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定価980円

Vol.66-05
2012年5月号増刊
2012年4月2日発売

特集「古地図で歴史をあるく」

「大阪の古地図はおしゃべりだ」。江戸から昭和までの古地図200点を紹介。

  • 「大坂名所一覧」(慶応元年)
  • 「新板大坂之図」(明暦三年)
  • 「浪華名所獨案内」(天保三年)
  • 「五畿内掌覧図」(天保十二年)
  • 「大大阪明細地図」(大正十四年)
  • 「大大阪観光地図」(昭和初期)
  • 「最新大日本鉄道地図」(昭和十一年)
  • 「伊万里焼日本図皿」(天保年間)
  • 吉田初三郎のパノラマ地図 ほか
  • 特別付録「改正増補国宝大阪全図」(文久3年)

大阪の古地図はおしゃべり。

古地図はなんだか面白い。現代の地図は便利で、正確で、役に立つが、面白くはない。もちろん実用性は大切だ。現代の地図は無いと困る。古地図は無くとも困らない。でも、無いと淋しい。役に立たない、だけど心をゆたかにする。古地図はとても面白い。

ゆたかさは、どこから来るのか。古地図は作り手が変わると、がらりと趣が変わる。同じ街でも、見る人が違えば、違う街である。そういうあたりまえの事実に、気づかせてくれる。標準化され現代の地図は。実用性とひきかえに、そういう事実を見えにくくした。良いのか悪いのかの問題ではない。古地図は作り手の人間味がものを言う。その声に耳を傾ける用意があるなら、きっと胸に響くものがある。これを、古地図的ゆたかさと呼んでみたい。

大阪の古地図は、おしゃべりだ。眺めていると、ざわざわと聞こえてくる。大阪はこんな街だと、当時の人たちが語る声である。
(本渡章  p11より)