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2019年03月03日|お知らせ



桃組夏季勉強会で使用したPPT―開発主義の終焉と公共事業という産業。

建設投資の国内総生産に占める比率
建設投資の国内総生産に占める比率

国内総生産に占める建設投資の比率は、昭和50年頃は20%以上あったが、その後、減少傾向となった。昭和61年度以降に一時増加し、平成2年度には18.1%となったが、その後再び減少基調となり、平成20年度は9.4%となる見通しである。

平成20年度桃組夏季勉強会で使用したPPT

今回はPPTファイルのみで、PDFとフラッシュペーパのファイルはない。理由はPPTに動きがあるからで、その動きの最初と最後では、イメージがまったく違うからだ。ご面倒でもダウンロードしてご覧ください。

何故そんなPPTなのか、といえば、それは2004年頃の講演で使っていたPPTを「流用」しているからで、今回の勉強会の前半は、2004年に(というよりそれ以前から)あたしが言っていた公共事業という産業の危機は、その後どうなったのか、であったからだ。(つまり反省的自己検証)

予想通りの展開

それは悲しいことに、予想通りになった、と言っていいのだけれど、ではそのために何をするのか、という部分(つまり「桃論」=コミュニティソリューション)は、不完全燃焼だったわね、と。その大きな外的理由は、

  • 相次ぐ官製談合の摘発による自治体のひけごし―つまり「公共事業という産業」を構成する自治体という発注者の機能不全
  • 小泉・竹中改革路線による予想以上に急激な公共投資の減少

ということだし、この急激な変化に、建設業もついていけなかった、と(マリアビリティの機能不全)。

開発主義の終焉

これは開発主義のハードランディングを意味してしまうのだが、それが上の図(建設投資の国内総生産に占める比率)だ。今や、国内総生産に占める建設投資の比率は9%台であり、公共投資はその4割弱しかないのだから、公共工事を中心とした開発主義は終わったのである。

しかし開発主義が終わったと言っても、そこには開発主義がつくりだした、多くの中小建設業が残っているのだし、地方の生活者が依って立つ「環境」は、まだ開発主義の時代のままだ。そこに地方の悲しさは生まれる。その多くは「経済的」な失敗の多発ということなんだろうが、しかしそれよりも「経済的」に失敗した人達が「社会的」な居場所を失ってしまっている、ということだと(あたしは)思う。

普遍経済学

非合理性を受け入れるのは町内会でしかない

それは、経済を全てだとする心象(合理性)から始まっているのであって、「交換の原理」は社会(町内会とあたしが呼んでいるもの)という非合理性の厚みを奪い去っている。

たしかに経済は合理性を求めるけれど、人間は合理性だけでは生きてはいけない。かならず非合理性、不合理性をもって生きている。

その不合理性の引受先は社会(町内会)でしかなく、経済ではない。しかし社会に経済原理を持ち込む心象を(あたしたちは)もってしまったことで、地方は「帰る処」ではなくなってしまっているし、地方も「帰る処」という機能を失なっていることで疲弊のスパイラルから抜け出せない。

私とは私と私の環境のことである。
そしてもしこの環境を救わないなら、私も救えない。

今必要なのは(例えば「街的」のような)社会的な厚みなのだと(あたしは)思う。だからその社会的厚みの護持のために、あたしは地場の建設業を、地場の公共事業という産業を擁護してきたに過ぎない(それは既存の経済的ヘタレ体質からの脱却を伴うことで容易なことではないのだが)。

だからこそ、この文脈で、《私とは私と私の環境のことである。そしてもしこの環境を救わないなら、私も救えない。》(@オルテガ・イ・ガセット)はまだ機能している、と(あたしは)思う。

Tags: PPT , 公共事業

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年08月24日 10:02: Newer : Older

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