定価980円 | Vol.66-05 特集「古地図で歴史をあるく」 「大阪の古地図はおしゃべりだ」。江戸から昭和までの古地図200点を紹介。
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大阪の古地図はおしゃべり。
古地図はなんだか面白い。現代の地図は便利で、正確で、役に立つが、面白くはない。もちろん実用性は大切だ。現代の地図は無いと困る。古地図は無くとも困らない。でも、無いと淋しい。役に立たない、だけど心をゆたかにする。古地図はとても面白い。
ゆたかさは、どこから来るのか。古地図は作り手が変わると、がらりと趣が変わる。同じ街でも、見る人が違えば、違う街である。そういうあたりまえの事実に、気づかせてくれる。標準化され現代の地図は。実用性とひきかえに、そういう事実を見えにくくした。良いのか悪いのかの問題ではない。古地図は作り手の人間味がものを言う。その声に耳を傾ける用意があるなら、きっと胸に響くものがある。これを、古地図的ゆたかさと呼んでみたい。
大阪の古地図は、おしゃべりだ。眺めていると、ざわざわと聞こえてくる。大阪はこんな街だと、当時の人たちが語る声である。
(本渡章 p11より)