[店主戯言00106_01 2001/06/01〜2001/06/15 "There goes talkin' MOMO"

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2001.05.16更新!→【桃知利男の現場IT化戦略 KEN-Platz 建設現場情報局連載コラム】


2001/06/15 (金)  
【読者からメール】

久しぶりに,日刊建設通信新聞の建設論評の原稿を書く。(先月は穴をあけた。m(__)m)
たった1200文字だからすぐ書けるだろうと思われるかもしれないが,この店主戯言に戯言書いているようには行かないのだ。

今回の話題は,最近の私の楽しみであるISO9000'sの悪口。(笑)
たとえば,本日付の日刊建設通信新聞には,日建協・ISO9000s調査,「有効に機能せず」8割超と言う記事が載っている。

『システムの定着は,「定着しているが有効に機能していない」が68.4%と最も多く,「定着していない」の13.0%を加えると8割を越す。その理由として「内部監査またはサーベランスの時にしか実際にやらない」(48.3%),「書類作成が管理だと勘違いしている」(47.4%)に回答が集中している。』

これが,管理の形骸化と私たちが呼ぶものであることとは,説明を要しないであろう。

って,書いたが,ISO9000'sは取得しないと,公共建設市場からはオミットされかねないような情勢である。
困ったものだ。入札契約法にISO9000'sは公共事業の品質管理に有効だなんて書くからだよな,と思っているのだ。わたしゃ。

まあ,そう文句ばかりも言ってもいられないので,ISO900's認証取得後のIT化戦略というのが,私にはきちんとあってね,それが(↓)の「建設CALS/ECをキーワードとしない講演」の中身でもあるわけだわね。

さて,読者からのメール。
※私にメールを送ったら,無断で引用・掲載される可能性が高いことを,十分理解されてメールを送ってくださいね。(笑)

改めて思うことは、本当に様々な企業があるということです。
ITのかけらも見られず、会社の奥のほうでPC98が一生懸命稼動している企業。
それでも実際仕事はしっかりこなせるんです。もちろん建設CALS/ECなんて知りません。

方や経営層が情熱を持ってIT化に取り組んでいる企業。趣味が講じてLinuxでLAN環境を構築し、電子掲示板を利用し、新しいシステムを導入する前に社員に掲示し、準備期間とゆとりをもってIT化のステップアップを計っていました。

私が訪問しているところは、比較的規模が小さいところが多いです。好んでそうしてるとこもありますけど。訪問の際には、先日の日経Coの窪田建設様の事例を簡単に紹介させていただき、幕を閉じるというのが恒例になっています。(勝手に使わせていただき、すみません)反応は、すごく良いんですよね。本当に。すごく興味を引くんですよね。中小建設企業のIT導入事例はなかなかないですから。

現実的に建設CALS/EC=コスト削減はすべての企業で確立できません。IT化による意識改革のすばらしさをもっと伝えていきたいですね。現実的にIT化=ペーパーレスなんて、実行できてる企業はないんじゃないですかね。ためし打ちやチェック用なんて言って余計に紙を使ってたりして。

ただ、今回自分がヒアリングした企業のうち、数年後には何社か潰れていたりなんてことは.....。本当にがんばってもらいたいです。

それと情報ってどんなとこにも入っているように見えますけど、やっぱり望まなければ入ってこないんですね。
すいません。つまらない話でした。

そういえば、ももちさん蕨にも建設業のIT化に熱心に取組む企業がありました。うれしいですね。

蕨の会社は私はしらないぞ。灯台下暗しか。(笑)
そういえば,日経コンピュータのセミナーでの,窪田さんの講演ビデオが届いた。

遊びの要素をいれたGWの活用法とでもいうんだろうか,流石に窪田社長は話が面白いので,次回の法政大学エクステンションカレッジで,使用することにした。

情報化がなかなか進まずに悪戦苦闘しております。
社長も情報化を進めろといって私を誘いましたが、予算を出してくれず、どのように情報化していこうと悩んでおります。

予算を認めさせるのも自分の仕事ですから、めげずにがんばりたいと思います。人口3万人の市なので、まだまだ情報化に向けて動いている業者さんは少ないです。なんか自分達の世代ではCALSは関係ないような顔をしております。困ったものです。

桃知さんのHPを読み勉強させていただいております。多忙でしょうが、体に気をつけて頑張ってください。

人口は関係ないんだな。問題は自社の市場性。窪田建設さんの駒ケ根市だって,3万そこそこの人口だからね。
IT化は,ISOのように取得すればいいというわけじゃない。目に見えてアピールするものがないからね。

IT化は明確な経営理念とその目的が提示できないと出来ないのです。
その意味では,ISO以上にに経営の本質に迫りますからね。社長の器量が問われます。

そして最後は秋田から。
桃知先生のホームページを見て、わざわざ仙台から来たいとのご連絡があり、お受けいたしました。すごいファンの熱ですね。
・・・「ご来秋」が受けるとは思っておりませんでした・・・
先生のご来秋のお土産を本日手配しました。
ちょっとウケねらいなんですが、多分お使いいただけると思います。お楽しみに。

仙台から秋田は結構遠いんじゃなかったっけ?ありがとうございます。
秋田での講演は私自身とても楽しみにしています。



【建設CALS/ECをキーワードとしない講演の感想】

先日の,建設CALS/ECをキーワードとしない講演の感想が届いた。
ありがとうございます。以下ランダムに列挙。

ためになりました
勉強になりました。ありがとう。
中小の会社にはたいへんよかった
たいへん有益なお話でした。私は単なる従業員の為、TOPへ相談したいと思いますが、自社で是非講演して頂きたいと思います。その上でIT化の話を自社で推進できたらと思いました。
CALS/ECに対する疑問が少し理解できた
大変参考になりました。もっと、各地区で実施してほしいと思う
コアコンピダンスでの建設会社の体質について、ピッタリ自社にあてはまり面白い
自分のような知識のない人間でもわかりやすくよかったと思います。
何か危機感みたいなものを感じました。とにかく先生の講義がおもしろかった。
大変おもしろかったのですが、まだLANを組むメリットがよくわかりません。
前に、LANを組んだ事があるのですが、TEL、直接言った方が早い等いろいろ問題が出ました。LANの活用法を考えないといけないですね。
目標がはっきりしてきた
費用の問題があるので会社のオーナーレベル講和、講演会を開いていただきたい。
大半のオーナーは、IT化しなくてはならないと思っていても理解(IT、パソコン)できる若い技術者にまかせるだけで自ら導入とか使用については消極的になってしまう点が当社でも問題になっている為
IT化、CALS/EC、コアコンピタンスこの3つをどう関連づけるか明確になった。
現場の導入の必要性が分かりました。
差別化を考えます。
ためになるお話をありがとうございました。
とても有意義な内容であり、当社としても一考の余地が有ると考えられる。

概ね好評のようでなによりである。
そして,今回の講演では,差別化やコアコンピタンスという言葉が,受講者から出て来ていることに,素直にうれしさを感じている。

それは,(↓)の【電子入札】にも関連するのだが,今の国土交通省のいう建設CALS/EC(電子入札や電子納品がCALSだなんて話)では,本来CALSが要求する,差別化やコアコンピタンスという,資本主義経済下の企業活動では,当然のマネジメント戦略が機能不全となりかねないからである。

そのことは,建設CALS/EC以外の政策で進む(たとえば,入札契約適正化法),公共建設市場の市場メカニズムに対して,対応不能な地場型中小建設業を生み出しかねない。

つまり,今の建設CALS/ECでは,自社がCALSで生き残れる,良い会社になろうとするインセンティブが働かないのだ。
そんなCALSはCALSではない。

入札契約適正化法の概念の多くは,本来,公共建設市場におけるCALSの実現文脈において説明されるべき理念である。
理念なきCALSは技術論に収斂してしまう。それが今の建設CALS/ECの姿だろう。

建設CALS/ECは,国策として,何のためにやるのかを再度明確にする必要があるだろう。
それは,第一義的に発注者側の業務プロセスの改善であり,公共事業システム全体の効率化のためであり,アカンタビリティの達成のためであり,しいては公共工事が広く国民に必要なものだと認識いただくためのものである。

建設CALS/ECで変化すべきは,まず第一に発注者でなくてはならない。

PS.ついでに,社内IT化で変化すべきは,まず第一に経営者でなくてはならない。



【電子入札】

昨日は,午後から六本木にて電子入札方式についてあれこれ。
公共工事における電子入札方式は,現在,国土交通省(JACIC)方式と,横須賀(NTT)方式がある。

国土交通省直轄事業に関しては,当然に国土交通省(JACIC)方式となるので問題はない。
だが,建設CALS/ECの全国的展開(地方への展開)においては,国土交通省(JACIC)方式と,横須賀(NTT)方式は競合することとなるのである。

