「ももち どっと こむ」より

還暦祝い!平成30年9月15日(土)桃組「小さな勉強会」と「暑気払い」のご案内。山と山とは出会わぬものだが人と人とは出会うもの(また会う道もある花の山)。

2018年08月01日|イベント



Lesson20 IT化の前提(5)―イントラネット

イントラネット

現場を含めたネットワーク、つまり現場での活用を最優先としたネットワーク構築において、最も有効な答えはイントラネットです。イントラネットは、インターネットの技術を社内的に活用したものであり、当然にインターネットとシームレスな関係を持つものです。

イントラネットの活用のメリットは、第一に全社員レベルでの情報リテラシイの向上を促すことです。イントラネットの基本操作は、マウスのクリックだけを前提としたものです。これは、コンピュータ初心者にも容易に操作できることを第一に考えられたシステムということができます。つまり、イントラネットの成功を目標としたIT化の取り組みは、今までのコンピュータに触るのも嫌だった社員の情報リテラシイ向上にも大変有効に機能することになります。「正解の思い込み」による情報化でよく見かけるのは、全社員レベルでの情報リテラシイの蓄積が不十分なままに、操作的に難しい業務処理アプリケーションを導入することによる失敗です。

何事にも順序があるように、IT化の助走段階では、イントラネットのような初心者にも敷居の低いシステムで全社員レベルのコンピュータ操作技能を向上させることが肝要なのです。ひとり一台のコンピュータとは、すべての社員がコンピュータを容易に操作できることを意味しなくてはなりません。十分に訓練をしないでフルマラソンを完走することなど最初から無理であるように、IT化においても、十分なコンピュータの操作訓練は必要不可欠です。イントラネットは、その導入段階での訓練を最小限の時間と費用で実現できるものです。業務処理のためのアプリケーションの導入は、この後でも決して遅くはありません。

もし、業務処理がどうしてもしたいということであれば、現在のイントラネットは、その代表的な機能である電子メール、Webベースの電子掲示板は当然のこととして、文書やデータの共有も比較的簡単に実現可能となっています。遠隔現場からの工事状況報告は、デジタル写真と電子メールや電子会議室を活用すればいとも簡単に実現可能であり、わざわざ現場まで出かけなくとも、現場を可視的に確認することぐらいは可能となります。ISOにおける文書管理の問題も、イントラネットを用いれば、ドキュメントをデジタルデータ化することで版の管理の効率化も期待できることでしょう。

つまり、建設業における業務のほとんどはイントラネットの延長上に考えることが可能となるということです。むしろ、そうならないことには、「現場のIT化」を至上とする中小建設業のIT化では意味のないものになってしまいます。視点は常に「現場のIT化」なのです。このことは「CALS/EC」における現場での対応も、この普段の社内イントラネットの活用の延長上にあるということを意味しています。特段「CALS/EC対応」などと大上段に構える必要はありません。普段、社内イントラネットを活用することで「CALS/EC」が要求する程度の情報リテラシイであれば十分に身につくということです。逆にいえば、「公共工事という産業」がこのような情報リテラシイももてずに「CALS/EC」などといったところで、それは絵に描いた餅にしかなれないことを意味しています。

そしてなによりも重要なことは、〈イントラネットは自社のミームのプールである〉ということです。このことはミームが問題発見ツール、つまり「ポチ」であることを理解していれば、イントラネットは、ミームという眼鏡を通して、自社の問題がどこにあるのかを見つけ出すツールになりえることを意味しています。じつをいえば、企業経営にイントラネットが与えてくれる最大のメリットはこのことなのです。

このように、私のIT化コンサルテーションのコアは、例外なくイントラネットの運用にあります。私たちはすでに、自らの商品が自社の技術のミームであり、インターネットがミームのプールであることを知っています。そして、その技術を組織内的に応用したイントラネットとは自社のミームのプールであること、そしてミームは問題発見のツールであることが理解できたはずです。このふたつこそが、イントラネットをIT化の中心におく最大の理由なのです。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年10月20日 21:44: Newer : Older


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