「ももち どっと こむ」より

還暦祝い!平成30年9月15日(土)桃組「小さな勉強会」と「暑気払い」のご案内。山と山とは出会わぬものだが人と人とは出会うもの(また会う道もある花の山)。

2018年08月01日|イベント



Lesson20 IT化の前提(4)―テレワークという考え方

テレワークという考え方

現場の機能とIT化の関係を考察していくと、現場はテレワーク実践の場であることに気が付きます。従来から考えられてきた「情報化」が前提とする勤労に関する考え方は、決まった勤務地に出向き、限定されたその場所で仕事をする一般オフィス勤務が前提です。これが本社事務所中心の「情報化」の考え方を支えてきたのです。しかし今日では、建設業以外においても、特定の場所に限定されずに働く様々なワークスタイルが出現しています。それは一般にテレワークと呼ばれていますが、これを実現化しているものがITでしかありません。

テレワークというワークスタイルを実施するには、企業と個人との間でいくつかの前提条件が必要となっています。それらは、権限委譲、自己管理、成果主義というものです。

権限委譲は上司がある程度部下に仕事のプロセスに幅を持たせることです。さもなければ離れた場所(現場)で仕事をすることはできません。また、上司が安心して仕事を任せられる部下とは、自己管理ができる、つまり自律的社員であることを意味します。でなければ現場を任せることなどとてもできそうにはありません。そして、常に上司と部下が顔を会わせられない分、仕事の成果の評価も変わらざるをえないことになります。つまり、成果で評価を行っていくなどの方法が必要となるわけです。

このような条件が整ってこそ、テレワークという新しいワークスタイルを実施できるのですが、建設業における現場とは、元来特定の場所に限定されずに働くワークスタイルのことですし、上記で指摘される前提条件は、現場の存在を前提とした建設業の分散型組織形態においては、当たり前のことにしか過ぎません。つまり、「現場のIT化」には、このテレワークという、一般的には新しいが、建設業にとっては当り前のワークスタイルを生み出し、そしてそれを支えている技術であるITを活用すればよい事に気付かれるはずです。つまりそれが、インターネットであり、イントラネットなのです。

現場で使えるITとは、インターネットに代表される、シンプルかつ自由なネットワークです。つまり、同一事務所内での利用を前提にしたネットワークでは、遠隔地に散在する現場間のコミュニケーションの実現は不可能なのです。そのようなものは「現場のIT化」を主眼とした中小建設業のIT化には基本的に向いていないことが理解できるでしょう。

先ほどの、日中、人影少ない本社事務所に、あるじのいないパソコンが整然と並んでいる光景を思い浮かべてください。これは、ひとり一台のコンピュータ環境を構築しているにもかかわらず、コンピュータを使える場所を本社事務所に限定してしまっているため、システムの有効活用が出来ていない典型的な事例でしかないのです。そして、このようなシステムを構築してしまうとき、そこには決まって「現場」への視点が欠如しているのです。これは環境と原理を無視した制度・慣行の導入でしかありません。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年10月20日 07:20: Newer : Older


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