第4章 市場 一覧

自らが動きださなければ問題は永遠に解決しない

市場をミーム論から見ることで、「公共工事ダメダメミーム」は、中小建設業にとってさらに厳しいものとなり、そのスピードは益々加速していることが理解できたかと思います。ここで恐れるのは、一旦均衡してしまった状況を元に戻すことは、非常な困難を伴う(たぶん不可能でしょう)ことです。

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権威の崩壊

私たちは、既存の権威がすでに機能しなくなりつつあることを知っています。アカウンタビリティパブリック・インボルブメント(PI:政策形成の段階で人々の意見を吸い上げようとするために、人々に意思表明の場を提供する試み)が、昨今の公共工事でいわれている背景には、市民社会という公共工事に対する「消費のミーム」の主の台頭と同時に、「既存の権威」の崩壊という問題があります。それは「ヒエラルキー・ソリューション」の崩壊のはじまり、といってもいいでしょう。

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公共工事のプリンシパル・エージェント問題

結局、公共工事に対する「消費のミーム」とは、「発注者」と市民社会との関係で簡単に変化するような曖昧なものでしかありません。ここではそれを、「プリンシパル・エージェント問題」(省略して「エージェント問題」)として考えてみましょう。

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発注者と市民社会のエージェント問題

本書はすでに、公共工事に対する最大の「消費のミーム」の持ち主は市民社会である、と指摘していますが、ここでは基本に立ち返り、公共建設市場を構成する「技術のミーム」と「消費のミーム」の確認から、この市場の本当の買い手(顧客)を確認しておきましょう。

消費のミームと技術のミーム 

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機会費用の増大 

マーケット・ソリューション」の台頭は、中小建設業に「安心」を提供してきた集団主義的社会の組織原理が、機会費用の増大で高く付き過ぎる、と多くの国民が感じるところから始まっていることは確かです。そうしてこう繰り返しているのです。

「世の中、飼い慣らされた金魚ばかりだから餌がたくさん必要になって国の財布はすっからかん、挙句の果てに借金までしなくちゃならない」。

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安心のシステムの崩壊

さて、「公共工事という産業」を維持してきた「安心のシステム」とでも呼べるものをどのように解釈するにせよ、このシステムは、仕事量という環境パラメータの増減によって、いとも簡単に機能できたりできなくなったりすることは明らかです。つまり、「全員に行渡る仕事がある」という環境では、この行動原理は機能しますが、「全員に行渡る仕事がない」という環境では機能することはできません。なぜなら、この「安心のシステム」の構成員が自ら忠実な構成員足ろうと思えるのは、構成員として満足できる仕事の配分を受けることが可能な状態(もしくはそう思える状態)が継続されている場合にしかありえないからです。

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公共工事はだれの共有地なのか

本書では、「安心の担保」に依存した権限と統制力による秩序の維持方法を、「ヒエラルキー・ソリューション」とみなした議論を行っていますが、官製談合などは、正確には「(裏)ヒエラルキー・ソリューション」とでも呼んだ方がよいかもしれません。

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安心の担保

「配分のルール」に依存した公共建設市場において、所属団体や、OBさんの有無や、政治的な活動とかが、あたかも広義の技術のミームのように機能しているとすれば(現実には機能し続けてきたのですが)、それはこの市場が「内集団ひいき原理」によって維持されてきた集団主義的性質をもった市場であることを自ら証明してるだけでしかありません。

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中小建設業のコア・コンピタンス

さて、中小建設業の「狭義の技術のミーム」として指摘した建設業許可や技術職員の数や経審の点数や営業年数やISOなどは、ふぐ屋の調理免許のようなものであり、市場参入要件にしか過ぎません。しかし、それはそれで公共建設市場における能力の信頼を裏付けるメタ情報であり、決して軽視しできないものであることも確かです。しかし、これだけではビジネスにならないのは、ふぐ屋も中小建設業も本来同じはずです。なによりも「おいしい」というような「広義の技術ミームコア・コンピタンス)」と、それを支えるもうひとつのメタ情報である「意図に対する信頼」が必要なのが本来の市場のはずなのです。

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ふぐ屋の技術ミーム

中小建設業の「狭義の技術ミーム」は、たとえばふぐの調理免許のようなものです。これは相手の「能力」に対する期待としての信頼を担保します。ふぐ屋を開業するには調理免許は最低限の適応課題であり、これも「技術のミーム」には違いありません。この調理免許という狭義の「技術のミーム」は、調理人のふぐを調理できる、という技術(能力)に対する信頼を形成することはできます。

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