円環モデル。(法大EC’06第3回講座)

円環モデルのトポロジー

先のトポロジーでいえば、「工作の時間」における円環モデルは、閉じたひもの輪aである。これはまたb と同じである。

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円環

この円環モデルは当然にキアスムのモデルではない――つまりどこにも反転(ひねり)がない。

これはいってみれば「負のフィードバック」モデルであり、ステロタイプ再生産を繰り返すだけである。

井戸端会議

例えばそれは、コミュニケーションにおける井戸端会議のようなものであり、永遠と繰り返されるかのような日常会話なのである。しかし円環モデルは、その安定性ゆえに、いまの時代に通用するコア・コンピタンスを持ち得ない。

なぜならこれは、〈内/外〉の明確な差異をつくり、内は外との接続(コミュニケーション)を遮断しているからだ。つまりこのモデルには外部=環境というものが存在しない。

すべてが内に閉じたシステムに限定されることで、今という時代の経営のモデルとはなりえない。

経営=環境×原理
(伊丹敬之)

〈維持/変化〉と円環モデル。

維持と変化

しかしそれは円環の必要性を否定しているわけではない。 コア・コンピタンスの要素のひとつは、変えてはならないものを持つことだ。

変えてはならないものとは、維持のことであり、それはトポロジー的には円環モデルのことである。そしてそれは、取引のメタ情報である、信頼を支えるモノということになる。

つまり円環はメタとして必要なのである。しかし、それだけでは足りないということだ――つまり円環だけなら外部とつながらないことで、メタがベタになってしまう――外部に通用するコア・コンピタンスを生み出すことが難しい。

多くの中小建設業がこのパラドックスに陥っている。つまり変化もまた必要なのである――メタ(信頼)がメタ(信頼)であるために。

つまり経営は、〈維持/変化〉=円環とひねりのハイブリッドモデルとなる――それがメビウスの帯である(後述)。この変化を促すものとして、IT化は、アイディア・スピード・実行力の実装を可能とすると(私は)いってきた。そしてそこで生まれる個の能力をHUB能力と呼んでいる

HUB能力

HUB能力とは、広くて薄い紐帯 narrow ties――つまりリンクをつくる能力であり、コミュニケーション能力であり、つながりをつくる能力である。

それはアイディア・スピード・実行力を実装することで初めて可能となるものだと(私は)考えている。。

つまりHUB能力をデコードすれば、アイディア・スピード・実行力信頼となる――私のIT化の取組みは、これらのでコードされた要素を、如何にして個人が自らのものにできるのか、ということに徹してきた。

実行力

キアスム展開図式これらの中で、もっとも重要な要素は、実行力であるだろう。、これはその名のとおり、キアスムにおける実行である。

それは全人格をもって現実を受けとめることからはじまる骰子一擲でしかないのだが、その骰子のひとふりを阻むものが円環でもあることで悩ましい――だからいつも、「動き出せ!えぶりばでぃ!」なのだが、それが掛け声だけで終わらないようにしなければならない。

信頼 

信頼とは変えてはいけないものの中核にあり、取引のメタ情報であり、社会的・経済的取引のコアである。

そしてそれは情報を発信する能力情報を見る能力のハイブリッド――つまりバイロジックとして理解されるものだが、このことに関しては別途解説を試みようと思う。

アイディア・スピード

トポロジカル量子コンピュータではアイディアとスピードとはなにか。それは考える技術キアスム)は瞬時に繰りかえす、ということである。

キアスムは同時多発的に計算を進行させるトポロジカル量子コンピュータのようなものだ。 

キアスムは、ひねりを契機とした、偶有性を孕んだ考えることと、繰り返される実行の再生産によって変化を生み出す。創造性しかし円環モデルにはその契機が訪れない。

その契機を生み出すものが象徴の一部否定という考える技術なのである。  

マニュアル化

円環モデルを加速しているものに、マニュアル化がある。

マニュアル化は合理性の追求でしかないが、ひねりの契機を自らには孕まないことで創造性が機能しない。

それは正解の思い込み――象徴(シンボル)、つまり、ナイーブに正しいと信じていることに、縛られてしまった思考である――その意味で私は宗教のように蔓延したISOによる品質管理を嫌ったのである。

それは、創造性においては内的連関――つまり新しい発想がわかないものであり、また負のフィードバックでしかないこyとで、今というの時代における円環モデル(クラスター型)の欠点をさらけ出す。では私たちは如何にしてこの円環を断ち切ることができるのだろうか。

追記

068007追記:
円環モデルを作り出しているものが、じつは「合理性」への志向であることを追記しておこう。

講座資料のダウンロードは(↓)から。(Powerpoint)
  http://www.momoti.com/blog/2006/06/ec20063_1.html

061231追記:
テクストを全面的に修正した。まだテクストが高速すぎる。(笑)