【 北海道建設新聞 荒木次長:建設業者のための綴り方 】 ●文書の心得 気の利いた文章を書きたい!・・・ここで詰まってしまう。小学校時代「真っ白な原稿用紙に作文を書け」と言われた事がトラウマになって書けなくなってしまうのではないか? 文章に「センス」はいらない。(芥川賞ともなると話は別だが)先天的に文章のうまい下手はない。毎日何かしら書いていくと、かならずうまくなる。また、ほめられるとさらにうまくなる。 逆に、一度否定されてしまうと、ぐさっときて、それがトラウマになり上達の妨げになる事も非常に多い。 ほめてあげると自信をもって書ける様になる。文章を書く欲がでてくる。 新聞の世界で悪文の代表 ・役人の書く文章。・技術屋の書く文章。 役人:断定しない。(尻尾をつかまれないように)あいまいにする。技術屋:誤解を受けない為にいろんな事を書きすぎて結局何を言いたいかわからなくなってしまう。最後に大事な事や結論を結ぶ。 良い文章というものは最初に結論がある。(事が多い) 良い文章へのアプローチ ・誤解をおそれない。誤解をおそれるとどうしても回りくどく(わかりにくく)なる。・ハラをくくる(リスクテイキング)・しっくり来ない文章はバッサリ削る。しっくりこないと、言う事は、自分の中で整 理されていないと言うコト。・主語と述語は離して書かない。修飾語も多くしない。うまく書こう、気の利いた文 章にしようとするとどうしてもかざり、修飾語が多くなってしまい、結局わかりに くくなってしまう事が多い。 ※新聞記事がなぜ分かりやすいか?新聞には「リード文」と言うものがあり、これは 本文のダイジェストで大事な点はこのなかに網羅されている。つまり、結論が先に ある・・・という体裁になる。この「結論が先に有る」と言う点が分かりやすさの 原点。 ●文章の怖さ。 品良く書こうとしても、その人の人柄がにじみ出てきてしまう。良い文章を書こうとすると結果として人間力を高めなくてはならないのである。 新聞記事の場合署名記事・・・主観が表に出る非署名記事・・・客観(もどき?)で極力主観を表に出さないようにする 文章・・・「こう書けば相手はこう受け止めてくれるだろう」と思い込みすぎると失敗する。書いたものだけで全て理解してもらえるとは思わないほうが良い。 面と向かって一杯飲みながらじゃないと伝わらない事も実は多い。文章も単なるコミュニケーションの一手段と割り切ってうけとめる。 自分で書いた文章を「声に出して読んでみる」声に出して読んでみると「リズム」の良さ悪さが良く分かる。このトレーニングで自分の文体のリズムが体で覚えられる。 書けば書くほど上達する。かなりなレベルまで。ほめると上手くなる。読んでもらう相手(仮想の読者)を極力具体的にイメージして書く。そうするとかなり多くの人の心に届く。 最初に書いた文章が一番良い文章。(熱がある)素人が書き直すと折角の良い文章の熱がどんどん冷めていってしまう。荒削りに感じられても一番先に出てきた熱を失わせない、最初に心から湧き出たものを大事にした方が良いと考えている。 痛い思い(文章を書いて失敗)をすると、「きわ」(失敗の原因)が見えてくる、この「きわ」が分かってくると文章に迫力が出てくる。(ここまで書いちゃだめなんだ、こういう表現が誤解を招くんだ・・・と言う事が体で覚えられる) < 所感 > 文字・文章を扱うプロによる非常に分かりやすいレクチャー。文章を綴る、書くということも結局は「他人に自分の思いを伝える手段」つまり、コミュニケーションそのものなのであると言う事が改めて認識できた。文章は人柄がにじみ出てきてしまう・・・だから良い文章を書くためには、良い人柄にならなくては、いけない・・・は非常な説得力をもって胸に響いた。 とにかく、何でもいいから毎日書くという習慣を改めて自分に植え付けたい気持ちになった。とても印象に残る、為になる話であった。 【 刈屋建設IT化の取り組み 】 刈屋建設:上野さん発表人口:3700人という岩手県新里村に存在、JRも殆ど来ず、公共交通機関はもっぱらバス。産業就労人口は2000人程度で建設業は230名と10%以上。 創業昭和26年 完工約11億 公共100 内法面工事が40%を占める。社長の強い思いを受けてイントラの取り組みを開始 ●イントラ導入前・PCはほとんどスタンドアロン・インターネットは特定の人だけ・メールアドレスも特定の人だけ ●導入後・全PCネットワーク、インターネット、メールも全員に開放。 現場からのアクセスは回線の関係で上手く行っていなかった。 教育(勉強会)・サイボウズの導入目的・パソコンの入門編から実施・デジカメの使用・現場状況報告の運用開始(導入から3ヶ月)年配の方々にも懸命に指導。 桃知さんの指導の元 ・サーバーを外部の置き、イントラ・メールともにアウトソース →現場、社外からのアクセスを容易に・・・ ★ここで・・・・問題発生 3人以上が同時にアクセスするとアクセススピードが極端に悪化。(ISDN) ウインドウズアップデートで8時間かかってしまう事もあった。 →ISDN回線をもう一つ増やして対処。 取組状況(当初)・スケジュール利用が中心・回覧板、掲示板の書き込みも特定の人だけ・何を書いたらよいのかわからない、やらされている感覚 取組状況(現在)・現場状況報告から社内連絡などで利用頻度が高くなってきている。・サイボウズがないと不便を感じるようになってきた。・ISOに行かせるフェーズが出てきている。 