安倍改造内閣の変わらなかったネオリベ。

安倍改造内閣の顔ぶれ決まる 閣僚名簿を発表

安倍改造内閣の顔ぶれが27日決まった。与謝野馨・新官房長官は同日午後4時過ぎ会見を開き、安倍改造内閣の閣僚名簿を発表した。  主な閣僚は次の通り。(敬称略)  〈総理〉安倍晋三  〈総務相〉増田寛也  〈法務相〉鳩山邦夫  〈外相〉町村信孝  〈財務相〉額賀福志郎  〈文部科学相〉伊吹文明  〈厚生労働相〉舛添要一  〈農林水産相〉遠藤武彦  〈経済産業相〉甘利明  〈国土交通相〉冬柴鉄三  〈環境相〉鴨下一郎  〈防衛相〉高村正彦  〈官房長官〉与謝野馨  〈国家公安委員長〉泉信也  〈沖縄・北方担当相〉岸田文雄  〈金融・行政改革担当相〉渡辺喜美  〈経済財政相〉大田弘子  〈少子化担当相〉上川陽子 (asahi.com)

OSは変わらない

ハリネズミの概念と三つの円マスコミは、新しい党三役や大臣のことばかりを取り上げるているが、この内閣の本質を見抜くためには、安倍改造内閣で、変わらなかったポスト――つまり、〈経済財政相〉大田弘子、〈金融・行政改革担当相〉渡辺喜美、〈国土交通相〉冬柴鉄三――こそまずは注目すべきだろう、と思う。

まずこの人事からら理解できることは、経財政策、金融・行政改革担政策、公共事業(国土交通省)については、基本的には前内閣(というか、小泉・竹中政権)とあんまり変わらない、ということだ。→「経財相に大田弘子氏。

それはネオリベ(新自由主義)路線に変化はない、ということであって、つまりネオリベ的なものが、安倍政権のOSとして機能していることに変化はない。

リバタリアニズムのOS化
リバタリアニズムのOS化の象徴としての談合問題

変化

維持と変化ただ、要は、変化してもよいものに、なにを選択したのか、なのである。

(ドラッカーのいう意味での)マネジメントは、「維持」(変えてはならないもの)と、「変化」(変えてもよいもの)のハイブリッドである

上記のとおり、ネオリベ路線は変わらない(維持するもの)、として、今回の参議院選の敗因は、そのネオリベ路線への、地方からの批判だ、と自民党が認識しているのは間違いないだろう(なので、ネオリベ路線を「維持」していることこそが間違いだと思うのだが、安倍さんにその認識はない)。

だからこそ、「変化」にネオリベ路線を覆い隠すようなものを持ち込む必要がある。今回の組閣では、〈総務相〉増田寛也が、それを顕著にあらわしている(地方活性化も担当されるのだと思う)。

〈総務相〉増田寛也

増田さんは、前の岩手県知事であり、私は、彼が知事の時代に、岩手県の建設産業再生プランの委員をしていたことがある。なので彼の政治姿勢は、肌で感じてきたつもりだ。

私の知る限り、県知事時代の増田さんの問題解決方法は、似非マーケット・ソリューションに過ぎなかった――マニフェストによる公共事業費の削減確約、一般競争の導入。雇用の問題はお決まりの農業への移行政策――のだが、それは大きな負の遺産を岩手県に残した(つまり失敗している)、といっていいだろう。

しかし増田さんは、知事就任当初は、公共工事の問題を 「地方財政の体力的な限界と、雇用対策の必要性とのトレード・オフの関係」と認識できていた方だ。つまり、何故、地方自治体は、似非マーケット・ソリューションしかとりえないのかを知っておられると思う。

そのあたりを是非国政に生かしていただきたいと思うのだが、前長野県知事のように、知事時代にやってきたことが正しいかった、などといいそうなので、心配ではある(そうなる雰囲気は多分にある)。

そして彼は、元々小沢さんのお膝元である岩手県で、小沢さんの支持を得て知事になった人だ。それが最後は、小沢さんとは仲違した、と聞いている。そうすると、なにか小沢さんへのあてつけ人事のようにも思えるわけで、まあ、それはそれで面白いのだけれども、地方再生をそんな政局の道具にされるのは嫌だなと思う。

まあ、お手前拝見、というところだろうか(つまり、たいして期待していない、ということだ。なにしろネオリベ路線は変わらないのだろうから)。

追記

あと2つ、変わらないポストがあった。〈文部科学相〉伊吹文明、〈経済産業相〉甘利明 。これも上の文脈でとりあえずは読んでおいてよいだろう(というか、このお二人、私にとってはとても影が薄い)。

うがった見方をすれば、これら留任組は、党内に人材がない、とも考えられるわけで、つまり自民党内の反小泉・竹中的なアレルギーは、意外と強いのかもしれない。