格差社会はいいことだ?

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ニューズウィーク日本版 Newsweek Japan

2007-2-21

格差社会はいいことだ

ニューズウィーク日本版、2007-2-21の特集は「格差社会はいいことだ」であって、駅のスタンドでこれを見たときは、なにかのパロディだろうと思った。

その「なにか」とは小沢民主党の言っている「格差社会是正」のことである。つまりこの特集は、なんらかのかたちで各社社会容認論をおちょくっているのかと思ったわけだ。

しかし中身を見れば、これはまじに「格差社会はいいことだ」を語っているように思える。(「超リッチ層の正しい消費術」なるコラムはどう読んでも冗談としか思えないのだが)。

経済成長ありき

リバタリアニズムのOS化

ニューズウィーク日本版で展開されている意見の前提は、まず「経済成長ありき」ということだ。

だから経済成長が我々の幸福に必要なのかどうかといった議論は「」(カッコ)の中にしまわれてしまっている。

格差の解消をと政治家は叫ぶが、差が広がっている国ほど経済は成長するのが16世紀以来の現実。スーパーリッチの台頭は富の循環を促し、新たな雇用とビジネスチャンスを生む。平等幻想で損するのは中流層だ。(p22)

リバタリアニズム

これはリバタリアニズムという思想(とは呼べないような思想)の特徴でもあるのだが、ある前提を「」 (カッコ)の中に入れてしまって、「」のことは棚上げしてしまうことで議論を展開してしまうという手法である。

だから、文面だけをみれば、正しいように思える(というか説得力がある)。

しかし、「ほんとに経済成長ありき」なのだろか、とか、本当に「差が広がっている国ほど経済は成長するのが16世紀以来の現実」なのか、とかちょっとでもそこに疑問をもつと「ちょっと待てよ」となる――例えば「経済成長は、もういらない」と考えている人たちにとっては、これはトンデモ理論でしかない。

私はこの特集の真意をいまひとつ掴みきれていないのだけれども、これがマジに書かれたものだとしたら、リバタリアニズムのOS化の慣れの果てを見たように思うのだが、こういうのに共感を持つ方々も多いのが今時の日本なだろうなと、少しばかり憂いてもいる。