ISOの取り組み思い切り重たいシステムを作ってしまった。現在は思い切りそぎ落として軽くなっている。 現状の環境の問題・回線速度の問題・現場の通信環境の問題(電話も携帯も圏外) 運用上の問題・利用率は向上したが書く人と書かない人の差が広がってきた →自分を表現する事が恥ずかしい、他人から非難されるのが怖い。  PCなんかいらない(年配者の現実逃避)  →課題の克服へ ・イントラ導入の真の目的を明確にし理解してもらう。 ・イントラを活用し、さらに自己表現能力をたかめてもらう。  とにかく縛らずに「表現される事」これが能力をたかめる。 ここまで取り組んで真の問題点が存在する事に気がついた。「IT化を促進する事務局自身がイントラを導入した目的と方向性を模索中である!」つまり、リードしてゆくべき事務局メンバーの方針がまだ定まっていなかった事に気がついた・・と言う事。ここ(事務局自身による目的と方向性の明確化)を早急に確立する事が最重要と考える。 < 所感 > 最初に新里村の概要を写真つきで説明してもらえて、改めて環境の厳しさを実感。山に囲まれる(平野部が極めて少ない)何処もかしこも法面だらけ。ISDNはおろか携帯すらつながりにくい。そういう「厳しい環境」のもとで、実直にコツコツとIT化に取り組まれている姿が伝わってきた。PPTも非常によくまとめられており、視覚的にも工夫されいる。 「刈屋建設は、こうして、ここに向かうんだ!」というような力強い結論があるともっと良かったのかな?と(荒木さんの話を聞いたせいで?)思えた。 【 吉谷土木の取り組み 】 ●吉谷土木の業務スタイル 自社で設計して提案して工事を受注するスタイル。→吉谷さん個人で100件以上の公共工事処理→打ち合わせ、設計協議、見積が間に合わない 業務の問題点・あふれる書類の整理、社内書式の保存場所、現場情報の報告共有化の手段 問題を解決する為にLANを導入したが根本的な問題解決になっていなかった。 2001年法政ECに参加をきっかけとしてIT化へ進むきっかけをもらった。→イントラの導入へ 市役所の若い技術者に、イントラを見せて「現場を確認してもらう」提案実施。(IT化の必要性を感じる年代)担当者に「現場に行かなくても現場の状況が分かる」と好評。4人で15万人の苦情対応に追われている為、(↑)を待ち望んでいた。 ●顧客へのアプローチと戦略・・・自分達に都合の良いIT化だけではなく「顧客にとっても都合の良いIT化」を目指す。 担当監督官がその上司に「分かりやすい報告が出来るように」配慮して運用。現場に携わる人たちにきちんと情報共有できるようにと目指して運用。 ●自分自身のイントラに対する理論・イントラは引き出しである。会社で作成した書類を何もかもイントラに入れておく。そして、自分達だけでなく、顧客(役所の方々)に対してもイントラから引き出せるようにしておく。 ・イントラは議事録である。紙での文書では解釈が必要になる。イントラ上で画像などとともに「議論」する事ででそれがそのまま「議事録」になる。打ち合わせたときは担当者の写真もさりげなく入れておいたりする。担当職員の上司から打ち合わせなどの「確認」が入ったときにそれが証拠になったりするので・(笑) 住民さんとの立会いの場面などでもその住民の方の写った写真を残しておく。周知徹底する事で手戻りやトラブルをなくす。 あらゆる情報をイントラに入れておくことで、周知徹底の場となる。 発注者の現場立会いの簡素化が現れてきた。発注者の信頼が高まり発注者の現場立会いが少なくなってきつつある!(発注者とのミゾが埋まってきた) 発注者が写真をイントラに送ってくれるように、公共工事でありながら、イントラ上で提案、見積もりの依頼が入ってくるようになってきた。 最終的には市民社会へのアプローチであるが、「市民社会」のエージェントである、「発注者を業者保護へ導く」溜めのIT化推進 国交省がすすめているCALSが国主導でなく地場の発注者と同じ歩みでいけるよう。 ●新しい取り組み 自社で設計して提案して工事を受注するスタイル→民間工事への活用 民間に対する「企画・設計」型提案を試みてみた。HPで共感してくれる顧客が現れた。公共工事で苦しむより民間の方がいいのかな?とも感じる。 公共工事に携わる自分達は民間顧客を満足させるだけの技術をもっていると自負している。 ●イントラのひとつの効果 交通事故にあってしまって、入院を余儀なくされた。しかし、イントラがあることで病院からアクセスする事で種々の問題をクリアしてしまった! ・ITは道具でしかないが・・・コミュニケーションのツールとして企業の資質を高める 自らの環境を自発的に変えることが出来る。  →そして、社会(隣人)を巻き込んで行く事が可能となる。 < 所感 > PPTの順番などが大幅に組み替えられており、進化し続けている姿が垣間見られた。また、吉谷さんの「非常に楽しそうに話される発表態度」がとても印象に残った。 IT化・イントラ構築の(現在の)目的を「顧客満足向上」「発注担当者の手間・負担を減らす」と言いきってしまう所が吉谷土木の凄さ。イントラを「引き出し」にしたり、「議事録」にしてしまう事はつまり、「CALS効果そのもの」であり、公共工事を発注者がイントラ上で「提案」や「見積」を求めてしまう。発注者が自ら写真をイントラに載せ、「ここを見積ってくれ」と依頼出来てしまう。私たちが目指すひとつの明確な方向性がここにある。