絶滅危惧種へと向かう地方の指名競争入札。

一般競争入札、1千万円未満に…東国原知事が方針

宮崎県の東国原(ひがしこくばる)英夫知事は29日、談合防止策として、県発注事業の一般競争入札の対象を予定価格1000万円未満の事業にまで広げる考えを明らかにした。Click here to find out more!

全国知事会の談合防止指針は「1000万円以上」だが、記者団に、「1000万円というラインを下げようと思っている。官製談合で非常に悔しい思いをしているので、まず宮崎から新しいモデルを全国に示したい」と述べた。

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この「Google ニュース関連記事」をみてもらえばわかるが、もはや地方の指名競争入札制度は絶滅危惧種に向かってまっしぐらである。

それは、全国知事会の談合防止指針の採択でもあり、もはや大きな流れであることは否定できないだろう。

私が今まで主張してきたことは、こうなったら万事休すなんだよ、ということでしかなくて、こうならないために何をすべきかを考えてきた(つもりだ)。

しかしその多くは実現できないまま、公共事業という産業への市場原理の導入は具体化してきてしまった。

先に「市場原理で解決できるなら、政府などいらないのである。 」と書いた。

けれどそれもまたなにか空しい言葉に思えてきているし、そんなことを言っている私は、もはや変人扱いなのだろうな、とも思う。

そして公共工事の激減がこの状況に追い討ちをかけていることで、地方の建設業界の淘汰圧力はさらに高まるだろうし、それと同時に、地方経済の疲弊もまた加速するだろう。

それを考えると暗澹たる思いになる。 

しかし、この状況に具体的対応策をもつ公共工事依存型の建設業も、地方自治体もいないのだろうなと(私は)思う――なぜならこの状況を牛耳っているのは国だからだ。

業界の今後について、地元業者の幹部はこう読む。

「仕事が大幅に減る中で、業者数はいずれ半減するだろう。しかし、淘汰が進むことで、生き残った会社に仕事が回るようになる」

はたして、自分の会社が建設業の土俵に残れるかどうか。確信を持てる業者はそう多くはないだろう。(引用:『週刊ダイヤモンド[2007/1/20]』:p51

ではなにをすべきなのだろうか、とまだ考える気力だけは残っている。

しかし、マーケット・ソリューションの恐ろしさは、すべてを( )に入れて端折ってしまうことで、ただお金の流れを最適化することを優先することにある。

これは本当に手ごわい――なぜなら私たちはお金が嫌いではないからだ。

この変化の具体化は、リストラ圧力が高まることで、まず地方での失業者が加速度的に増えることと、地方経済が落ち込む懸念だろう。

しかし多くの地方は、公共事業に代わる基幹産業をもってはいない。

そのことで、地方から労働力は離れていく。

その動きはスパイラル的に地方を疲弊させていくだろう。

多くの地方自治体は、過疎という言葉を目の当たりにすることになるのかもしれない。

しかしその変化は(多くの当事者にとっては)あまりにも急激なものであるために(私はCALSにこの危なさを直感して、今の活動をはじめたのだけれども、多くの方々は、急激な変化と思われるかもしれない)、この状況への対応策を、自治体も国も、そして当の建設業者さえも持たない。

しかしそのままであるならば、今年の参議院選挙で自民党は地方で惨敗するかもしれない。

たぶんそれは自民党も薄々は感じていて、民主党が格差問題を最優先に取り上げることを歓迎しているのだろうと思う。

その意見が強まることで、自民党は(選挙前に)格差問題の是正に動けるからだ――そのことは少なからず選挙対策にはなるだろう。

つまり格差問題の是正のための公共事業が発動される――かもしれない。

しょうもないオチである。