第2章 IT化ってなに? 一覧

情報としてのミーム

私の家には、私と家人のために、ISDN回線とADSL回線、 2台の電はなし機とファックス、 3台のテレビセット、 2基のファイファイ・システム、 2基のDVDシステムとインターネットに接続された 3台のコンピュータがあります。そのほか何百冊という本、何十枚かのCDとDVDとビデオもあります。では、どのようにしてこれらは存在するようになったのでしょうか、そしてそれはなぜなのでしょうか。

続きを読む

主流のメカニズム

本書では、主流が生成されるメカニズムを大変重視しています。このことは、ミームが主流であったりそうでなかったりする、つまり文化形成のメカニズムを知ることで、私たちがさんざん耳にしてきた、「中小建設業にIT化はいらない」という文化をつくりだしてきた仕組みを知ろうとすることを意味しています。それは、逆説的には「中小建設業にIT化は必要だ」というミームは文化を形成できるのかを考える基盤になることを意味しています。ここではその概観を見てみることにします。

続きを読む

売り手と買い手のミーム

市場を形成しているミームには、売り手が持っている「技術のミーム」と買い手が持っている「消費のミーム」のふたつを挙げることができます(※村上1994,p143)。この分類とは、市場を鳥瞰し「売り手」と「買い手」という市場を形成するふたつの立場からミームを分類したものと理解することができます。(図2)

[図2]経済的交換のミーム(市場を形成するミーム)

続きを読む

ミームってなに

それでは、ミームとはなんでしょうか。『現代用語の基礎知識2001』(自由国民社)から引用すると、

・ミーム(meme)
 生物の遺伝子のように伝えられていく人間社会の習慣や文化。

続きを読む

なぜ社長の車は高級車なのか

では、「ミーム」についての理解をはじめる前に、ひとつの問いを持ちだしましょう。それは、「なぜ社長の乗る車は高級車なのか」という問いです。会社で社長用の車を購入する時、皆さんの会社でも、それが新車であれ中古車であれ、高級車とよばれるものを例外なく選択するはずです。その行為の良し悪しはここでは関係がありません。問題は「それはなぜなのか」ということなのです。

続きを読む

思考の眼鏡

「私たちが、ぼんやりでも日本経済がわかるような気がするのは、私たちが何がしかの経済学を身につけていて、それを眼鏡として世間を見ているからである。」(※笠信太郎の言葉、佐和隆光,『経済学の名言100』,ダイヤモンド社1999,p168)というように、私たちが中小建設業のIT化を考察するにしても、何がしかの眼鏡は必要です。

続きを読む

IT化ってなに(IT化と情報化の簡単な分別方法)

本書では、IT化と情報化を明確に区別していますが、ここではIT化と情報化を簡単に分別する方法を書いておきます。それは、簡単にはこんなふうに理解してもらえばよいかと思います。

続きを読む

コミュニティ・ソリューション

「コミュニティ・ソリューション」は、その位置を「コミュニティへの方向性」に置く問題解決方法です。これは、コミュニティを形成するメンバーとの積極的につながりを構築することで問題を解決しようとするもので、例えば「オルフェウス室内管弦楽団」による「オルフェウス・プロセス」(※ソロやコンダクターを務めることのできる力を持った一流の演奏家の集まりですが、世界で唯一の指揮者のいないオーケストラとしてそのコモンズの問題解決方法)や「リナックス・コミュニティ」(リナックス・コミュニティには企業組織のような権限によるヒエラルキーはなく、リーナスが最終的に下す決定をコミュニティ・メンバーが承認するというルールが出来ています)(金子,2002,p49))がその事例とされています。

続きを読む

ヒエラルキー・ソリューション

では最初に、「ヒエラルキー・ソリューション」について簡単にまとめておきます。これは選挙のようなシステムで、権限を第三者に委譲することで問題解決を図る方法なのですが、アローのいう「選挙によって選ばれた政治体制による政治的決定」の最高機関を「政府」とすれば、インターネット社会ではこの問題解決方法の存在価値は薄くなるものでしかありません。

続きを読む

ヒエラルキー・ソリューションとマーケット・ソリューション

ここでは、インターネット社会の特性をベースに、社会的、経済的な問題に対する既存の問題解決方法の問題点をまとめておきましょう。ここでの考察は、後に行う公共工事依存型の中小建設業が抱えるさまざまな問題(公共工事という問題)の考察にある示唆を与えてくれることになるはずです。

続きを読む

このページの上部へ