つなり,自治体における電子入札については,特に国土交通省(JACIC)方式である必要はないということだ。
横須賀(NTT)方式も自治体への普及に向けてプレスリリース等を行ってきているし,横須賀は国土交通省よりもひとつきほど早く,この9月から電子入札を開始する。

つまり,そこには競争がおきているわけで,上意下達的に国土交通省(JACIC)方式で統一されてしまうよりは,それはそれでいいことではないのだろうかと思う。

私の立場では,電子入札方式はどちらでもかまわないという見解である。
どちらにせよ,受注者(つまり私の関与先である地場型中小建設業)にとって,必要十分条件は,インターネットに繋がったPCと,数字を間違いなく入力できる能力だけである。

どちらの方式にしろ,従来の紙による入札がデジタルに置き換わっただけの話であり,最適の生産・販売プロセスの構成というCALSの調達視点が働かない限り,なにも今までとは変わらないのだ。

その意味では,横須賀(NTT)方式の,最初から建設CALS/ECとは関係ない生い立ちというのは,面白いと思うし,CALSの精神を反映したものとしては,私的には,電子入札に関して言えば,ここにもう一枚加えたい。それはCMnetである。

私は,2000/11/30 (木) の店主戯言,【CMnet】で,以下のように書いている。
森ビル+ソフトバンクによるCMnetは要注目どころではないなぁ。
http://www.cmnetcorp.com/

ここで行われようとしていることはまさにCALSの発展系のようなものだ。
というよりデータ標準なんてことよりも、建設eマーケットの確立を狙うという部分において、その戦略そのものがCALSだなぁと感じる次第。

今までも同じようなものがあったかもしれないが、私の動物的な勘(笑)によると、これはかなりいけるかもしれないと感じている。

例えば、このシステムを公共事業に適用することだって可能なわけだから。

@ 建設・不動産業に関わる企業が誰でも参加できる公平で中立なマーケット
A 分離発注方式やコンストラクション・マネジメント(CM)方式の採用により、建築コストや施工会社決定のプロセスが透明なマーケット
B 全ての企業に開かれたマーケットでありながら参加企業間に必要な守秘性が確保されたマーケット
C 多くの企業の参加により競争原理が働き、品質の確保と低コストの実現が可能なマーケット
D 世界標準のマーケット の実現を目指します。  

2001/06/14 (木)  
【21日は秋田に行きます】

オープンセミナーというわけではなかったので,このHPでは全然告示しておりませんでしたが,21日は秋田で,北都銀行(北都ビジネスクラブ)さんの大商談会で講演をします。

昨日その資料が秋田から届きました。
「ご来秋に関する」ってあるんですね。来秋なんだな。なんとなくいいなぁと思う。岐阜だと,来岐(らいぎ),埼玉だと,来埼(らいさい)か。(笑)

一応,建設CALSセミナーという名前のセミナーになっておりますが,最近の私は,CALSの話を殆どしませんので,CALSのセミナーだと思ってきていただくと,拍子抜けするかと思います。

最近の私の論調は,政治の話と,戦略としてのIT化の話とISOの悪口です(笑)。
先着20名様限定。13:00〜16:00までの3時間講演。となれば,これは殆ど独演会ですなぁ。

集客状況は聞いておりませんでしたが,20名様でしたら,もう既に埋まっていないと悲しいです((笑)。
独演会と同じ扱いでの喋りとしますので,秋田の皆様,楽しみにお待ちください。
独演会扱いですので,恒例の特製千社札シールをお持ちします。超レアもの「ITですな 桃知」(2枚一組でしか配布する量がありませんが)

尚,当日は秋田泊ですので,面談ご希望の方がおられましたら,事前にメールをいただければ対応可能です。
店主へメール


【楽しいメール】

蕨は雨。
今日から暫くは,蕨を起点として活動できるので,なんとなく楽。

さて,楽しいメールその1。
11万〜15万円位で出ているノートパソコンでお勧め商品はどれですか?
ソーテック商品以外でお願いします。

こういうメールもくるのである。楽しいでしょう?

しかし,なんでSOTEC以外なのかは知らないけれど(多分,過去にSOTECで悲しい思いをしたのであろう,私も実はSOTECの製品は二度と買わないと思っているSOTECユーザーである),今回のように,まず価格ありきの場合,やはり価格ドット・コムで調べるのが常套手段だろうなと思う。

ということで,ノートブックを価格15万以下で検索をかけると,82件も出てくる。
後は,用途と自分の好みで選んでもらうしかないだろうな。なぜかというと,私のお好みのマシンは残念ながらそこにはなかったからだ。(笑)

強いて挙げれば,Libretto L1/060TNMM PAL1060TNMM の124,800円は魅力的かと思う。

楽しいメールその2。
納税者のための行革推進に一役
−2001.5..11日本経済新聞(夕刊)
「役所は変わる。もしあなたが望むなら」−。財務省の現職官僚、理財局計画官の村尾信尚氏(45)が納税者のための行革推進ネットワーク「WHY NOT(どうして? やってみよう)」を仲間と立ち上げた。英国の「市民憲章」をモデルに、納税者自らが公共サービスの「注文書」を作り、政治家に働き掛けていくという。

(ざっくりと中略)

インターネットのホームページ(http://webs.to/whynot/)でメンバーを募集したところ、経済産業省の官僚や地方公務員など、100人近い賛同者が集まった。7月には第1回会合を開き、”公約”の具体案を検討する。
平日はもちろん、財務官僚として行政改革に取り組んでいる。財政投融資の資金が本当に役立っているのか。効率的に使われているのかに目を配る。政府系金融から融資を受けている企業に直接ヒヤリングするなど、情報収集にも余念がない。

ということなので,早速,「‘ お役所仕事は変わらないよ ’‘ Why not ? (どうして? やってみようよ) ’」のHPを訪問。
確かに,お役所仕事は変わらない(お役人さん本人がそう言っているんだから,そうなんだろう)。

私もそう思うところもあるけれど,それはお役人の怠慢だけではなさそうだとも思っている。
すべての国民が感じるべき問題なのだろうと思う。

といいところで,楽しいメールその3。
ISOー9000,ISOー14000,プロジェクト管理、危機管理、環境アセスメント、パブリック・インボルブメント、時間管理、事前評価、事後評価、代替案、パブリック・コメント、PFI、ITS、GCO,CM,コンカレントエンジニアリング、電子調達などはすべて1つなどであります。
つまり、情報モデルとプロセスモデルの構築と実施、運用です。
それを、Faster, Cheaper, Betterにする戦略がCALSなのです。
さらに今は、Acquisition Reform, Human Capital など人の要素が加わっています。
上の各項目をバラバラにするから、おかしくなるのであります。
ISOは入札資格と取るためだけになるのは、その典型例であります。

これは,まったく同感。
なので,私自身も,昨日書いた通り,【建設CALS/ECをキーワードとしない講演】などということになってしまっているのだ。

そこで,昨日の四ツ谷の秘密会議の話題。
ISOの顧客要求,とかCSと言ったときの「顧客」って,公共事業の場合誰でしょうねぇと言う話。

答えは「発注者」である役所なのだ。
でも,それじゃ,本当の顧客である,「国民」「納税者」「有権者」の姿が見えなくなってしまう。

だからISO9000's認証を取得すべきは,発注者である役所である必要があるのだけれど,その気のある役所はまずはないのだ。

そこでは,VS(有権者:voter満足)って言う概念が必要なんだろうなと思う。というような話をしていたのだった。

楽しいメールその4。
「まぐまぐ大全集」と言うのは、まぐまぐで発行されているマガジンを古い順からまとめていこう、と言う内容です。
メールマガジンで紹介すると共にHP上でもまとめてあります。

勝手ながら貴マガジンも紹介させていただきました。良かったらHPで確認してみてください。
http://homepage1.nifty.com/hyu-hyu/mag/mag.htm

それから、これは僕のささやかな希望(笑)なのですが、
もしよかったら1回で結構ですので、貴マガジンで「まぐまぐ大全集」の宣伝をしていただけたらうれしいと思います。
勝手なお願いですので、無理にとは言いませんので、無理だったら結構ですが。

よろしくお願いいたします。

それでは、これからもがんばってください♪

宣伝してくれということなので,宣伝してみました。
しかし,結構廃刊されているメールマガジンって多いのですね。

ももこむ通信は4197番なのですが,4101〜4200までで,生き残っているのはわずか11。
「継続は力なり」って言葉があるけれど,「石の上にも三年」,私もよくも三年も持ちこたえているものだなぁと,自分自身に感心するのでありました。

2001/06/13 (水)  
【大垣から帰る】

大垣から帰ってきて,とりあえず眠る。
太田ジオさんから琵琶が届いておりました。毎度,おおきに。m(__)m

夕刻は,四ツ谷の後楽で秘密会議。(笑)
会議の内容は,秘密。(だから,秘密会議なのだ)

