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2019年03月03日|お知らせ



7月の建設業の倒産件数は20.4%増の324件と、2007年10月の309件を上回って過去最多となった。

記者会見で謝罪する志多宏彦社長=宮崎市橘通東1丁目の宮崎商工会館志多組 取引先1000社超 衝撃走る

県内最大手の建設会社、志多組(宮崎市)が8日、民事再生法の適用申請に追い込まれた。負債は今年、九州で倒産した企業で最も多い278億円。「県を代表する総合建設会社」(東京商工リサーチ)だけに、関係者の衝撃は大きい。その上、同社の下請けなど取引先は1千社以上に及び、連鎖倒産の不安が業界に広がる。入札改革を続ける県の政策にも影響を与えそうだ。from asahi.com:志多組 取引先1000社超 衝撃走る-マイタウン宮崎

2008年7月というのは、背筋の寒くなるような月だった。

先月は、石川の真柄建設、旭川(北海道)の北野組と、所謂地場型ゼネコンの破綻があり、あたしの住む台東区でも、三平建設が民事再生となった。それらは公共事業の減少→民間建築(マンション建築)への転向というスキームに沿った建設業であることで、追い詰められた建設業界が向かった先も、けっして安住の地ではなかったことを物語っていた。

そして全国版のニュースにこそならないけれど、地方の中小建設業の倒産は7月に増えていたのであり、悲しい話しも沢山聞いた。あたしは地方経済の破綻のはじまりに立ち会ってしまったかのような恐怖感に、できることなら、こんな時代には生きたくはなかったな、とまで思った。2008年7月というのは、背筋の寒くなるような月だった。

帝国データバンクによると、7月の全国企業倒産件数(負債総額1000万円以上、法的整理のみ)は前年同月比23.6%増の1131件で、法的整理のみに集計対象を変更した2005年4月以降で最多となった。負債総額は同2倍の6402億3200万円。建設、不動産業界で起きた連鎖倒産の影響が広がっている。

負債額から大型倒産をみると、東京都の新興中堅マンションデベロッパー、ゼファーの949億4800万円が最高額。これに沖縄県のクレジットカード会社オークスの486億円、石川県のゼネコン真柄建設の348億円が続いた。いずれも民事再生手続きを申請した。7月は負債100億円以上の倒産が11件となった。

全業種とも前年同月に比べ倒産件数が増えたが、特に建設業は20.4%増の324件と、2007年10月の309件を上回って過去最多となった。地域別にみると北海道が前年同月比1.8倍の58件となったほか、各地域で増加した。from 7月の倒産件数、23%増の1131件、負債総額6402億円、帝国データバンク - ニュース - nikkei BPnet

国策なんだろうな

しかしそれは、終わりの始まりに過ぎないのかもしれず、今月は宮崎県最大手の志多組の倒産(民事再生手続き)である。これらは、金融機関の融資引き締めが主要因なはずで(たぶん)、森永卓郎さんは次ぎのように指摘している。

昨今の不動産不況も似たような構造である。ここにきて、日銀は当座預金をものすごい勢いで絞っており、不動産業者に対する銀行の融資は非常に厳しくなっている。どうやら、金融庁がミニバブルによる地価高騰を抑えるために、銀行に不動産融資を厳格化するよう行政指導をしたようだ。from 長銀事件の無罪判決は当然、真犯人は別にいる / SAFETY JAPAN [森永 卓郎氏] / 日経BP社

「行政指導した」というなら、この状況は国策がもたらした、ということでしかなく、たしかにバブルのような地価高騰が起きたら大変だ、というのはわかるが、それで融資を厳格化したら、破綻するのは建設業だけではなく、地方経済であることは目に見えていたはずじゃないのか、と。

地方の内需のハブは、いまだに建設業のネットワークのままなのに、こんな(残酷な)ことができるのも、OSの書き換えは既に済んでしまったからで、つまり、壊せばなにか生まれる(かもしれない)、という全く非科学的な呪文を、行政はまだ繰り返している(小泉改革で成長したの派遣会社だけなのに)。

それは合成の誤謬などと呼ぶのも憚れるものでしかなく、なにか意図的なもの、悪意を感じていたりもする。いい加減、小泉-竹中的な経済政策は止めたらどうなのだろう。

政府の仕事は「かなしい」が足りない

国民の生命と財産を守るのが政府の仕事なら、意図的にそれを放棄しているのが、今の政府の経済政策だとしか思えないわけで、それは意図的ではない、と福田さんが弁明したとしても、ただ政府の怠慢を証明しているに過ぎないだろう。

そんな福田政権の支持率が低いのは当然で、そんな状況では、世論も変化も変化する。今回引用した志多組の記事には、

志多組が倒産した直接の要因は、民間マンション建築をめぐる取引先の破産だった。とは言え、財務状況が悪化した一因に「県の入札改革」を挙げていて、改革の行方に影響を与えるのは必至だ。

というような朝日新聞らしからぬ一説があり、マスコミもようやく「改革」と呼ばれる破壊行為に少しは目を向けるようになってきた感もある。

しかしこれは、「われわれ」の情報発信がもたらしたものではなく、公共工事を市場化したら、疲弊するだけの地方経済に、マスコミが驚いたからでしかないだろう(マスコミは常に〈遅れてきた者〉でしかない)。

内需が弱い経済状況の時代に、内需における大きなハブである公共事業という産業を壊せば、地方経済は疲弊し、益々内需が減るのは当然のことだ、と思うあたしからすれば、今の一般競争入札は、何も改革などしていないのだ。

それはただ、役人の保身としての似非マーケット・ソリューションでしかないことは「桃論」でも散々指摘してきた(まともな市場原理が働いてはいない、と)。そしてそれは壊しても何も生まれない政策でしかないことで、このまま何の対策も施さないのなら、地方はただ壊れていくだけだろう。それを「依存」と呼ぶ方々は多いのだけれども、それはただ、「かなしい」が足りないだけなんじゃないのだろうか、と(あたしは)思う、ということで午前9時起床。浅草はくもり。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年08月11日 02:00: Newer : Older

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7月の建設業の倒産件数は20.4%増の324件と、2007年10月の309件を上回って過去最多となった。 from モモログ

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