言問団子

言問団子

言問団子浅草に住んでいても、名前は知っているが、食べたことはない、というものは意外と多い。

言問団子は、長い間そういうものだったのだが、昨日ようやく口にすることができた――正しくは向島のものだが――。(写真:運ぶ途中に少し姿が崩れてしまった)。

質感

言問団子は、新粉餅を小豆あんでくるんだ「あずき」、手芳豆(てぼうまめ)を使った「白あん」、そして味噌あんをクチナシの実で染めた求肥でくるんだもの、の三種類がある。きちんと調製されたその姿は、まるで磨かれた金属のような美しさだ。

それは、質感というよりも、その調製の精密さに感じるものであって、あんや求肥のきめの細かさ、丸いものは丸いというこだわりは、見ていてつくづくと気持ちがよい。

日本のお茶菓子は、小さくて精密な工作が多いが、私はたまらなくそれらが好きだ(みているだけで楽しい)。小さくて姿かたちの美しいモノへの愛着は、日本人の心情の基本構造なのだと思う。

変わらないことで、時代に取り残されるものは多いが、本当に基本――日本人の基底――に訴えかけるものであるならば、変わらないことで、どんな時代でも一跨ぎにしてしまえるのだな、と、この団子は教えてくれている。

言問団子 (和菓子 / 曳舟)
★★★★★ 5.0
墨田区向島5-5-22
03-3622-0081

言問団子
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