THE pinkhip WORLD    「中小建設業情報化講座」 第10回 |戻る 著作権|   

第10回 情報化推進の段階的取組み
仮想建設会社A社場合(2)
イントラネットアプリケーション


今回は、本講座第7回「情報化推進の段階的取組み仮想建設会社A社場合(1)の続編です。

前回、仮想建設会社A社における情報化の取組みの準備段階を以下の表にまとめました。
全社共通取組み事項 総務部取組み事項 土木部、建築部取組み事項
目標:
社内の標準インフラとしてのイントララネットの構築
目標:
・受発注システムの構築、情報提供サービス部門としての組織変革
目標:
・CADの導入と現場担当者レベルでのCADの利用
・デジタルカメラによる工事写真管理
準備段階 情報化プロジェクトチームの発足

インフラの整備計画
具体案:
・拡張性のあるインフラの整備(現場−本社間のWAN接続を考慮)
・当初の利用範囲
・利用者教育の問題
・予算の確保
具体案:
・社内の標準インフラとしてのイントラネットでの情報展開を考慮したアプリケーション選択
・人員の問題(不足なのか過剰なのか)
・利用者教育の問題
・予算の確保
具体案:
・社内の標準インフラとしてのイントラネットでの情報展開を考慮したアプリケーション選択
・人員の問題(専任のオペレーターが居る場合、その処置)
・利用者教育の問題
・予算の確保

つまり、各部門から出された個々の情報化の部門目標を、インテグレートする仕組みとして、イントラネットの導入を加味させたわけです(情報化におけるインテグレードの必要性、建設業におけるイントラネットの可能性は、本講座第8回を参照してください)。
実際、この準備段階が一番重要であり、苦労もあり、且つ又楽しい作業となると思います。

但し、イントラネットの成功は、企業の情報リテラシー(情報に対する能力)と密接な関係があります。
最近よく見受けられるイントラネットやグループウェアの失敗例は、導入の初期段階から高度なアプリケーションをスタートさせ、社員が追いつけずにプロジェクトが立ち往生するケースです。
導入時はユーザーである社員を参加させながら、段階を踏んで情報リテラシーを育てていくことが重要です。
準備段階では、当然これを踏まえた計画を行わなくてはなりません。

■イントラネット・アプリケーションは何を選択するのか
イントラネットの導入に際しては、「イントラネット・アプリケーションは何を選択するのか」をまず考えなくてはなりません。
自社に情報化のための専門部門を持つことができないA社のような会社では、ほとんどの場合、その構築を外注するか、情報化プロジェクトチームが中心となった社員自らの手で行うことになると思いますが、いずれにしても「イントラネット・アプリケーションは何を選択するのか」で外注するか否も決まってきてしまう問題です。

私は、できれば自社の社員で、インフラの構築・運用・管理を行うような指導をしています。建設業の場合、特に現場でのLANでの構築・運用・管理は、現場でPCを使うものが自ら行うことが大原則だと考えています。
市街地ならまだしも、交通の便の悪い現場に、なにかあるたびに本社から担当者を呼んだり、ベンダーから保守要員を派遣してもらったりでは、現場の情報化どころではありません。せいぜい電話でサポートが済むような体制の確立は必要なのです。イントラネットの成功は、企業の情報リテラシーと密接な関係があるのです。
そのようなEUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)スキルの獲得は、建設業(特にゼネコン)の場合、何でも外注体質が蔓延していて、なかなか難しいのですが・・・・

「イントラネット・アプリケーションは何を選択するのか」という質問にたいする私の答え

 ・高機能である必要はない。必要なのは高信頼性である。
 ・導入・運用・管理は社員で行えるレベルで。
 ・イントラネットのシステム導入に対して、大きな投資は必要はない。
 ・投資は社員の情報化リテラシー向上のために。

次回は次の段階、「助走段階」についてです。
全社共通取組み事項 総務部取組み事項 土木部、建築部取組み事項
目標:
社内の標準インフラとしてのイントララネットの構築
目標:
・受発注システムの構築、情報提供サービス部門としての組織変革
目標:
・CADの導入と現場担当者レベルでのCADの利用
・デジタルカメラによる工事写真管理
助走段階 一部で試験的な運用スタート
準備段階 情報化プロジェクトチームの発足

インフラの整備計画
具体案:
・拡張性のあるインフラの整備(現場−本社間のWAN接続を考慮)
・当初の利用範囲
・利用者教育の問題
・予算の確保
具体案:
・社内の標準インフラとしてのイントラネットでの情報展開を考慮したアプリケーション選択
・人員の問題(不足なのか過剰なのか)
・利用者教育の問題
・予算の確保
具体案:
・社内の標準インフラとしてのイントラネットでの情報展開を考慮したアプリケーション選択
・人員の問題(専任のオペレーターが居る場合、その処置)
・利用者教育の問題
・予算の確保

98/09/28   補足へ



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