THE pinkhip WORLD    「中小建設業情報化講座」 第15回 |戻る 著作権|   

第15回 情報化推進の段階的取組み
仮想建設会社A社場合(4)
イントラネットアプリケーション1


前回この仮想建設会社A社の場合(3)助走段階を書いてからだいぶ時間が経ってしまいました。
今回から(4)以降の展開をしていこうと思います。
今後の話しの展開を容易にするために、前回の内容を再掲しながら話しを進めていこうと思います。

イントラネットシステムを助走させる。
全社共通取組み事項 総務部取組み事項 土木部、建築部取組み事項
目標:
社内の標準インフラとしてのイントララネットの構築
目標:
・受発注システムの構築
・情報提供サービス部門としての組織変革
目標:
・CADの導入と現場担当者レベルでのCADの利用
・デジタルカメラによる工事写真管理
助走
段階
一部で試験的な運用をスタートさせてみる

利用者の反応のフィードバック
具体案:
アプリケーションの選択

アプリケーションでの試験運用スタート
具体案:
アプリケーションの選択

アプリケーションでの試験運用スタート
具体案:
アプリケーションの選択

アプリケーションでの試験運用スタート
準備段


情報化プロジェクトチームの発足

インフラの整備計画
具体案:
・拡張性のあるインフラの整備(現場−本社間のWAN接続を考慮)
・当初の利用範囲
・利用者教育の問題
・予算の確保
具体案:
・社内の標準インフラとしてのイントラネットでの情報展開を考慮したアプリケーション選択
・人員の問題(不足なのか過剰なのか)
・利用者教育の問題
・予算の確保
具体案:
・社内の標準インフラとしてのイントラネットでの情報展開を考慮したアプリケーション選択
・人員の問題(専任のオペレーターが居る場合、その処置)
・利用者教育の問題
・予算の確保
■中小建設業に最適なイントラネットアプリケーションとは。

第11回で私は以下の様に書きました。

助走段階での具体的な作業は基本アプリケーションの選択とその試験的な運用にあります。
中小建設業の場合、如何に導入・運用・管理が容易であるかがその選択基準となると考えて良いでしょう。

中小建設業のイントラネットシステムとして選択可能なパッケージアプリケーションとしては、Lotus NotesやジャストシステムのJoss、MS Exchange等がありますが、自社の導入・運用能力(専任の管理者を置けるか否か等の問題も考慮して)選択する必要があります。

この助走段階では、あれこれ欲張りしてはいけません。特にユーザーの情報リテラシが低い場合、最初からあれこれ要求しても挫折するだけです。
助走段階では、役員を含めた情報化プロジェクトチーム+αで、まず、このイントラネットシステムで何ができそうなのかを考え、試行してみてください。この段階はアイディア勝負です。
ここで発見できた事項は必ず自社の情報化を活性化する重要な要因となってくることでしょう。

これではあまりに抽象的過ぎます。
このあたりでの誤解も多いようです。つまり、以下の理解が必要です。
・所謂グループウェアとイントラネット型グループウェアは違うものであること。
・中小建設企業が簡単に導入でき、また活用できるものとはイントラネット型グループウェアであること。
・それは現場からの利用を最優先とした選択であること。
・まず中小建設企業に求められるイントラネットアプリケーションの機能とはコミュニケーションインフラであること。

■グループウェアとイントラネット型グループウェア
このような質問がきます。
「LotusNotesとMS-Exchangeのどちらを選択したら良いでしょうか」

こと、仮想建設会社A社のような中小建設企業の場合に限って言えば、どちらも必要はないでしょう。
中小建設企業に限らず、建設業情報化の視点は「現場の情報化」にあります。
つまり、イントラネットアプリケーション選択の視点は「現場で使えるか」なのですが、残念ながら、固有クライアント(NotesクライアントやOutLook)の使用を前提としたLotusNotesとMS-Exchangeは、建設業での使用、特に現場での使用には向かないと感じています。

また、建設CALS/EC(に限らずEC全般)でのユーザーインターフェースが、Webブラウザになるであろうという仮定の基では、Webブラウザから全ての操作が可能であるイントラネット型のグループウェアの導入が前提でしょう。

勿論、Notes(現在はDominoという呼ぶのが正しいようですが)にしろExchangeにしろWebブラウザからのアクセスは、可能ではありますが。。。

■中小建設企業が簡単に導入でき、また活用できるものであること。
問題はこの視点です。
これは各社の情報化の目的によっても大きく左右される問題ではあります。
例えば、最近私がよく使っているイントラネット型グループウェアでサイボーズ3とDominoを比べた場合、これを同一の土俵で比較するのは難しいものがあります。
以下に各々の特徴を簡単に書きます。

◇サイボーズ3
サイボーズ社のイントラネット型グループウェア
・グループウェアとしての機能、スケジューラー、電子掲示板、電子会議室、文書管理、共有アドレス帳等の定番機能を備えている。
・非常に既製服的な機能構成を持ち、静的な情報共有には非常に有効。
・インターネット標準技術の採用による高いインターネット親和性を持つ。
・導入・運用が比較的容易。
・比較的定予算で運用まで可能。

◇Domino5.01
Lotus社のグループウェア界のデファクトスタンダード。
・サイボーズ3が出来る事は全てできる。
・その上で、これは優れた文書型データベースであるとの理解が必要。
・故に、データベース機能を最大限に活用した業務での活用に強み。例えば、ISO文書管理、営業報告、顧客情報管理等。
・導入・運用はパソコンをちょっと知っているクラスでは無理(笑)。
・故に導入・運用までの費用はサイボーズ3に比べれば桁違い。

ここで勘違いされてはいけない。
これはどちらが良いとか悪いとかの問題ではないのです。
つまり、貴方はイントラネットで一体何をしたいのですか?という事を聞いているのです。
そして、貴方がしたい事とは本当に貴方の会社にとって必要な情報化なのでしょうかということです。

以下、次回へ。

 99/10/24  



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