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『「しがらみ」を科学する』 山岸俊男を読む。

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「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門

山岸 俊男(著)
2011年11月10日
筑摩書房


ネット評判社会

午前4時25分起床。浅草は晴れ。山岸俊男先生から 『「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門』 をいただいたのだ。あたしは退院して直ぐに(2年2ヶ月ほど前にである) 『ネット評判社会』 という本をいただいていたのだが、当時のあたしは残念ながら読む力がなく、理解が出来ないまま、書評も書けずにそのままだったのだ。

『ネット評判社会』を読んだのは、つい最近のことであって、そこからのインスピレーションで2つのTPPシリーズを書いた(『「ふっくりんこ」とTPP。』、『オリンパスとTPP。』)。つまり、「集団主義的な安心社会で生活していたあたしたちには、個人主義的な信頼社会で作られたシステムは、そもそも理解ができないのだ」、というフレーズである。『ネット評判社会』は、一応ちゃんと本が読めるようになったあたしに、それぐらいのインパクトを与えたものだったのだ。

「しがらみ」を科学する

さてこの『「しがらみ」を科学する』は、副題にもあるように、高校生に(ばかりでなく大人にも)社会心理学を理解させよう、というものだが、つまりは世間=社会とは「しがらみ」なのだということを理解してもらい、「私たちが誰も望んでいない行動を取るのは、社会の中で私たちが、自分で自分の自由をしばりつけているから」だと考えて欲しいのだ。

そして「今の日本の社会には、そうした馬鹿らしいしばりがあまりにもたくさんありすぎる」ので、日本人が元気を失ってしまっているのでは?といい、世間でうまく生きられないなら、世間の一部を空気じゃなくて法律や契約といったかたちに置き換えた「社会」に変えていく必要がある、つまり「世間をうまく生きられないなら、社会で生きるようにすればいい」のだという。

あたしは2度程、山岸先生と一緒に話したことがあるが、その考え方は当時と少しも変わっていないな、と思う。しかし(山岸先生に云っても仕方ないだろうが)、あたしら建設業者が生きてきた環境こそが、現在の「世間」から「社会」への大転換期そのものであり、その転換故の様々な障害が、あたしの人生の後半を苦しめてきた。

あたしは山岸俊男理論を勉強し、少しでも「社会」で生きられるような体質をつくろうとしてきたが、あたしの理解が足りないのか、それともあたしの周りにいる人の理解を得られないのか、はたまた山岸先生の理論が甘いのかは知らないが、理想とは大きくちがった「世間」の中で今日も生きている。ただ、先生のいうように、「世間」から「社会」になっていくことは、十分実感しているのだな。

Comment [1]

No.1

ああ、その「馬鹿らしいしばり」の最たるモノがコンプライアンス・・・だったりするんですね!

凄く納得です。

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