今日はメールがいっぱい。
だけど,それは明日紹介することにしよう。

今日は酔っ払っていて,もうだめ。m(__)m
おやすみなさい。


【建設CALS/ECをキーワードとしない講演】

昨日は,予定通り,岐阜県建築工業会IT化スタートアップセミナーで講演。
約3時間,建設CALS/ECをキーワードとしない講演を試みたが,評判はおおよそ良かったようである。

CALSに替わるキーワードは「公共建設市場のIT化と市場メカニズム化」とした。
これは,「本来の建設CALS/EC」が語られるときの背景である。

建設CALS/ECといったときの,電子入札や電子納品というような,あまりにも閉塞したIT化レベルの話は,地場型中小建設業にとっては,なんら自社のIT化へのインセンティブにはなりえていないし,IT化本来の機能を誤解されかねないという危機感からである。→建設CALS/ECが地場型中小建設業のIT化を歪めている。

問題は公共建設市場の市場メカニズム化現象にある。
その事例を,入札契約適正化法と,新潟県建設産業再生プランに求め解説を試みた。

特に,ここで強調される公共事業へのISO9000's導入の弊害(自社でのISO9000's信仰の弊害)と,その弊害への対応策を,自社のコア・コンピタンスの経営の確立をIT化を持って行う例を示して解説を試みてみた。

ISO9000's(特に1994)に対しては,私はいまだに懐疑的であり,公共事業へのISO9000's導入に対しては慎重派というか反対派である。
詳しくは,6月10日の【昨日の講義】を読んでいただきたい。

しかし,入札契約適正化法や,新潟県建設産業再生プランに見られるようなISO9000'sへの偏重傾向はますます加速度がつきかねないし,それを否定しても,それが入札要件にでもなれば,ISO9000's取得は地場型中小建設業にとっては公共建設市場への参入要件となりかねない。

ということで,論題はISO9000's取得後の戦略的なIT化ということになり,その視点は当然に差別化の経営であるわけだ。

6月26日の建設CALS/ECとISOセミナーは,これをさらに煮詰めた内容になる予定。

2001/06/12 (火)  
【大垣】

昨日は,何を思ったのか,めったに乗らない喫煙グリーンで移動したら,案の定,煙くて眠れなかった。
いつものパターンを壊すことは良くないこともある。

ちょっと遅れて建設CALS/ECセンターへ。
まあ,いろいろと話をして,その後,MSの平野氏と同所で待ち合わせして,まあ,いろいろと話をする(笑)。

晩飯は,大垣の料亭,四鳥へ。岐阜の味と名付けられた会席料理はうまかった。
名前を聞くのを忘れたが,大垣の地酒も素晴らしいものであった。

宿は,駅前のアパホテル。
夜中の午前2時頃一端目が覚める。

隣の部屋から,「いびき」がびんびん聞こえるのだ。なんだこのホテルは!
目が覚めてしまったので,仕方なくTVをつけたら,バスケットボール(NBA)が流れていたので,そのまましばらく見ていていたらいつのまにかに眠ってしまう。

今朝は8時起床。
今日は岐阜県建築工業会さんで講演。その前にIT推進チームの方々と会議。なので,急いで朝のしたくをしてしまわなければならい。アセ^^;。

2001/06/11 (月)  
【モーニング娘。】

先日,新潟へ行ったときに,私の超過密スケジュールを評して,「今,桃知さんより忙しいのは,モーニング娘。ぐらいじゃないですか?」とからかわれたが,昨日,今月後半から来月前半のスケジューリングをしていて,本当に,よく動いているなぁと思う。

サラリーマンの頃に比べたら,一月の移動距離は数百倍〜数千倍(笑)であろうし,読書量も,こうして文章を書く量も,それは,比較対象すること自体が既に無意味である。

モーニング娘。と私の決定的な違いはなにかというと,過密スケジュールを決めているのは誰かというところであろう。
私は自らの意思で仕事を決め,自らの意思でスケジュールを決めている。

多分,事務所の決めた仕事とスケジュールで,自らの意思の及ばぬところで過密なスケジュールをこなしているであろう,モーニング娘。とは,そこが違う。

その意味では,私は自由であるのだと思う。

20001・6・9の週刊ダイヤモンドのP86〜には,あの青色発色ダイオードの研究で有名な中村修二UCSB教授の話が載っていて,とても興味深く読んだのだが,中村が日本という組織を捨ててアメリカへ渡り,そこで得たものはやっぱり「自由」というやつなんだろうなぁと思う。

中村は,日本は共産主義の国だという。
『こちらに来て自由のありがたみを知れば知るほど,日本は社会主義では足りない,共産主義ではないかと思えてきます。官僚がすべてをコントロールして,自由がなくて,かつてのソ連みたいなものです。』

ただし,自由の代償がどういうものかは,ちゃんと心得ているようで,『日本の大学の教え方なら即クビ。結局,日亜化学にいたときの二倍から三倍は働いている。ホント,死に物狂いですよ』

うん,このあたりだなぁと共感するのだ。
もっとも,ノーベル賞にもっとも近い日本人と,場末のコンサル(つまり私だ)を,同一レベルで考えるのもおかしな話であることは百も承知であるが。

ということで,今日は,これから大垣へ移動。夕方に建設CALS/EC研修センターへ。
明日は,岐阜県建築工業会さんのIT化キックオフセミナーを,ソフトピアジャパンのセンタービルで行う。

ところで,最近,以下のようなメールをいただいた。
こうして建設業界からのメールが一番うれしいし,私の推進エンジンはこれなんだぁと思う次第なのだ。

仕事が始まる前に読ませていただいてます。建設業に勤めていますのでてにとるようにわかります。たのしいです.
これからもお体大事にして頑張ってください。

2001/06/10 (日)  
【今週の読書】

『公共事業の正しい考え方』,井堀利宏,2001年5月25日,中央公論新社

『本書では公共事業改革の基本的な考え方を整理するとともに,いくつかの解答も用意した。もとより現実の財政問題は複雑であるから,唯一の解答はあり得ない。読者それぞれの立場で異なる解答を引き出すのは当然である。しかし,公共事業に巨額お財源が投入されている以上,社会資本として利用価値の高いものが整備される必要があることは,大原則である。経済環境・社会構造や人々の価値観が大きく変貌している今日,公共事業のあり方も柔軟に見直されねばならない。そのためのヒントとして本書が役に立てば,幸いである。』(「あとがき」より)

井堀教授の『日本経済全体をマクロ経済での関係で考えると,公共事業の改革は避けてとおれない』という立場は,私がCALSの公共事業への導入(つまり本来の建設CALS/EC)を考えるときに立つ視点そのものであり,本書は多くの示唆に富んでいる。

昨今の単純バカボン的な公共事業批判とは異なり,公共事業をアカデミックかつ広い視野で検討している良書である。CALSの話は出てこないが,建設CALS/ECを考えるということはこう言うことなのだと思う。一読をお勧めする。


【昨日の講義内容】

昨日の講義は,ほぼ,【本日の講義内容(予定)】に書いたとおり。
熊谷社長には,M&A,ISO,IT化という自社の戦略的な取り組みをご紹介いただいた。

それぞれのマネジメントの考え方には,それぞれの背景があるわけで,背景とは経営を取り巻く環境(それを市場の要求と呼んでも良いだろう)に他ならない。

経営を取り巻く環境変化を敏感によみ,変化へ柔軟に対応しながら,他社よりも一歩先んずる経営をしているのが,熊谷社長のマネジメントスタイルと言うことができるだろう。

資本主義経済での利益の根源は「差異」である。「差異」をメトリックとした競争こそが,経済のダイナミズムの根源である。
他社よりも,優れた品質,優れた施工技術といった,差別化の戦略こそが,自社の利益を生み出す。
(しかし,多くの公共土木工事に依存した地場型中小建設業は,そのことを忘れてしまっているかのようだ。)

トライネットにしても,当初の三社合併時には,公共土木中心の同じような会社が三社集まっただけであり,その本質部分では大きな変化はなかったと思う。熊谷社長の卓越は,四社目の合併時に民間建築主体の会社を選んだことである。

民間営業(トライネットでは,住宅展示場にモデル住宅を建て,いままで公共事業の営業をされていた方が,今度は民間を相手に住宅を売っている)の視点を,自社の経営に持ち込んだことで,「差異」のマネジメントが見えてきたのではないかと感じている。

ということで,私の建設CALS/ECとISO9000'sの話。
キーワードは「差異」つまりコア・コンピタンスである。

ISO9000'sは,マネジメントの文脈では,極めてミクロ的なものであり,つまり,品質管理については,各社それぞれ独自スタイルを持つものであってよいわけで,その品質管理のスタイルが,第三者により,ISOの要求に適合していることを保証されるものである。

