「ももち どっと こむ」より

還暦祝い!平成30年9月15日(土)桃組「小さな勉強会」と「暑気払い」のご案内。山と山とは出会わぬものだが人と人とは出会うもの(また会う道もある花の山)。

2018年08月01日|イベント



Lesson3 私の身の上ばなし(4)―私の身の上ばなしのまとめ

私の身の上ばなしのまとめ

さて、私の身の上ばなしもこの辺で終わりにしたいと思います。ここでは私の思うところを簡単にまとめておきましょう。

まず、インターネットが革命であることは、マクロ経済学者には理解しにくいだろうということです。なぜなら、彼らの問題解決方法は、個人と問題を切り離すことで成立しているからです。そういう方々にとって、インターネットの存在はファックスの延長上に考えることで十分な理解になってしまいます。しかし、個人の世界イメージの中では、これは「革命」に相当するようインパクトを持っているのです。

私は、今起きている革命的な変化とは、一人ひとりが生活の基盤としている文化や精神の「革命」であると理解しています。それは個人の革命であり内なる精神の革命です。個人がインターネットを活用することの意味は、第一に情報の発信、受信の機会、能力の発揮の機会が大きく増えるということです。

その機会を自らの生活の中でどう生かして、いかに自らの社会生活の中で自らの居場所を見つけていくかという問題に、自らが積極的に社会にコミットしていくことで「新しい関係」が構築され編集されていくことを理解することです。そしてそれは、サイバーな空間(デジタルデータが行き交う空間)だけではなく、リアルな空間(現実社会)でもそうであることを知ることになるはずです。

つまり、インターネットは私に新しい職業を与えてはくれましたが、同時に「私に収入をもたらしてくれる仕事はすべて、面と向かって直になされるものであり、私とお客様とのコミットメントは、私の身体がそこにある世界でおこなわれているものでしかないのです。」これが、インターネットが私に教えてくれたものに他なりません。

「IT化は建設業を変えるものだ」とする私の立場は、「公共工事という問題」の前では技術論的なIT化などなんの役にも立ちはしない、という現実を超える必要があります。その思考の展開の基盤はここにあります。

社会とか企業とかが、個人の生活世界イメージの組織であることを理解すれば、組織を構成している個人の価値観の変化は、やがて組織全体を変化させることになることになるでしょう。それは既存の組織における制度・慣行の力が小さくなるということです。つまり環境が変るのです。そして、そこにはさまざまな「新しい関係」が生み出されることになるでしょう。

例えば、NPOのようなボランティア的な社会的サービスを志向する新しい組織のかたちは、インターネットによって、活動の場を大きく広げていますし、インターネットが市民運動にひとつの新たな経路を与えていることは確かです。ボランティア的な性格を持つ事業では、インターネットはすでに強力な道具とさえなっています。(例:阪神大震災の救援活動におけるインターネットの活用)そして、それらが意味を持つのはリアルな空間での身体性を伴った活動においてである、ということです。

つまり、私の個人的な問題解決方法である『「わからない」という方法』とか、金子郁要のいう「コミュニティ・ソリューション」のようなスタイルの問題解決方法は、なにもサイバーな空間だけの問題解決方法ではないということです。これは現実社会でも有効な問題解決方法として台頭してくると考えるのです。

つまり、リアルな空間での新しい問題解決方法を生み出すエンジンになれることで、「インターネットは革命だ」と私はいえるのです。

そして、インターネットが新しい通信手段として大きなシェアを占めることは、この傾向が相互依存的に一般化するものだと考えています。インターネットユーザーの量的な拡大はやがて社会の質的な変化をもたらすでしょう。それは「今という時代」の精神的な基盤が、インターネットの精神文化とでも呼べるものを基盤としたものに、質的に変化しているということです。

私は、このような個人的な理解をベースにIT化を考えています。つまりIT化とは、第一に精神文化的な革命を私たちにもたらすものだということです。そしてこの精神文化的な革命は、私たちが身体を伴ったリアルな空間生きる社会的な存在であるということで、私たちが今までとは違った精神的な基盤をもって、自らと社会との位置関係を確認し始める(編集する)ことを意味しています。私のいうIT化が私たちに教えてくれるものは、現実社会での問題解決方法だということです。

この自らと社会との位置関係を確認する作業から生まれる新しい問題解決方法が「コミュニティ・ソリューション」です。この問題解決方法が、従来の社会的枠組みの中で機能してきた「ヒエラルキー・ソリューション」や「マーケット・ソリューション」だけでは解決が難しい問題の解決方法として有効かもしれない、というのが本書のIT化論の立場なのです。

私は「マーケット・ソリューション」や「ヒエラルキー・ソリューション」、つまり、経済学がつくり出したふたつの問題解決方法では、もはや「公共工事という問題」は解決が難しいと考えています。公共工事が抱える閉塞状況(公共工事という問題)に、ボランタリーな問題解決方法である「コミュニティ・ソリューション」が、新しい問題解決方法としてどこまで有効なのかを考えることが本書が行おうとすることなのです。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2007年08月26日 11:54: Newer : Older


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