「ももち どっと こむ」より

還暦祝い!平成30年9月15日(土)桃組「小さな勉強会」と「暑気払い」のご案内。山と山とは出会わぬものだが人と人とは出会うもの(また会う道もある花の山)。

2018年08月01日|イベント



Lesson20 IT化の前提(6)―イントラネットは零細企業に必要か

イントラネットは零細企業に必要か

しかし、この考え方に対しては反論もあります。例えば、このようなものが代表でしょう。紹介するのは、私が主催するメーリングリストに投稿された意見のやりとりからの抜粋です。最初の問題提起はこうです。

イントラネットは、零細企業に必要か?

たしかに現場は、家から3Km以内にあり、イントラネットを組んでまでデータを共有する必要はありません。会社に戻ってLANで十分可能です。

この意見に対して、他のメーリングリスト参加者からの意見は次のようなものでした。

意見1
イントラを組む組まないの問題に関しまして少し! 私の会社のように零細企業は職員が毎日ネットにつなぐ事が情報を取得する訓練となると思います。

そして何より大きな理由として思考の広がりを育てる意味でイントラが有効だと考えます。私がほぼ日で更新しているHPは、弊社の職員の思考に全く影響いたしません。弊社の職員が、自由に思考を広げる事の出来る代物ではないのです。

なので、取り敢えず安上がりなイントラを社内で使い職員のメモ帳や質問箱のように使っております(使用者たったの5人)。毎日、顔を合わせていますが、職員達は、自分の考えをイントラネットに書き込む際、順序だてて物事を考えられるので言葉で出てこない細かな表現が分析しながら表せると申しております。

私は、それだけでもイントラの持つ意味があるのだと考えています。データーの共有は、その後の付属品として考えられた方が良いのではないでしょうか。イントラは使う人の意思で思いもよらぬ使い方があるようです。思いもよらぬ使い方を見つける! その様な事が考えられる思考を育てる事が大事なのだと考えます。

意見2
弊社は超零細企業です。でもイントラは構築しています。最初は、発注者に入って頂いてコミュニケーションを図ろうと考え構築しました。でも、いざ入って頂くと慣れないせいもあったのかも知れませんが殆ど書き込みをして貰えませんでした。なので、今は入っていません。(入って頂きたくても仕事がありません)

イントラを使っているうちに解ったのですが、イントラは社員教育にはもってこいの道具です。だとしたら、LANで充分ではないかと思いますよね。でも弊社は下請業者・CMnetの方・建設産業に携わっていない人・方向性は同じで情熱のある人などにも入って貰い意見を頂いています。今は素人で信用の置ける人をもう少し入って貰いたいと考えています。そして、自分達では見えないことを探したり勉強したりしています。

意見3
目的と方法論の問題だけじゃないですかね? LANとかイントラとか「形」はどっちでもいいんですよ、きっと。
受注者側の視点で見れば、「自社の良いミームを市民社会になすりつける」という作業ができるのであれば、LAN+インターネットでもイントラでもどっちでもいいでしょう? 目的さえ明確になっていればある意味で「手段」はどうでもいいことだと私は最近考えています。
 
しかし、そういう観点からみるとどうしたってやりやすいのはイントラネットですね。もともと、そういう「ユーザーインターフェース」がありますから。LAN+インターネットだけでやろうとするとちょっと辛いかもしれません。あら、いってることが違っちゃうかな?(笑)
 
そうですね、地域住民・納税者・場合によっては発注官庁さんと協力にコミットメントしてゆき、地場に本当に必要な会社になってゆくためには「ミームの培養地」としてのイントラネットは必要不可欠かもしれません。
 
ただ、インターネット・イントラネットだけでは足りない・・・ということですね。ミームの醸成・散布という作業過程で発見しえた、問題点やら改善策やらコミットメント手法をアナログな活動で実施してゆくという「行動・アクション」が必要になります。
 
と、いうことで私の現状の結論としては規模の大小にかかわらず、イントラネットはあったほうがいい。ということになってしまいますね。(笑)  LAN+インターネットだけでは、やはりちょっと足りないんです。

意見4
私は零細企業だからこそ必要だと思います。といいいますのは、大手建設企業は、お金を出してITを扱える人員を雇用することが出来ます。零細企業は、簡単に専門技術者を雇用できるでしょうか?
答えは「NO」です。ならば、イントラを導入し、自分たちで訓練するしかないのです。

私はこう思います。弊社は会社から、500mの現場でも現場の現況をイントラ内に掲載していますが、これをすることにより社内での周知徹底をはかります。プロジェクターで現場説明をするのと同じで、イントラに掲載した写真で現場の状況を説明し、みんなで対策を講じています。

今まで、私1人が頭の中で情報を管理していましたが、イントラでの現場状況掲載により、私自身の頭の中を見せる事が出来るようになり、プラス、横着といわれてしまうかもしれませんが、技術者を現場に連れて行き現場説明をするような重複した無駄な作業を排除することができました。

また、何よりも頼もしいのは皆が朝出勤一番はパソコンの電源を入れて情報収集するということです。今まで、情報を貰うばかりだった方達が、自らが情報を収集するようになった事が嬉しいです。結果、私は楽になりました。LANはどれかのPCが電源を切ってしまいますと、電源の入っていないPCの情報を収集出来ないです。弊社も、過去8年間LANを組んでいましたが、ファイルのやりとりということでは十分ですが、文書管理だけで、情報は管理できない苦悩がありました。それを解決したのが、イントラネットでしたよ。(笑)

つまりは、イントラネットを旧来の効率化と合理化の情報化文脈でとらえるのか、それとも、もっとイマジネーションをふくらませて考えることが出来るのか、ということです。IT化を予想可能な時代の効率化や合理化の道具として考えることをやめない限り、IT化はいつまでも閉塞したままだ、ということです。この理解にはどうしても〈中小建設業が売っているものとは、自社の「技術のミーム」である〉ということ、〈IT化が扱う「情報」とは「ミーム」のことである〉ということ、さらには、〈インターネットとはミームが獲得した新しいプール(プール)である〉という文脈を理解する必要があるのですが、これも実践の中でしか身につかないものなのです。

私は、このイントラネットの活用を中心とした中小建設業IT化のポイントを、次の三つにまとめています。

  1. 経営者のリーダーシップ
  2. 組織的な取組み
  3. 建設業のIT化=現場のIT化

では、この三つのポイントそれぞれについての考察を進めることで、「現場の情報化」のコツを理解していくことにしましょう。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年10月21日 11:26 : Older


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コメント

2008年10月21日、Lesson20 IT化の前提(6)―イントラネットは零細企業に必要か
の続きが読みたいです。

投稿者 林 : 2011年08月04日 20:36

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