なので,ISO9000'sは「差異」を自明のこととして機能するのだし,それがなければ資本主義経済下でのマネジメントツールとしては失格なのである。
→同質化とイノベーションの喪失こそが自社の利益消滅の最大理由である。

ここにおいては,ISO9000'sは,認証取得そのものが「差異」,つまりコア・コンピタンスにはなりえないことを理解しなくてはならない。
ISO9000’sが入札要件となるような昨今の公共建設市場の変化の中では,その傾向はますます強くなるだろう。

公共建設市場に参入するとなれば,ISO9000’sの認証取得は当り前のこととなる。
つまり,市場メカニズムが機能する公共建設市場においては,その市場で勝てる要因は,ISO9000’s以外のものになるということだ。

問題は,その「差異」としての各社それぞれの品質管理手法の結果(勿論それだけではないが)生み出された商品を,どう評価するのかというメトリックの欠如という問題とならざるを得ないのだが,このあたりの認識が,いまひとつ公共建設市場(発注者も受注者も)には不足しているのではないだろうか。

そこでIT化の話である。
それは「差異」を生み出すもの(私の文脈では,アイディア、スピード、実行力という無形資産としての生産要素,組織文化)重視したマネジメントである。

TQCやISOで管理を強化すればするほど,社員は管理のための書類作りにいそしんでいるだけで,新しいことに挑戦する意欲をすっかりなくしているという,管理の形骸化が今現実の問題となってきている。日本人の管理のための管理好きという,内向的な思考がそれに拍車をかけているように思える。

彼らはマニュアルにない事象,前例のない事象,つまり非常事態,イレギュラーに対してはあまりにも無力であることを,危機感として実感できているだろうか(建設業,ましてや現場はイレギュラーの連続である)。そこでは,アイディア、スピード、実行力という無形資産としての組織文化(私の文脈では,これこそがコア・コンピタンスであり「差異」を生み出す生産要素である)が喪失されていないだろうか。

現在の,より高度な資本主義経済での利益の根源である「差異」を生み出すものは,今や,旧来の工業社会での資本,労働,原材料といった有形資産としての生産要素から,アイディア、スピード、実行力という無形資産としての生産要素へシフトしていることを理解すべきである。しかし,その認識が特に地場型中小建設業には決定的に不足している。

ISOは,前時代的な,工業社会,マテリアリズム全盛な時代に適合したものである。
しかし,既に,開発主義的な高度経済成長の時期を終え,より高度な経済システム(高度情報社会,ポスト・マテリアリズム)への移行を余儀無くされている今日の日本においては,公共建設市場さえ例外なく変化しようとしているのであり(それはIT革命,グローバリズムによって,市場メカニズムをより重視した市場へと変化している),そのような新しい市場(経営を取り巻く環境)では,ISOは管理の形骸化を招きやすく,コア・コンピタンスとしての環境適応能力の低下の原因ともなりかねないだろう。

以下は,昨日書いた通りコア・コンピタンスの話となる。

中小建設業におけるコア・コンピタンス(核心的競争力)とはなにかといえば,私はそれを環境変化への適応能力とし,以下のように展開していく。

環境変化への適応能力→組織文化
組織文化→アイディア、スピード、実行力といった無形資産としての生産能力

→・優れた個の集合体としての組織
→・個性ある個人の集合体としての組織
→・個性ある個人を生かす社風

つまり,工業社会の生産要素としての,資本、労働、原材料(有形資産)から,IT社会での生産要素である,アイディア、スピード、実行力(無形資産)への,生産要素の質的転換をいかに図るのかという部分の話である。

では,その社風を支える精神文化を何処に求めるのかといえば,私はそれをインターネットの精神文化である,自発性(ボランティア),草の根(グラスルーツ),開放系(オープン)に求めるている。

この精神文化をいかに自社に根付かせることができるのか。

ここに,私の提言する,全社的(=現場を巻き込んだ)コミュニケーション重視のIT化の目的があるのであり,「差異」の根源としての,環境変化への適応能力をもった組織文化を育むものとして,イントラネットを中心としたIT化を行おうとする私の主張の根拠がある。

2001/06/09 (土)  
【本日の講義内容(予定)】

さて,本日は,法政大学エクステンションカレッジの第3回目である。
本日の外部講師は,長野県飯田市の(株)トライネットの熊谷社長。

熊谷社長の中心議題は当然にM&A。M&Aは,6月6日の【セーフティネット】で話した内容の文脈においては,大企業のみならず,地場型中小建設業にとっても,その再編作業において最も有効な手法だと私は考えている。

たとえば,自由民主党政務調査会(案)にも,そのところが明記されているし,5日に自民党の国土交通部会と道路調査会の合同部会で建設業者の再編、統合を促進する制度(合併促進法)の立案を決議している。

そこには,優遇税制を儲けるべきだという提案もあるが,私的には,それはやめてくれである。
それはあまりにも建設業を馬鹿にした話であろうし,他の産業や国民からみれば,ますます建設業を見下す要因を作るだけだろう。大切なことは,日本の建設業が自らの自信を回復できるような政策だと考える。

政府が行うことは,(もし,今言われているように建設業の再編、統合を本気で促進する気があるのなら),M&Aへのインセンティブの働く市場を整備することが先決である。今,M&A,建設業の再編、統合へのブレーキとなっているものは,市場メカニズムの歪みゆえであるのだから。

国土交通省の小野邦久事務次官は,建設業者の数が多すぎることを認めたうえで、「まずは発注や共同受注などの政策で(合併促進を)誘導できないか」として、法制化を待たずに、行政面で先行して対処していく考えを既に示している。

この文脈においては,CALSは極めて有効な工学なのだが,ここに「本来のCALS」の哲学が入り込む余地はまだ見えていないのが残念である。

私の話は,建設CALS/ECとISOの話。
論点は,コア・コンピタンス。つまりISO的な管理手法では,はコア・コンピタンスは生み出せないだろうと言うとなるだろう。論拠はこうなる。

まず,第一に,ISO9000’sが入札要件となるような流れの中では,ISO9000’sの認証取得自体が,資本主義の利益の根源である「差異」の要因とはならない。

さらに,以下のような現状。

社員は管理のための書類作りにいそしんでいるだけで,新しいことに挑戦する意欲をすっかりなくしている。
→管理の形骸化

彼らはマニュアルにない事象,前例のない事象,つまり非常事態,イレギュラーに対してはあまりにも無力である。
→建設業,現場はイレギュラーの連続である。
→アイディア、スピード、実行力という無形資産としての組織文化の喪失。
→イレギュラー対応能力の低下。
→ISOによるコア・コンピタンスとしての環境適応能力の低下。

中小建設業におけるコア・コンピタンス(核心的競争力)とはなにか。
私はそれを環境変化への適応能力とし,以下のように展開していく。

環境変化への適応能力→組織文化
組織文化→アイディア、スピード、実行力といった無形資産としての生産能力

→・優れた個の集合体としての組織
→・個性ある個人の集合体としての組織
→・個性ある個人を生かす社風

つまり,工業社会の生産要素としての,資本、労働、原材料(有形資産)から,IT社会での生産要素である,アイディア、スピード、実行力(無形資産)への,生産要素の質的転換をいかに図るのかという部分の話である。

ここに,私の提言する,(全社的=現場を巻き込んだ)コミュニケーション重視のIT化の目的がある。


【赤地鶏】

昨日は,新潟日帰り。朝6時30分に起床した。最近遮光性のカーテンにしたら,よく眠れるのはいいのだが,そのせいか,なぜか眠くてしょうがない。

大宮(埼玉) 9:22 Maxあさひ 311号 新潟 11:03で,新潟入り。
迎えに来ていただいていた石井さんに連れられて。万人家へ。チャーシュー麺を食べる。チャーシューが,花びらのように淵に並び,花のようなチャーシュー麺であった。

その後,新発田まで移動し,新発田建設さんにて打ち合わせ。
半期の第一ステップが非常に良好に経緯したことを受けて,これからのもう一段階のステップアップについて,あれこれ考える。

会議終了後,渡辺常務に新潟まで車に乗せていただいて,新潟駅,駅南けやき通の「しゃれ亭」にて一献。
ここの紫雲寺町産の赤地鶏をっつかったという「つみれ鍋」は,絶賛してもいいぐらいおいしかった。

一見,つみれのはりはり鍋であるが,スープは辛くはなくて,薬味として「柚子こしょう」を出すところが店主の天才である。それと,赤地鶏から染み出したスープのマッチングは,とても新潟の食べ物とは思えないのでありました。脱帽。

