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2019年03月03日|お知らせ



『南部再生』 尼崎南部地域の情報誌。

『南部再生』 尼崎南部地域の情報誌
『南部再生』 尼崎南部地域の情報誌

この『南部再生』という冊子に詰め込まれた、モツの煮込みのようなテクストに、あたしは浅草と同じような「街的」DNAを感じることができる。

それは140Bの大迫さんが送ってくれたもので、「全員ノーギャラなんですが」というそのフリーペーパーの発行元は、尼崎南部再生研究会という民族系の活動団体のような名前なのだが、大迫さんも関係しているらしく、

尼崎南部再生研究室・通称あまけんから、南部再生28号が届く。今回は意外と知らない尼崎の歴史特集。タイトルは「その時 尼崎が動いた」。 これは僕が考えたものであるので、ちょっと誇らしげな気分である。いつものことながら若狭さん・綱本さんほかの頑張りには頭が下がる。僕もちょっとだけ尼崎城のことについて書かせてもらった。あいかわらずの良い出来なのでぜひ手に入れてください。[尼崎と中之島 from 編集集団140Bブログ]

ということらしい。

あたしは尼崎は知らない。電車で素通りしたことはあるから場所は知っているが、その生活は知らない。しかしなんで「尼崎」でなくて「南部」なんだ、という疑問は当然に持ち上がる。

バックナンバーを読んでみると、これも大迫さんのテクストで、「尼崎の"南北問題"を、面白がれないことこそが問題だ。」があった。それによれば、尼崎には「南(浜手)=下町・北(山手)=ハイソ」という図式があるらしい。

わかりやすい対立項である。それはまるで東京の下町/山手なのであり、J・ジェイコブズの路地/ル・コビュジュの田園都市の対立のようなもだろう。

その〈差異〉は、均質化、マニュアル化される生活(「みんな」の生活)への抵抗軸のひとつだ。つまりそれは、「」を立ち上げるための「足場」が、地図と暦とイディオム的に何処にあるのか、という問題である。だからその対立項があること自体、尼崎は素晴らしい(というかおもしろい)。

その〈差異〉を感じることは、自分の足場を持ってる第一歩である(それは北でも南でも、西でも東でもどっちでもいい)。それがないから、あたしたちはつい楽な方(「みんな」)に流れてしまうのである。

しかし「楽な生活の何が悪いんだ」という意見は、「みんな」(都市=生活のメディア化・マニュアル化)的にはけっこう正しかったりするのであって、TV村全盛の時代に、これに抵抗するのはけっこうしんどい。

なのであたしは、「苦しむためには才能が要る」(@北条民雄)と同様に、(生活を)「楽しむためには才能が要る」のよ、と(無責任に)云ってしまう。

つまり、「尼崎の"南北問題"を、面白がれない」のであれば、それは才能がないからであって、その才能とは、今残っている路地(街)への信頼(記憶)を愛おしむ能力である、と。

けれどそれは、古いものをただ懐かしんでいるわけではなく、まだ残っている路地の信頼(記憶)への執着のようなものである。街には場所の記憶が刻まれている。場所には日付がある。この『南部再生』も、そういう場所の記憶としてのテクストである。それは、「地域の再生」を云うならば絶対に必要なことなのだ。

それはなぜか、と云えば、(トートロジー的になるが)その場所(での生活)がまだ残っている、という記録こそが、「街的」のランドマークだからであり、あたしたちが「みんな」ではなく、「」「われわれ」であろうとするときの(すがることのできる)手摺だからである。

つまり、この『南部再生』という情報誌は、生活のメディア化ではなく、それとはかけ離れたところで、「街的」であろうとしている。

それは浅草で読んでも十分に「街的」であることで、「おもしれーことをしているやつらがいるもんだ」と、敬意をもって云えるのだ。(厳密に云えば、浅草と尼崎は違う。浅草は商人と職人の街だが、尼崎は工員の街だろう。しかしそんなことは、たいした問題ではないのである)。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年03月14日 21:23: Newer : Older

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コメント

尼崎と言えば「下妻物語」のイチゴですね♪

投稿者 ねぇさん : 2008年03月14日 22:19

あぁ、そうか。
一生をジャージで過ごすバッタもんの街か。

投稿者 momo : 2008年03月15日 06:08

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