「中小建設業情報化の為の5つのポイント」 その3
|目次へ戻る |序説|その1|その2 | その3|その4|その5|著作権|
■情報のデジタル化の意味するところ
紙による情報交換と共有を基盤としたシステムからデジタル化された情報の交換と共有を基礎とした公共事業システムへの移行が建設CALS/ECです。
この動き(紙ベースからデジタルへの転換)は、公共事業のみならず電子政府の実現要求として行政全般にわたって要求されていますが、これがデジタル革命(IT革命)による行政のデジタル化要求つまり電子政府の実現です。
建設CALS/ECはデジタル革命による行政のデジタル化(電子政府)の文脈に存在するものであり、他の情報化政策から独立したものではありえません。建設CALS/ECは電子政府が当然に備える機能の一つです。
デジタル革命はデジタル化された情報の生成と流通、活用が最優先される社会の実現という意味で情報社会を現実化します。
情報社会の意味するところは時間と空間の無であり時間と空間の密接です。
我々が情報社会に生きるということは、デジタル化されたデータがより容易により高速により有効に生成、流通、活用できる、コンピューターとネット ワークよる情報交換・共有を基盤とした経営を行うということです。
■業務プロセスからの曖昧性の排除
情報化とはデジタルデータがより生成しやすく流通しやすく活用しやすい仕組みと しての業務プロセスの再構築作業ということです。
この文脈においてデータは「標準化」を要求されます。つまり情報化は標準化の作業であり、それは当然にデータのデジタル化の作業です。
データが部署や組織の枠を超えて共有され活用されるためには標準化が不可欠です。さらにはデータを標準化するには、そのデータを作り出す業務プロセスの標準化も避けては通れません。
その為には、デジタル化の要求文脈に沿った業務システムの再構築が必要とされるのですが、これが情報化によるBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)です。
情報化は常にデジタルデータがより生成しやすくより流通しやすくより活用しやすいように機能します。それは業務に情報システムをあわせるというよりも情報システムに業務をあわせるという意識を必要とするでしょう。
この部分は総論賛成各論反対の格好の的になりますが、自分のところだけは特別であるということは絶対にありません。
標準化は社内の合意形成の作業であり、故に組織の標準に一個人一部署の自由が勝るこ とはありません。
この理解を全社的に得るのは決して簡単な作業ではないこともたしかです。そして情報化の取組みにおいては、経営トップのリーダーシップの欠如と共に、この標準化へのセクショナリズムが大きな障害となっているのは否めません。
■電子化の段階的取組み
最初の全社的な情報化の取り組みは、なるべく短いスパン(最長3ヶ月程度)で最 も効果が高い(必ず成功する)と思われる部分からはじめてみことが効果的です。
つまり今できることから始めればよいのです。
これまでやってもいなかった業務を情報化と称して始めることは情報化失敗の最たる例です。
業務の情報化にはあるレベルの全社的な情報リテラシーが必要なのですが、意外とこの部分をないがしろにした情報化理論がまかり通ってきたと思えます。
そのような情報化の失敗が多くの経営者の情報化意欲を喪失させた罪は重いように感じています。
特にそれはベンダー主導の情報化に多いのですが、曰くこのアプリケーションを使えば業務は効率化される。
しかし、このような視点の情報化は単なる枝葉論であり御社の情報化全体からみれば部品的でありモジュールにすぎません。
これ(モジュール的情報化)を可能にするものはあるレベルでの全社的な情報リテラシーと全社的な情報インフラの存在であることを肝に銘じましょう。
故に電子化の段階的取組みにおける最初の視点は全社的な情報リテラシーの向上です。
その意味でも最初の取組みは電子メールやイントラネットの活用である必要があるのです。
つまりコミュニケーションベースの情報化から始めることです。
コミュニケーションベースの情報化の成功は社員の情報リテラシーと密接な関係をもっており、全社的視野なくしては不可能です。
逆説的情報化ではありますが、電子メールやイントラネットの活用を目的とした情報化の取組みは、全社員レベルでの情報リテラシーの向上には最も効果的な手法です。
■自社の情報化指針としての建設CALS/ECアクションプログラム
建設CALS/ECを見据えた社内情報化とはいったいなにからはじめればよいのかという質問を良く受けますが、そのときには「建設CALS/ECアクションプログラム」や「建設省行政情報化推進計画」 を自社の情報化指針として利用することをお薦めします。
建設CALS/ECアクションプログラムのフェーズ1を見てみましょう。
これはすでに終了してしまったフェーズなのですが、現時点で受注者が対応すべき情報化の整備目標がここ に書かれています。
フェーズ1(1996〜1998年) 整備目標
建設省全機関において電子データの受発信体制の構築
実現内容
事業に関連する情報の伝達・交換を電子メール化
電子媒体又は電子メールによる 申請・届出
調達関連情報のホームページ掲載
調達情報に関するクリアリング ハウスの構築
実現のために不可欠な措置・技術
インターネットの利用環境の整備
実証フィールド実験の推進
電子調達に必要な技術の開発
電子データ標準化に関する研究
ここでいわれていることはます第一に電子メールを使いましょうということです。
そしてそのためには電子メール・インターネットを全ての社員が利用可能なインフラの整備をすることですということです。
(この文脈において「現場の情報化」がクローズアップされてくるのです。)
98/12/18
00/07/15 一部改訂
参考→ 店主戯言 2000/07/15 【情報化ということ】
|目次へ戻る |序説|その1|その2 | その3|その4|その5|著作権|
■桃知商店謹製■
(c) Copyright TOSIO MOMOTI 19982000.All rights
reserved.