結局,新潟を最終の新幹線で後にして,12時ちょっと前に帰宅。

しかし,万人家でラーメンを食べていたときにTVで流れた,大阪の事件は,やりきれないなぁ。
ラーメンを食べながらも,己の中で,怒りがこみ上げてくるのがわかった。

帰ってきてニュースを見ると8名の方が亡くなってしまっていた。(T_T)
同じく子を持つ親の心情としては,ご両親の悲しみや怒りはいかばかりのものか。どうにもやりきれない。

2001/06/08 (金)  
【測量・設計システム展2001での講演のお知らせ】

来る6月20日から22日に東京ビックサイトで開催されます,測量・設計システム展2001では,福井コンピュータさんのブースにおいて以下のとおり講演を行いますのでお知らせいたします。

D:桃知商店特別講演
テーマ: 「IT化の荒波の中での生き残り戦略」
 講 師:桃知商店店主 桃知利男氏
日時: 20日(水) PM2:00〜3:00
22日(金) PM2:00〜3:00

詳しくは福井コンピュータのホームページを参照してください。
URL http://www.fukuicompu.co.jp/

それぞれ1時間という短い時間枠ではありますが,私の最も得意とするテキヤの口上型(つまりバナナの叩売り型)の講演を行うする予定でおります。
どうぞ,ひやかしにおいでいただければと思います。

それと,当日それぞれ先着20名様には,桃知商店特製千社札ステッカーを差し上げます。
いらないといわれるかもしれませんが。。。。
配布予定千社札見本画像。(4枚セット,当日配布するものははちょっと文字が変わります。)

では,東京ビックサイトでおあいしましょう。(^o^)丿

#ところで,(↓)でキーボードを交換しましたって,書きましたけれど,そのせいか(?)最近悩まされていた頭痛が消えました。

2001/06/07 (木)    
【キーボードを交換する】

最近,書き物をしているときに妙なストレスというか違和感があったのだけれども,その原因がようやく解った。
今使っている,ThinkPad240Zのキーボードのタッチがどうしてもしっくりこないでいたのだ。

試しに,以前使っていた240Xを使ってみるとなぜかしっくりとはまる。
Xのものは,キーストロークが,Zよりも若干浅くて,タッチが硬いのであるが,私には,Xのもののほうがあっているらしくて,数段早く打てる。

なので,今しがた,ZのキーボードをXのキーボードと変換してしまった。
コンピュータといっても,所詮は道具なので,万年筆の書き味にもこだわりがあるように,キータッチにもこだわりがあってもいいであろうということだ。

ちなみに,私は,最近ではずっとB5サイズのノートPCばかり使ってきたので,既に,ディスク・トップ型のキーボードは,大きすぎて仕事で使う気にはさらさらなれない。
サーバーのセットアップとかメンテナンスの時ぐらいにしか使わない。ノート型でも,A4サイズになると大きすぎてだめなのである。

ところで,最近私が気になっているマシンがある。
新しいLiblletなのだが,これはどんなものであろうか。一度現物を触ってみたいなと感じている。

モバイル生活人なので,コンピュータは小さければ小さいほど良い(軽いということね)のだけれども,そこで失うものとのトレードオフの関係がモバイルマシンにはある。

そのトレードオフの最良のバランスが240だとは思っているが,私の体力は,その240でさえ既に重いと悲鳴をあげているのは確かなのだ。


【蕨は雨】

本日の予定をきちんと終えて,15:39岐阜羽島発のひかりで帰宅。
途中までメールを書いていたが,いつしか眠ってしまう。多分小田原あたりで目覚めたのだけれど,目が覚めた時には,PCをしっかりとお腹に抱いていた。ラッコか?己は。(笑)

新横浜駅付近から関東地方は雨。
結構な雨量のようで,東京駅では在来線の遅れを伝えていた。

大嫌いな京浜東北線は混んでいて,私は川口駅下車でTAXIで帰ろうとしたけのだけれども,あいにくのTAXI待ちの行列で断念。

ついでなので,明日の新潟行きのチケットを購入して,また京浜東北線に乗って,川口から蕨へ移動。
蕨からは歩いて帰る。雨はうまい具合に小ぶりとなっていた。

午後7時前に自宅に着くが,今日のサッカーは5時ごろからやっていたのね。(T_T)
留守中の届き物。

小林@朝日測量様,沖縄セットありがとうございました。
長野県建設業協会飯田支部青年部会からは,山女魚の干物,ありがとうございました。

それと,本日は,郡上の前田会長様,明宝ハムと明方ハムをありがとうございました。
吉田屋のうな丼もおしゆございました。

さて,今日,私が岐阜でやってきたことはなにかというと,長野県飯田市の建設業協会青年部の総会における講演会に,郡上建設業協会の前田会長と建設CALS/EC研修センターの堀センター長の講演会をプロデュースしたので,リアルな世界で,挨拶を兼ねての打ち合わせをしてきたのである。

段取りはすべてメールでついているけれど,私たちは,決してそれでOKだとは思っていない。
ちゃんと,リアルな世界のお付き合いも忘れはしません。

といいよりも,むしろそちらを重視している。
このあたりの感覚は,ネットの世界を経験している方でないと理解できないでしょうねぇ,と言う話も今日どこかでしてきたなぁ。(笑)

今回の話のきっかけは,前回の法政大学エクステンションカレッジでの懇親会での北沢さんからのご相談であった。
その日の法大での外部講師は,堀センター長であったわけで,その岐阜県での取り組み,そして岐阜における建設業団体でのIT化の最先端事例である郡上建設業協会での取り組み事例を,飯田の方々に触れていていただければということである。

北沢さんとのお付き合いも元はと言えば,ネットでのデジタルなコミュニケーションが発端であった。
考えるに,私の人脈というか,人のつながりは,すべて,ネットでのバーチャルなコミュニケーション発端なのだ。

私はリーマン時代の人脈の一切を,独立してからは利用していない。
このHPと講演活動だけで,すべての人脈を作り上げてきた。それが私の自慢といえば自慢なのだ。

だからといって,私は,デジタルな世界だけで生きているわけではなくて,それこそ,毎晩,皆さんとノミュニケーションに励んでいるのは,ご承知のとおりである。

デジタルは人と人との出会いのチャンスを確実に増やしてくれる。
そして,それをより深くしているものは,リアルなコミュニケーションである。

世の中には,デジタルになると,人と人との付き合いが疎遠になるとかいって,デジタル・コミュニケーションを否定されている方々が沢山おられるが,そういう方々に限って,ネットワークを使っていらっしゃらない。

そして,そういう方々は,えてして,リアルワールドでのコミュニケーションもへたくそなのだ。
意味のない権威を背景にしていたりして,腹を割った付き合いが出来ない方々が多い。

つまり,コミュニケーションを疎遠にしている原因は自らにあるだけである。
ネット世界では,みんな平民である。それが許せない方々が,デジタルなコミュニケーションを否定しているように私には思えて仕方がないのだ。

私の言いたいことはただ一つ。食べたこともないものをまずいという人間を誰も信用しないように,ネットワークの世界に足を踏み入れたこともないのに,ネットワークはコミュニケーションを疎外するなんていう人間の話を,誰が信じられようかということだ。

つまり,そういう方々とは,私は最初からコミュニケーションできないし,するつもりもないということなのだな。



【根拠のない数字】

桃知@今日まで岐阜です。
今日のフェデレーション・カップ準決勝(たぶん今日ですよね?)は自宅で見ることが出来る予定。

昨晩は,久々に若宮町の「くじらや」で,はりはり鍋を食べながら会議(?)
関東の人間が,秋田での仕事の打ち合わせを,岐阜でしているというのもなんだか変だなぁと思う。
久々に柳ケ瀬に出たので,帰りはすっかり遅くなってしまった次第。

さて,本日は,長野県飯田市から熊谷さんと北沢さんと宮嶋さんがおいでになって,一緒に郡上建設業協会さんと建設CALS/EC研修センターを訪問予定。

建設CALS/EC研修センターといえば,センターのHPを見ると,国土交通省、公共工事の電子入札・電子納品のガイドラインを発表(2001.6.4)というタイトルがある。

ちょこっと引用。
公共事業のIT化の推進(CALS/EC)について

平成13年6月1日
国土交通省
大臣官房技術調査課
大臣官房公共事業調査室

公共工事入札契約適正化法の趣旨を徹底させるとともに、透明性の向上、競争性の一層の向上等を通じた公共事業構造改革の一環として、その基盤を提供するIT化を推進する。

1. 国土交通省直轄事業での先駆的な取り組み
(1)電子入札
本年10月より、国土交通省の直轄事業で電子入札を開始。
  2001年:大規模事業を中心に100件実施。
  2004年:国土交通省の全公共事業約4万4千件実施。(工事+コンサルタント業務)
 なお、本年4月から、インターネットで一元的に発注予定や入札結果等を公表中(http://www.ppi.go.jp)。

