鈍感力が大事?
午前7時起床。浅草はくもり。
不協和音収拾?小泉氏「鈍感力が大事」(SankeiWeb)
小泉純一郎前首相が20日、国会内の自民党幹事長室を訪ね、中川秀直幹事長と塩崎恭久官房長官に対して、与党幹部らから安倍晋三内閣の閣僚への苦言や安倍首相の指導力不足を指摘する声が相次いでいる問題について、「目先のことに鈍感になれ。鈍感力が大事だ。支持率が上がったり下がったりするのをいちいち気にするな」と述べ、結束を促した。政府・与党内に不協和音が広がっているのを見かねて、収拾に乗り出したものとみられる。
■鈍感な指導者
ひとこと言わせていただけるのなら、小泉さん、あなたは鈍感すぎた、ということだ。小泉内閣の5年間で、日本の正社員は300万人減り、非正社員は300万人増えた。つまり年収300~600万円もらっていた300万人の正社員が、年収100万円のパートやアルバイトになった。これは鈍感でなくては作れない社会だろう。
■ポピュリズム
しかし、その年収100万円の人たちが、小泉内閣を支持したのもたしかで、これがポピュリズムの怖さである。ポピュリズムは、「鈍感」な人間を大量に再生産し、コミュニケーションのためのコミュニケーションに没頭させることで、政治に参加させているように見せて、じつは参加させていない。だから小泉さんは目先の支持率なんてどうでもよかったのだろう。
以下、「動物化若しくは人間の条件。(法大EC用メモ)」からの引用。
■人間の条件
動物的 | レイバー(労働) | → | 生物的な欲求 |
↓ | ワーク(制作・仕事) | → | 職人的創造から芸術的な創造まで |
人間的 | アクション(活動) | → | コミュニケーション |
■コミュニケーション
ハンナ・アーレントによれば、真に人間的であるのはアクションであり、コミュニケーション――言語的コミュニケーションということになる。
ただコミュニケーションには、レイバーやワークに従属している場合もあり、それは真のアクションではない。真に人間的なものは、レイバーやワークから切り離されて、コミュニケーションとしてのコミュニケーションとしてのアクションである、とされている。しかし、今私たちが直面している現実は、これとは違う事態であろう。
つまり、アーレントのいう「真に人間的」なものであるアクションを、どこまでも純化してみたら、つまりコミュニケーションのためのコミュニケーションを、レイバーやワークとの関係から解放してしまったら、それは人間的じゃなく「動物的」なものになってしまった、ということだ。