地域間格差:所得格差「小泉政権下で拡大」実証という記事。

地域間格差:所得格差「小泉政権下で拡大」実証 本社集計(MSN毎日)

99~04年の全国の市区町村の納税者1人あたりの平均所得に関し、格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに割り出したところ、02年を境に上昇したことが3日分かった。

平均所得の上位はほとんどが大都市部。04年には東京23特別区のうち9区が上位20自治体に入った。これに対し、下位は軒並み高齢化の著しい町村部。最高値と最低値はそれぞれ、99年は東京都港区の751万円、秋田県東成瀬村の221万円で、04年が港区の947万円、北海道上砂川町の211万円だった。

神野教授とともに作業にあたった慶応大大学院経済学研究科の宮崎雅人氏は「小さい所を大きな所が吸収するケースを考えれば、平成の大合併はジニ係数を下げる方向に働いたはずだ。実際の格差拡大は今回の結果より大きいのではないか」と分析している。【統一地方選取材班】

この報道は今更驚くに当たらないだろう。

自治体ごとの平均所得の推移地域間格差はあるし、その傾向が大きくなるのは、小泉政権的経済政策(新古典主義的というかネオリベな経済政策)では当たり前のことでしかない――そのことは散々書いてきたので今更書かない。

たぶん政府の御用経済学者がこの分析結果に難癖をつけるだろうが、それも気にしなくていい。

なぜなら、地域間格差は現実にものとして、地方の人々には実感されているからだ。

しかし格差が広がり、地方が崩壊に瀕していても、今の世の中では、「革命」的な地方の氾濫がこるわけでなない。

では政府や政治家は、この状況を(小泉風に)「生みの苦しみ」などと言ってやり過ごせるのか、といえば、そうではないだろう。

なぜなら政治家は選挙という洗礼を受けなくてはならないからだ。

神野教授は「感覚的に論じられてきたものを初めて定量的に示せた」と指摘しており、地域間格差は4月の統一地方選の主要争点になりそうだ。

この危機感は自民党にもあるはずで、事実、安倍首相は積極的に地方行脚を始めている。

どのような政策でもずっと正しい(唯一の答えだ)というものはない。開発主義は戦後の疲弊した日本再生のためには必要な政策だった。しかしそれは終焉が難しい故に政官業の癒着(鉄の三角形)、という問題を引き起こした。

その問題解決方法としての小泉流のやり方は、たしかに開発主義を終焉に導いた。

しかしそこにはまた新しい問題が表出してくる。つまり、自民党が開発主義的に選挙基盤としてきた地方はどうなるのかである(これはあらかじめ予見できたことだが)。

自民党は、小泉さんの最後の選挙で都市部の支持を得ることに成功したが、その結果として地方はさらに疲弊している。それは自民党にとっても新たな問題でしかないわけだ。

◇ジニ係数 所得の不平等感を0~1の間で示す数値。「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、「1」は1人だけに所得が集中する状態となる。イタリアの統計学者、C・ジニが考案した。日本の個人所得のジニ係数は80年前後から上昇。どの統計を使うかで数字は異なり、0.2台~0.4台と幅広い結果が出ている。今回は各自治体の平均所得を使ったが、個人所得の差よりも平均所得の差の開きは少ないため、0.07台という低い水準で推移することになった。