(2)電子納品
 図面、写真、報告書などを電子的な媒体でやりとりする電子納品を今年の4月から一部実施中。

2. 地方公共団体等への普及・促進
(1)公共工事入札契約適正化法の効果をより高めるためには、地方公共団体を含めた公共事業全体への普及が急務。このため、
 ●これまで国土交通省が先導的に開発してきた技術・ノウハウを無償で地方公共団体等に提供
 ●補助事業を通じた財政的な支援を実施

(2)これら地方展開に向けたガイドライン(「地方展開アクションプログラム」)を今回とりまとめた。
 ●2007年を目やすに国、都道府県、政令指定市への普及完了(総発注件数:約20万件(工事))
 ●2010年を目やすに全ての公共発注者への普及完了 (総発注件数:約40万件(工事))

(注)米国ジョージア州等で先駆的に実施している例はあるが、国全体として本格的に電子入札に取り組むのは日本が初めて。

(参考) 電子入札によるコスト縮減効果(試算)
 ●業務の効率化による直接効果:直轄事業で260億円/年
 (全ての公共事業に適用した場合約2〜3千億円/年程度と推定)
 ●さらに、透明性・競争性の向上による公共事業費のコスト縮減に寄与するものと期待

内容はCALSへ一歩踏み出した程度の話。これがCALSだといわれると私らははっきり言って泣けます。

ところで,『これまで国土交通省が先導的に開発してきた技術・ノウハウを無償で地方公共団体等に提供』という文脈は,電子入札のシステムは無償で地方自治体に使わせてくれるということなんだろうか?
NTTグループVSJACICの電子入札システムの問題はなくなってしまうのだろうか。

私は,この手の発表でいつも疑問に思うもものがある。それは数字。
今回も,たとえば,参考として掲示されている,電子入札によるコスト縮減効果(試算),業務の効率化による直接効果:直轄事業で260億円/年 (全ての公共事業に適用した場合約2〜3千億円/年程度と推定)という数字が出ているが,その根拠はなんだろうかということだ?

紙ベースの入札がデジタルに置き換わるだけで,年間260億円も効率化されるという根拠はなんなのだろうか。
たとえば,「2004年:国土交通省の全公共事業約4万4千件実施」という44000件で260億円を割ってみれば,1件あたり約60万円となる。

それも上の文脈では国土交通省の経費部分が削減されるとしか読めないのだが,そうだとしたら,よほど今のやり方はまずいんだろうなぁと思う次第である。数字の算出根拠を示してほしいところなのだ。

2001/06/06 (水)  
【セーフティネット】

岐阜は雨。お昼に山本屋で味噌煮込みを食べて,今日は26日用のPPTの作成。
夜は,東京からこられる方と,なぜか岐阜で打ち合わせを予定。

毎日新聞のサイトでは『小泉改革:自民党も暗中模索 骨太の方針提示に本格論議 』という記事が踊っていた。

『公共事業の配分に影響力を振るってきた族議員たちも、諮問会議にどう意見を反映させるか模索を続けている。5日には農水部会・総合農政調査会、国土交通部会・道路調査会の合同会議がそれぞれ開かれたが、アプローチは一様ではなかった。』

『建設族は「死んだふり」作戦。野呂田芳成・道路調査会長は部会で「まだ明確な政府方針が示されたわけではない。あまり騒いでもどうか」とあいさつ。諮問会議への反発は鳴りを潜めた。ただし、「公共事業見直しに伴う地方建設業者救済の法整備」と「首都圏3環状道路整備の大幅前倒しと残事業費9兆円確保」を同時に決議し、「小泉改革」へのけん制も忘れなかった。』

なるほどね,というところで,ここで,ある方からいただいた自由民主党政務調査会決議(案)を引用しよう。

 財政構造改革を推進するためには、限られた財源をより効率的、合理的に活用していくことが必要であり、そのためにはあらゆる領域について聖域なき見直しを行わなければならない。もちろん、公共事業とてその例外ではなく、公共事業の事業評価を的確に行い、重点化、効率化を図り、併せて、効率性、事業の実施過程の透明性を高め、よりスピーディーに、より低コストに、そしてより質の高い社会資本が整備できるよう改革に取り組むべきであるが、それに当たっては、次の点に留意することが必要である。

             記

 建設産業を取り巻く経営環境は極めて厳しく、大手ゼネコンは不良債権化する恐れのある負債等を約十兆円抱えているといわれており、また建設業者数は約六十万と過去最高の水準にある中で公共事業への依存度の高い地方中小建設業者の経営状況は一層深刻さを増している。したがって、公共事業の見直しに当たっては、建設産業における不良債権対策や企業の統合を促進するための制度の整備等企業統合のための環境整備を並行して実施することが喫緊の要務である。特に零細な下請企業の連鎖倒産や失業者の増大等による社会不安を招くこととならないよう、零細な下請企業や建設労働者に対するセーフティネットを早急に整備すべきである。

 右、総意をもって決議する。

平成十三年六月五日

自由民主党政務調査会
国土交通部会 部会長 栗原  博久
道路調査会 会 長 野呂田 芳成

ここでセーフティネットと言う言葉が出てくるが,問題はその概念があまりにもあやふやなことではないだろうか。「零細な下請企業や建設労働者に対するセーフティネット」といったときに,皆さんは何を思い浮かべることができようか?

『現代』7月号における,内藤克人と佐和隆光の対談,『ちょっと待て!「市場万能主義」は正しいか」は,それを我々に考えさせる示唆に富んでいると思う。

『佐和:社会保障の話になると,日本の保守ははすぐにモラルハザード(倫理の欠如)と言い始めますよね。福祉は「依存の分化」を生み,皆が怠けて働かなくなると。』

『内藤:そこが誤解で,北欧の国々では働かない者のために福祉があるのではなく,働くことがイコール福祉なんです。こういう社会的な合意がある。だから彼らは十分な公共サービスとしての教育を受けたあと,自発的に新たな産業にシフトしていく。つまり,会社は潰れても人間は潰れないシステムができている。日本はどうかというと。会社が潰れれば人間も潰れる。そういう社会のままの状態で,暴力的な市場主義に立って潰すべきは潰せといった,単純なハードランディング論が盛んに唱えられる現状は,本当に危ういと思います。このように,いま日本が目指すべきは,会社は潰れても人間は潰れない,まさに本当の意味で「労働の人間化」が実現できる社会の構築であり,それこそが構造改革の真意ではないでしょうか。』

ちなみに,だからと言って,内藤・佐和両氏とも,今の,公共工事のあり方を,擁護しているわけではないことは理解しておいてくださいな。

2001/06/05 (火)  ▲
【ホテルへ戻る】

夕方から宇佐美組さんのIT推進会議。
意識レベルは十分に高いと判断しているので,短期型でガンガン進める旨の話。
躊躇なくまいりましょう。

帰りは,古田さんにホテルまで送っていただく。
途中,安八町の「いちかわ」でとんかつと海老フライをご馳走になる。

十分にやわらかい,フライのようなカツなれど,ヒレとロースと海老2匹は,流石に食べきれなかった。

岐阜は雨が降っている。
入梅宣言が今日でた。旅人にはつらい時期の始まりである。



【本日の勉強会は中止】

本日の勉強会は,諸般の事情(というか天災のような不幸だ)により中止。
ドリーム・コア自慢のブロードバンドも一人一台のPC研修環境も,肝心の事務所協会側の専用線が切れていては(それも,ものすごい不可抗力)手も足も出ないなぁ。

ということで,今日は回線復旧を待って,サーバーのメンテナンスだけをすることにした。

朝方,ドリームコアで,堀建設CALS/EC研修センター長から,北海道の業界紙に載った,「建設CALS/EC先進地 岐阜県の取り組み」という記事のコピーをいただいた。

岐阜県の宣伝にはなっているなぁと思うけれど,しかし,こう言う発言(↓)はいただけないなぁ。

『官との間で行うのはせいぜい入札を電子化するとか電子納品するかなど。CALSのメリットは,下請けや資材の調達などその先にある方が大きく,業界は役所の方針とは別に進めるべきだし,もう進めている』(岐阜県建設CALS/EC建設管理政策課)

私は,この記事中に頻繁に出てくる「民間のコンサルタント」その人だが,なぜ,「業界は役所の方針とは別に進めるべきだし,もう進めている」のかといえば,お役所,つまり発注者がいつまでたっても「官との間で行うのはせいぜい入札を電子化するとか電子納品するかなど」というCALSの誤った概念から抜け出せないからなのだ。

この部分に対する私の不信感は,6月3日の【体の調子は本当に悪いのだが】に詳しく書いたので是非読んでほしい。
CALSを名乗る以上,CALSで変化すべきは,まず第一義的に発注者,つまり,国であり,県であり,自治体そのものなのだ。

