「政治に誤った考え」―木村前知事罪状認める。

午前6時40分起床。浅草はくもり。

木村前知事、罪状認める=「政治に誤った考え」-和歌山談合汚職事件・大阪地裁」(Yahoo!ニュース:時事通信)

木村被告は罪状認否で「県民、関係者に深くおわびします」と謝罪。「知事就任直後は、政治は清濁併せのむものだという誤った考えを持っていた」などと釈明した。

清濁併せのむ

「知事就任直後は、政治は清濁併せのむものだという誤った考えを持っていた」と木村前知事は釈明したとされるが、政治は清濁併せのむものだろう。それは人間と言うものが清濁併せ持つ(矛盾の)存在であることで当たり前のことでしかないし、またそうであるからこそ人生は豊かである。

灰色

人間とか人生とかの味わいというものは、理屈では決められない中間色にあるんだ。つまり白と黒の間の取りなしに、そのもっとも肝心な部分をそっくり捨てちゃって、白か黒かだけですべてを決めてしまう時代だからね、いまは。

人間という生き物は矛盾の塊なんだよ。死ぬがために生まれてきて、死ぬがために毎日飯を食って……そうでしょう。こんな矛盾の存在というのはないんだ。そういう矛盾だらけの人間が、形成している社会もまた矛盾の社会なんだよ、すべてが。

矛盾人間のつくっている矛盾社会なんだから、それに適応したやりかたで人間社会というものは進歩させていかなきゃならない。科学的に、理論的にすべてを律してしまおうとしたら、人間の社会というものはすごく不幸なものになっていくわけですよ。必ずしも白と黒に割り切れるものではない。その中間色というものがあるということですよ。(池波正太郎)

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新編 男の作法―作品対照版

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柳下 要司郎 (編集)
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倫理

しかし「清濁併せのむの」解釈を木村前知事は間違っていたのだと思う。彼は己が孕む「濁」に矛盾を感じなかったわけだ(感じたのかもしれないが己の「濁」を選択した)。つまり彼そこが「白黒思考」だったのである。灰色とは己の孕む矛盾に悩むことだ。悩んだ挙句に倫理を貫くことだ。それができないのは、つまり白と黒の間の取りなしに、そのもっとも肝心な部分をそっくり捨てちゃって、白か黒かだけですべてを決めてしまったからだろう。

そういう私も灰色の思考ができなくて悩んでいるわけだが、悩んでいるだけでもまだましか、と自分に甘いのである。(笑)