ミーム進化としてのクラウドソーシング Crowdsourcing

午前7時10分起床。浅草はくもり。

「共通言語:Crowdsourcing」(三上のブログ)という記事を読んでいたら、「Crowdsourcing」という造語(指し示し)を、ミーム論的な視点で扱っていて、ミームごころをくすぐられた。

「クラウドソーシング Crowdsourcing」は、梅田望夫氏の言葉を借りれば

無数の「個」の意見を集約するシステム(『ウェブ進化論』:p206)

であって、スロウィッキーの「群衆の叡智」仮説を、戦略的に利用しようとするものだろが、ここではそれに深入りはしない。詳しくは三上さんが参照されている梅田氏の[英語で読むITトレンド] Crowdsourcingをご覧いただきたい。

私が興味を持ったのは、クラウドソーシング Crowdsourcingという指し示しが、「共通言語」――つまり「ミーム」であり新しい「種」だろう――になりそうだということである。その進化の過程が、ウェブを観察することでみることができるのかなということだ。

私が「クラウドソーシング」という言葉を最初にみたのは、CNETの「クラウドソーシング」を体現するMycroftという記事においてであり、最初はマイクロソフトがなにかはじめたのかと思った。

しかしMycroftはMicrosoftではなく(当たり前だ)、群衆を(指し示しの)アウトソーシング先にするような事業を創出しようとしている企業のようであり――まだ本格的に始動してはいないけれども――それにはとても興味がある。

このMycroftのような事業が一般化し、世間的も理解し易い実態(動き)となるに従って、「クラウドソーシング」と名指しされたミームは成功を収めるだろう(若しくはその逆のバイアス)。

実態が一般化〈する/しない〉とともに、その名指しもまた一般的に使われる言葉(共通言語)に〈なる/ならない〉のは当たり前のように思える。マーケッティングにおいては、あるアルゴリズム(成功の法則)は機能しているのかもしれない。しかし、三上さんが

ここで、「共通言語」になる/ならないの基準はどこにあるのか、という問いに単純な答えを期待することはできないような気がする。なぜなら、それはあたかも生物進化がそうであるように、「結果」として後付けできるだけのような気がするから

というように、それがミームである限り、ミーム進化のアルゴリズムは(複雑に)機能するだろうから、まあ、なんだかわからない(笑)――その複雑性を「クラウドソーシング」は縮減しようとしているのだろうが――。

「クラウドソーシング Crowdsourcing」という言葉に注目すれば、それはミーム進化をモデル的にみせる可能性はあると思う。「クラウドソーシング」でググると、検索結果は約157,000 件(日本語)であり、「Crowdsourcing」 の検索結果でも約395,000件しかなく、テクノラティのタグ検索では、「クラウドソーシング」は1件(日本語)、「Crowdsourcing」は87件(英語)と、まだまだ一般的な言葉であるとはいえない状況である。

つまりまだはじまりなのだ。であれば、検索結果を記録し、その推移と、ウェブと現実の世界で起きた事象とすりあわせていけば、なにかおもしろい発見があるかもしれない――私はやらないけれども(笑)――。

一方、「Tagging、Social Tagging、つまりはFolksonomy」で書いた「」や、三上さんのブログにあった「アーキペラゴ」という言葉が一般化することはあるのだろうか。可能性を求めるなら、それを狭い円環からひきずりだすことが必要だろうと思う。

これらは元々が狭い世界の象徴であり、権威のおこなったTaggig(指し示し)である。であれば、これが「クオリア」並に一般化するには、権威からひきづり落としてやる必要があるのだと思う。そのためには、茂木健一郎氏ぐらいのトリックスターの存在が必要だと思う。「キアスム」は中沢新一氏が使ってはいるけれども、さてどうだろう。 (笑)