なので,私は,いつまでも「本来のCALS」「本来の建設CALS/EC」という言い方を意識的にしなくてはならない状況でいるのだ。
他県の新聞とはいえ,新聞にこんな発言をするとは,IT知事,梶原拓をようするIT先進県岐阜県の職員としては悲しい限りだなぁ。
ということで,苦言を申し上げる次第である。


【今日は大垣で仕事】

一週間ほどお酒を断ってみた。
確かに体の調子は回復してきたけれど,まだまだ本調子ではない。

本日は,これから大垣はソフトピアジャパン,建設CALS/EC研修センターまで出かけて,岐阜県建築士事務所協会さんのイントラネットの勉強会(補修)。
イントラネットは全員参加が前提ですから,参加できない方々へはフォローも必要だということです。

しかし,最近よく言っていることですが,イントラネットはIT化における最終兵器のようなものです。
つまり,これが使えないとなると本当に後がありません(なんといっても読むだけならマウスさえ使えればよいだけですから)。

でも,とにかく全会員レベルで使っていただけるようにするには勉強会も必要なのです。
まあ,ITはわたしゃ大嫌いだという方々を説得させるような時間はございませんが。

夕方からは,宇佐美組さんで会議。
イントラネットベースのIT化の取組みは,最初が肝心の短期決戦的性格が強い。ガンガンいきましょう。

今晩も岐阜泊。

2001/06/04 (月)  
【「建設CALS/EC」のためのITによる業務変革の推進(岐阜県事例集)のWeb化のお知らせ】

ご好評いただいております,「建設CALS/EC」のためのITによる業務変革の推進(岐阜県事例集)の冊子内容がWeb化されましたので,お知らせいたします。是非、ご活用ください。

URL http://www.microsoft.com/japan/business/cals_ec/


【桃知組金沢総会URLまたしても変更】

桃知組金沢総会(第3回石川県建設CALSセミナー)の案内サイトはまたしても変更です。
って,前に戻っただけですが。

URL http://www.hrxerox.co.jp/seminar.htm



【今日は岐阜のホテルでブラジル戦を見る予定】

関与先さんのイントラネットをぐるっと一回りすると小一時間かかる。
引き続き,18日用のプレゼンピッチ(1時間30分用)最終確認をして,メールで送付。

それから,請求書や契約書の確認とはんこ押しなんていう事務仕事をようやくこの時期にやっているのだ,私は。
普通の会社さんなら月末にはすべて終わっているんだろうがね。

体調の悪さと,忙しさでなかなか仕事は思うようにははかどらない。
先月の日刊建設通信新聞の建設論用には見事穴をあけてしまった(江口ひさし流にいうと,白いわにが。。。。ってやつですか)。★\(^^;

KEN-Platzの次の原稿は,だいぶ前に出来てはいるのだが,まだなおしたいところがあるような気がして,いまだに脱稿できず。
12日の岐阜県建築工業会用のPPTも中部青年会議用のPPTに併せて手直ししなくてはならないなぁと。

21日の秋田県は北都ビジネスクラブでの講演内容も煮詰めなくてはならない。
26日のソフトピアでのISO批判(笑)に至ってはなにもつっておらん。^^;

私は,これから雑用を済まして,岐阜まで出かける。本日から岐阜泊。3泊4日のツアーだ。
明日は朝から岐阜県建築士事務所協会の勉強会(イントラネット補講)である。

それが終わってから,宇佐美組さんでIT化推進チームの会議。
6日は,建築士事務所協会さんでサーバーのメンテナンス。

7日は,長野県建設業協会飯田支部青年部会さんのエスコート役(笑)で郡上建設業協会と建設CALS/EC研修センターへ。
7日はそれが終了後,帰宅。

8日は新潟の新発田建設さんまで。
9日は法政大学での講義。



【桃知組金沢総会案内URL変更】

桃知組金沢総会(第3回石川県建設CALSセミナー)の案内用URLが変更となりましたのでお知らせいたします。
 →URL http://www.ne.jp/asahi/shichiken/kaoru/seminar.html

お近くの方々,金沢でお会いいたしましょう。(^o^)丿

2001/06/03 (日)  
【今週の読書】

『市場と政府』,田中直毅,2000年10月12日,東洋経済新報社

この本は,たぶん,以前に紹介した本である。
田中直毅氏は,今回首相の郵政懇談会座長に選出されたことで,その思想の再確認というところである。

『資本主義革命は,ついに地方公共団体にまで及ぶようになったといえるだろう。そして,財政赤字にともなう持続性への脅威とともに,こうしした仕組みの人為性もまた撃たれたといえるのではないか。人為性とは,日本の中でしか通用しない倫理に基づいく資源配分のやり方である。

それは,均衡の取れた経済発展の名のもとに,社会的投資効果の低いものに対しても投資を続ける,というやり方だった。山河を削り取るようにして仕事を日本列島に配り続ける仕組みは,国際社会のなかではそれを支持する見解はゼロである。』

たとえばこう言う見解の方である。旧来の自民党の枠組みでは,絶対に採用されないような意見がこの本には沢山述べられているが,小泉構造改革内閣の政策指針とはラップする。


【体の調子は本当に悪いのだが】

6月18日に予定されている,中部青年会議での講演資料を作成していた。
まず第一に用語の使い方をだいぶ変えた。

建設CALS/ECを説明する場合,「本来のCALSであれば」というニュアンスの使い方を多用した。
たとえば,公共建設市場のIT化と市場主義化=本来の建設CALS/ECというような言い方である。

それは,言葉だけの建設CALS/ECが一人歩きしていることへの嫌悪感である。

私は(本来の)建設CALS/ECを手放しで支持する立場ではないが(特にその市場主義的な性格),歪曲された建設CALS/ECの言葉の一人歩きには,生産工学としての建設CALS/ECを批判する以前の問題として,嫌悪感を感じざるを得ない。
 →それは本来の建設CALS/ECに対する私の持つ不信感の数百倍規模での不信感である。

私は,地場型中小建設業のIT化誘因としての自治体建設CALS/ECという仮説と期待を持っていることはご存知の通りである。
(たとえば岐阜県での私の活動とはその実証の過程である。)

岐阜県での建設CALS/ECにしろ,国土交通省の建設CALS/ECにしろ,それががどの程度,建設業の方々のIT化誘因として機能しているのかと言えば,それは私が想定しているものからは程遠いというのが,現時点での私の偽らざる気持ちである。

その本来の建設CALS/ECの持つ凶暴性(市場原理)と,地場経済における建設産業のあり方をどう考えるのかが,私の研究の対象とするところなのだが,今言われている建設CALS/ECは,恣意的にその市場主義的部分を去勢された単なるOA化の話となっていると感じている。

競争性のないCALSなら,私の目指すところではないかという意見も聞こえてきそうなのだが,問題はその恣意性の根源が,本来当然に行われるべきCALSによる発注者側の変革の先送りであることである。

私は,CALSにおける発注者側の変革,つまり,自己組織能力の向上はそのものを否定してはいないし,建設CALS/ECがいわれる場合の最大の目的はそこだ(発注者側の自己組織力の向上)というのが私の主張なのである。

しかし,CALSが正しく理解され,正しく機能するための土壌が,公共建設市場には決定的に欠如しつづけている。
それは,改めて指摘するまでもなく,たとえば建設CALS/ECから離れて公共工事を見た場合に聞こえてくる,公共工事への批判指摘事項の多くが要因そのものとして存在するということである。

建設CALS/ECが,地場型中小建設業のIT化の誘因となるのは,CALSは本来競争原理の働く市場で最大限に機能するという,市場主義的経済システム依存型の生産工学であるからである。

そのような市場では,受注者として,CALSの調達選定に応えられるだけの競争力を持とうとすうる差別化の経営への,インセンティブなツールとして,IT化は有効となりえる。本来公共建設市場はこれが主意主体であるべきであることに異存はない。

私のいう建設CALS/ECの市場主義部分に対する批判とは,すべての公共工事がCALS化されるというときの,中山間部における公共工事への配慮が主なものと理解していただいて結構である。

しかし,発注者がCALSとしての調達概念(GCO)も作成できない状況が続くのであれば,言葉だけの建設CALS/ECが一人歩きする中,受注者は何をしていいのか迷うだけでなのある。
→これでは,建設業は,ますます衰退するばかりである。

それは,たとえば,外貨を稼ぐ日本の代表的企業に,いまさらIT化はなぜ必要なのかを聞くことは愚問であるということなのだが,こと日本の建設業(特に地場型中小建設業)に関して言えば,なぜIT化は必要なのかを理解するだけの,市場の合意が出来上がっていないというのが実情であろう。
→これこそが,日本の公共事業が抱える問題の根源であろう。

