ロングテールとファインダビリティ。

ロングテール提唱者のアンダーソン氏、アマゾンの問題点を指摘」(CNET)

Web 2.0の世界ではおなじみのキーワードとなった「ロングテール」。Wired誌の編集長、Chris Anderson氏が提唱した言葉だ。そのAnderson氏が2月9日、米サンディエゴにて開催中のイベント「FASTfoward 07」に登場し、「ロングテール中級編」として講演を行った。

Chris Anderson氏の講演の概要は、CNET JAPANの記事を参照いただくとして、今回は、今の私の興味の対象であるファインダビリティ Findability――見つけられやすさ、について書いてみたい。

中級編としてAnderson氏は、「ロングテールで重要なことは、十分な品揃えがあるかどうか(Availability)、そして欲しい商品をうまく見つけられるようになっているか(Findability)という点だ」と述べた。

ロングテールとファインダビリティに密接な関係があるのは、直感的にだが実践を通して理解している(つもりだ)。例えばこのサイトには今現在(アクセス解析の対象として)720強のエントリーがある。(それはロングテール・モデルの「十分な品揃え Availability」としては不十分だろうが)。

ログをみれば昨日アクセスされたページ総数は376あり、アクセス総数(ページビュー)は2245である――つまり蓄積された(データ化された)エントリーの約半数がアクセスされたことになる。

しかしそのアクセス総数の5割は、11(わずか3%)のエントリーが稼ぎ出している。この部分がヘッドである。

070213アクセスログ

それは、残り5割のアクセス数はあまりアクセスの無い365(97%)のエントリーが稼ぎ出している、ということでもある――それは長い尻尾であり、まさに「ちりも積もれば山となる」を(私に)見せ付けてくれる――。つまりこんな弱小サイトでさえデータ数(品揃え)が増えれば、ロングテールは機能するということだろう。

つまり(検索エンジンに対してオープンなサイトであれば)、データ(エントリー)数が増えるにしたがってロングテール的なものは機能し、アクセス数が増えるのはあたり前のことでしかないと(私は)思う。

特に今使っているMT(Movable Type)のように、ひとつのエントリーがひとつの固定URLを持つシステムであるなら、それは当然に起こる現象でしかない。

ただここでひとつ条件が付くとすれば、検索エンジンに嫌われていなければ、ということになる――つまりファインダビリティだ。 

ファインダビリティは、見つけられやすさであり、技術的に偶有性を高めることであるが、Webの場合、それは検索エンジンに対しての見つけられやすさになってしまう――なので昨日書いたように、『人間が「人」のためではなく「機械」のために働く』ような感覚に陥ってしまうのだが(……それはさておき)。

技術的に偶有性を高めることは、私がこのサイトをブログ化した最大の理由でしかなく――それを一般的にはSEOというのだろうが――、スパムサイトでもない限り、まずはエントリー数(品揃え)ありきなのだと(私は)思う。

だから事業者団体ブログに関しては「書くこと」でエントリー数を増やすことを強調するのだが――この実践結果については、(たぶん)近日中に中間発表ができるだろう。

SEO的な工夫は勿論必要だろう。けれども(たぶん)それはある程度の品揃えがないと機能しない、という仮説は先に書いた通りなのであって、たぶんそれは実証できると思う。

そして重要なことは、ロングテールは〈あるのか/ないのか〉という議論ではなく、たぶんそれは作り出せるのではないのだろうか、という仮説を立てて実証してみることなのだと(私は)思う――私は今それをやっているだけのことだ。

そしてファインダビリティ的に今わかっていることといえば、データベース的に書く、ということぐらいしかないのだ。つまり簡単に言ってしまえば、データ(エントリー)が無ければなにも起こらないのである(スパムサイトでもないかぎりね)。