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この労働は、確かにたいへん辛い仕事である。ときどき海底で漁をする楽しみのためになら、たまに水にもぐるのもいいことだが、六月から九月まで何ヶ月もの間それをやらなければならないとすると、それによく悪天候のことも寒いこともあるだろうし、話はまた別である。だがそれにしても、海士や海女よりもっと健康な人たちなそというのは、私はかつて見たことがない。潮や日にやけた彼らの体は、都会が煙ったその空の下の作り出すあの弱々しい青白い種族からは縁遠く、そもそもこの世界の始まりからの人間の姿である。

(中略)

若い海女たちは往々たいへん美しくて、自分たちの領域中にいる者の自然さで海水に滑り込んでいた。年輩の方は普通、胸部に、腹部に、または腰に母親の痕跡がいろいろとあってきれいではないが、彼女たちの腕前は驚くばかりの賞賛すべきものであった。

from F・マライーニ,『海の女《舳倉島》』,p124~125

海女の海《舳倉島》

海女の島―舳倉島
F・マライーニ(著) 牧野文子(訳)

1964年10月15日
未来社
2626円(税込み)