2001/06/02 (土)  ▲
【大垣から帰る】

岐阜羽島から「ひかり」に乗って蕨へ戻る。
まだ,サッカーは後半30分過ぎで,なんとかTV観戦に間に合う。

予想外にカメルーンはだめだな。
ボーナスがかかっていないんじゃないかなぁと思う。(笑)

日本はがんばっているなぁ。しかし,私のほうは,流石に一日3セットの勉強会は疲れた。
明日は休みなので,またボーっとしていたいのだが,やることが沢山あり過ぎるのだなぁ。(T_T)

帰りの新幹線では,ずっと「中央公論」6月号を読んできた。
白眉は,橋本治による『異端の革命児 − イチロー,新庄,そして小泉純一郎』

『自民党に限らず,一九九〇年代後半においては,すべての政党は「景気回復」を国民に訴えなければならなかっただろう。しかし,それは不可能である。その不可能を前にして借金座製への選択をし,それでもどうにもならないという現状に立ち至って「景気回復を訴えることは嘘だ」というところまで行ってしまった。そうでもなかったら,自民党員は,「マイナス成長でもいい」を訴える小泉純一郎に票を入れないだろう。だから小泉純一郎の獲得した支持は,とんでもないものなのである。今の段階で「景気回復」を訴えたら,その後のすべての政策は失敗につながる危険を持つ。しかし「景気回復」を訴えないものは,たとえ怨嗟(えんさ)の声に取り囲まれても,政治上の失策を犯すことにはならない。「私は,私の得た支持の下,私自身の政策を実行している」と断言できる。それに異を唱える政敵は,すべて,「現在の苦渋を招いた元凶」として,告発の対象になりうる−つまり,排除の対象となってしまう。小泉純一郎は,それが可能になるような,とんでもなく強力なカードを引いたのだ。』

『自民党の総裁選で日本が持ちきりの間,アメリカでは何人かの日本人が話題を集めていたー大リーグに移籍したイチローであり,新庄であり,野茂,佐々木である。この人達と今度の自民党総裁選との間になにか関係があるか?
私はあると思う。・・・・テレビを見ながら,「なぜ彼等は大リーグに行っても大丈夫だったのだろう?」と考えていた私は,ふと「自由」という言葉を連想した。彼等は自由なのだ。のびのびと自分のプレーをしているーつまりは,なにかから解放されているのである。日本では新庄は「宇宙人」と言われ,イチローもまた「記者嫌い」の一人だった。小泉純一郎の善戦をみていて,イチローも新庄も小泉と同じなのかもしれないと思った。』

流石に,橋本治@桃尻娘である。皆さんは,この文脈のいうことが理解出来るであろうか?
少なくとも,今,日本で起きていることは,なにものかからの解放の過程なのである。



【大垣にて】

昨日は,18時24分東京発のひかりに乗って,大垣へ移動。
ホテルへ着いたのは,午後9時を過ぎていた。

本日は宇佐美組さんでイントラネット導入時の勉強会。1パーティ20名/2時間の勉強会を3セット行う予定である。

以前にも書きましたけれど,イントラネットはIT化における最終兵器のようなものだと。つまり,これが使えないとなると確かに後がありませんので,とにかく全社員レベルで使っていただけるようにする勉強会である。

それから,問題となるのは,各社,組織ごとに異なるイマジネーションの深度(これが私のいう「コア・コンピタンス」としての「社風」であるが)を何処まで深めていけるかということなわけで,この辺りも理解していただく話もしないといけません。

このイマジネーションの差異は,同じイントラネットアプリケーションを使っていても,各社各様に使い方,活用の仕方が異なる根源でありますが,その差異の根源を生み出すためのマネジメントツール(手法)の一つとしても,IT化,特にデジタルコミュニケーションの活用とその限界を知ることは大切なのですなぁ。

2001/06/01 (金)  
【桃知組金沢総会のお知らせ】

今年も,北陸ゼロックスの七間さんが,楽しい企画を考えてくれました。
題して「第3回石川県建設CALSセミナー」ということですが,内容は建設CALSセミナーではありませんね(笑)。

桃知組金沢総会とでも呼べるような内容です。
私の演題は「中小建設業IT化最前線」となっていますので,既にCALS話ではありません。
→建設CALS/ECなんていうものから一歩,二歩先行きましょうということだな。

詳しくは,以下のサイトで確認ください(お申し込みも出来ます)
■第3回石川県建設CALSセミナー
 URL http://www.hrxerox.co.jp/seminar.htm



【あるメールへの返信】

桃知です。

確かに,これからの経済システムにおける社会技術としてCALSが機能できるのかどうかは,今後のCALSにとっては,大きな壁なのだと考えるのですが,果たしてそれは何処まで可能なのか?

個人的にはCALSは,ITという包括的な技術の中の一手法に終わるのではないかと考えています。

それは,経済システムという概念の問題が大きいのですが,ご存知のように理想の経済システムを考えるには,「思想の眼鏡」が必要であって,その「眼鏡」(メトリック=ものさし)によって,いかようにも,理想の経済システムはは見えることを理解しないとだめなのです。つまり,製造工学としてのCALSが機能するには,経済原理としての新古典主義=競争原理が機能する市場を前提としていることを指摘できるかと思います。

そうでなければ,CALSの世界で必要とされるベスト・プラクティスも,コア・コンピタンスも,電子政府実現におけるの国対国(自治体対自治体)間の競争(それは戦略として)も説明しようがないでしょう。そここにあるのは,競争に裏打ちされた差別化です。

逆説的には,CALSという眼鏡をかけると,そこには新古典主義的な経済原理が第一義的に見えてきてしまうということだと考えます。

一方,国土交通省がいうCALSや岐阜県のCALSもそうですが,そこには,競争性をなるべく排除しようという官僚と業界(?)による恣意的姿勢がが見え隠れしているのが感じられるかと思います。

それは,旧来の官主導型の産業政策の温存というモラル・ハザードともいえるような意識が支配的な市場では,CALSという競争をエンジンとするシステムを機能不能においやっているということができるかもしれません。
 →それは,ペイオフ解禁を延長したと同じ文脈での変革への「逆噴射」が働いていると考えています。

つまり,CALSの持つ競争性が,本来は発注者側に強く働くこと,そのために,既存の護送船団方式的市場秩序を守れなくなることで,自らの変革を強要されることを,官と建設業界(?,この場合意識的であるか無意識であるかは不問でよい)が先送りしているという見解でよいのではないでしょか。

しかし,そのようなシステム(ましてや戦後日本が築きあげてきた配分のシステム)は,それは決して貴殿のいう「共存共栄の循環型社会」ではないはずだと思います。

 →「共存共栄」とは異端,異形,変人(今はやりのことばだと),つまり自らと違うものを認める社会のことで,こにある自由の概念の欠如こそが今の社会の問題だと思います。
 →その実現には,日本の現在の硬直化したシステムの構造改革から始めることは間違いではありません。
 →がんばれ小泉ですな。

つまり,いったん,このモラル・ハザードを解体してあげないと,公共事業における「共存共栄の循環型社会」の実現はむずかしいものとなるでしょう。

 →それは原資が枯渇しようとする国の経済の現実では必然の作業となるでしょう。
 →これを創造的破壊と呼べば,私もシュンペータ信者でしょかね。
 →その破壊のツールとしては,本来CALSは有効なものだとは思います。

ただし,CALSによる「共存共栄の循環型社会の構築」は,そもそも,本来のCALS概念をはるかに超えてCALSが存在することを前提にしなければならないでしょう。

それはCALSが新古典主義的な思想を根底に持つ限りです。そこには競争もあれば,配分もあるかもしれません。
その意味では,CALS自体も創造的破壊を繰り返す必要があるかと思います。

私たちが構築しようとするモデルは,反新古典主義的な考え方を基調とすることで(既にCALSとは呼べないようなものだと自覚しているという意味で),私はCALSという言葉は使いたくないといっているわけです。

建設業界(もっと狭く公共事業でもよい)をCALSだけで見るのは,やはり近視眼的だと思います。
  →私がいうのも変ですが(笑)。

CALSは市場原理に頼らざるを得ないことで,むしろその存在意義を問われることになるでしょうし,市場原理から開放されたCALSは既にCALSと呼ぶ必要もないかと思います。

今の私の思考のキーワードは,民間でのCS,政府でのVS(有権者満足度)かなと。
さらには,建設業界の「職の戦略」(ジョブ・ストラテジー)(By 田中直毅)。つまり,職の開放と再編ですね。それは,市民と市場のコミットメントの問題ともいえるものだと思います。

そこにITはどう絡んでくるのかというところが,私の興味の対象なのですが,これは既に,CALSでは説明しようがありませんが,目指すところは貴殿のいう「共存共栄の循環型社会の構築」なのかもしれません。

momo
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