自民、「公共事業削減」「社会保障抑制」3年凍結要求へ

左から)笹川尭総務会長、麻生太郎幹事長、保利耕輔政調会長、古賀誠選対委員長自民党は2日の総務会で、国の予算に関し、公共事業関係費を前年度比で3%削減し、社会保障費の自然増を毎年度2200億円抑制する方針を、今後3年間は凍結するよう麻生首相に求めることを決めた。

この方針に沿って政府が策定した2009年度予算案の概算要求基準(シーリング)も見直しを要請する。世界的な金融危機と深刻な景気悪化を受け、小泉政権が打ち出した財政規律重視の方向性の転換を求めるもので、今後、議論を呼びそうだ。

こうした対応は、細田幹事長ら党四役が決めて総務会に報告し、了承された。

笹川総務会長はその後の記者会見で、財政出動を増やす場合の財源について、「建設関係(など公共事業関係)なら建設国債(発行)だ。生きていくためには仕方ない」と述べた。

政府・与党は、社会保障費の抑制方針を見直す場合、たばこ税の増税で賄うことを検討している。ただ、政府内には、財政規律を保つ観点から、こうした方針転換に慎重な声もある。 (2008年12月2日14時15分 読売新聞


桃知の感想

生きていくためには仕方ない」というのは、凄いフレーズである。ひねりもなんにもない。ストレートである。しかしこれは詩的なフレーズなのであって、おしんが云っても不思議ではない。政治家は最後は詩的に逃げるのである。

「生きていくために仕方ない」。こんなラディカル(根源的)な)ことばに、太刀打ちできるフレーズは本当はないのだ。けれど今の政治家は言葉を大切にしない人々であることで、どんな詩的なフレーズでも記号として消費されていまう。だからこんな凄いフレーズさえも威力は半減する。

けれどこれは、マクロ経済学的には当たり前のことでしかなく、「プライマリーバランス」※1は棚上げになる。それは日本だけではなく世界中がそうなのであって、なぜそうなのかといえば、今回のリセッションに対する処方箋は、これしか(マクロ経済学的には)ないからだ。いくら科学的ではない経済学でも、この時期緊縮財政となれば大デフレになることぐらいはわかっている(たぶん)。

それで財源はどうするのだ、と云う意見に対して「建設関係(など公共事業関係)なら建設国債(発行)だ。生きていくためには仕方ない」と笹川自民党総務会長は云うしかないのである。そこが公共事業を批判する人たちの突っ込み処であって、まあ、政府通貨の発行とか、日銀の買いオペとか、マネタリスト的な処方もあるのだけれども、相手に対して突っ込み処を残すのも政治の流儀である。なぜなら彼らは対立でしか生きられないからだ。

注記

※1 プライマリーバランスと公共工事。 from モモログ