資産の運用・活用・増大です。この文脈において、情報化は経営そのものであると理解できるかと思います。
情報化は経営の問題です。ですから、情報化は経営トップの強力なリーダーシップ無しでは成功できないのです。
多くの中小建設業の経営者にはこの認識が決定的に欠如しています。情報技術を活用した情報化によるBPRは、現時点では決して簡単なものではありません。ですからこそ差別化経営の源泉として取り組むべき価値のあるもであるといえるのですが、今までの建設業界の風潮としての横並びの意識(護送船団方式下の弱いものにあわせるという意識)下では、情報化による差別化など思いもつかないのは当然の話かも知れません。
しかし、時代は確実に変わっているのです・・・・・

■資産化の勘違い
社内の業務プロセスの資産化の手始めとして、ワープロで作られた提出書類等の様式の共有を行うことはとても有効な手段であり、実際によく行われている手法です。しかし、ここで大間違いな認識をしてしまうことがあります。
それは、ワープロで作られた様式そのもが資産であると思ってしまうことです。
実はワープロで作られた様式そのものにはたいした価値はありません。様式が変わればただの遺産となるものにすぎないのです。(といても、一度作られた様式、雛形はどんどん使いまわしましょうね(笑))。
私が言う、ノウハウの資産化とは、自ら作成した様式を、自分だけのものにしないで、広く公開し他の人にも利用してもらおうというオープン(公開性)な意識そのものを言うのであり、結果としての成果品である様式雛形でははありません。
今回は、ここを理解していただければ幸いです。
次回は、CALSとISOの関係についてですな・・・たぶん(笑)

高山線 特急ひだ8号車中にて記す。
                  Wednesday, 05-Aug-98 12:26:16


桃知商店
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