来集軒の世界一うまいチャーハンでランチ。(西浅草2丁目)

来集軒のチャーハン
来集軒のチャーハン―あたしの〈欲望〉の対象

チャーハン

今回紹介する来集軒はチャーハンである。一見なんの変哲もないチャーハンである。具もそっけなく、卵、チャーシュー、そして玉葱しかはいっていない。

しかし、この玉葱が曲者なのである(たぶん)。食べると、ケチャップライスの味がする。それが強烈に郷愁を誘うのであり「かなしい」。

それはなにか子供の頃に食べたような気がする……ような気がする……ような気がする……というような永遠の円環を描く曖昧な記憶の循環であり無意識層にこの味はデータ化されている。

だから一口食べるとその記憶にスイッチが入ってしまい、そうなったらもうどうしようもないく、めくりくるのはランナーズ・ハイならぬチャーハンズ・ハイ。

世界一うまい

こういう無意識層の記憶に訴えかけるようなものは「どうしようもないもの」なのだ※1。つまりあたしにとっては、これは世界一うまいチャーハンでしかなく、それは誰がなんといおうが覆らない。

その上このチャーハンは食感が素晴らしい。全体がなにか、つるつる、ぷりぷりとしていて、口の中がくすぐったいように嬉しい。こんな嬉しいチャーハンにはここでしかお目にかかったことがない。是非、ラーメンと一緒に食べていただきたい。

ラーメン

来集軒のラーメン当然にラーメンはうまい。これも時々どうしようもなく食べたくなる記憶の奥底であり、その姿はゆるぎない。

たぶん今の基準からいえば少々物足りないかもしれないが(つまり古臭い)、そんなことはどうでもよいのである。

あたしからすれば、いじりすぎて記憶に残らない味のラーメンよりも、これがラーメンである。

来集軒

来集軒は、昔ながらの東京系あっさり醤油ラーメンの老舗であり言わずと知れた超有名店である。

それは進化のとまった空間かもしれないが、けっしてレトロなテーマパークではなく、(観光客も多いけれども)普段は地元の人達の昼餉ランチの場として大活躍している。つまりこの店にあるのは、まごうことなき今の浅草である。

来集軒 (ラーメン / 浅草)
★★★★ 4.0
台東区西浅草2-26-3
03-3844-7409

来集軒暖簾(裏)

来集軒
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※注記

  1. それゆえ、「写真」のノエマの名は、つぎのようなものとなろう。すなわち、《それは=かつて=あった》、あるいは「手に負えないもの」である。 (ロラン・バルト:『明るい部屋―写真についての覚書』:p94)