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2019年03月03日|お知らせ


2007年02月14日(水) 

建設業経営改善促す講演会―福島県の入札制度改革について。

午前7時起床。浅草はくもり。

建設業経営改善促す講演会 福島県の入札制度改革」(河北新報ニュース:登録制)

条件付き一般競争入札の全面導入を柱とする入札制度改革を進める福島県は13日、県内建設業者に経営の構造改善を促そうと、県建設業経営合理化講演会を福島市で開いた=写真=。約230人が参加、経営改革のポイントや談合規制強化の動向に理解を深めた。

講師を務めた東邦銀行の渡辺正彦取締役融資管理部長は、建設業の経営変革の遅れを指摘した上で「自由競争下では、技術力や工事品質など自社の強みを明確化し、発注側に示さなければならない」と助言。財務体質の改善の重要さを強調し、新分野参入の留意点を紹介した。

じつは、この記事は複雑性を縮減したテクストである――それは公共事業への言及時の複雑性の縮減(合理化)としてはよくあることだ。

つまり、「自由競争下では、技術力や工事品質など自社の強みを明確化し、発注側に示さなければならない」、と「財務体質の改善の重要さを強調し、新分野参入の留意点を紹介した。」は――本来直接的には結びつかないのだが、それが直接的に関係するように読めてしまう。

そこでは、問題の本質が見えないので、今朝はそれが見えるように書いてみたいと思う。(つまり以下のテクストは〈良い/悪い〉を書いているのではなく、ただのデコードの過程である)。

入札制度改革と、建設業の経営改革は、本来別のものでしかない。

「自由競争下では、技術力や工事品質など自社の強みを明確化し、発注側に示さなければならない」のはあたり前のことだが、なぜそれがあたり前に出来ていなかったのかと言えば、公共事業においては、発注者側(買い手)が市場ではなく、役所であるからだ。

それ(技術力や工事品質など自社の強み)を評価するシステムがない、という言い方もできるかもしれないが、市場原理――自由競争を強調するなら、それは適切ではないだろう。

しかし、そのシステムを構築していこうとするのが入札制度改革であるなら、入札制度改革とは役所の改革であり、その制度が機能しないうちは、建設業界は何をどう努力すれば、〈私〉が評価されるのがわからない。

つまり、そんな状況では、建設業者としての経営改革などできるわけもないだろう。

しかしそれでは、発注者側(役所)は、なにも改革していないように見えるので、ここで短絡的に市場原理――というか安値原理だろうが――、を導入するのが常である。

本来、市場原理では、安いだけでは売れないのだが、その評価システムが市場でなく、文書主義のお役所なのだから、その当たり前が機能しないのである――つまり市場原理にマニュアル(文書)はない。

本来、市場では、なぜ売れたり、売れなかったりするメカニズムがよくわからない(わかる部分もあるが、わからない部分の方が遥かに多い)

つまり市場には、成功の絶対マニュアルは無いのであって、だからこそ努力(というか信念システム)が機能するのだと(私は)思う――じゃなかったら、マネジメントでいう経営者のリーダーシップなんていらない。

しかし公共事業が導入する市場原理は、(役所の)文書主義のおかげで、ただの安値システムとなる。それは似非マーケット・ソリューションにしかならないことは、ずっと前に『桃論』で書いた。

そこで建設業も短絡的に、最も安易な方法である、安値を選択せざるを得ない。

そこでは、「技術力や工事品質など自社の強みを明確化」する必要はない。安ければよいのである――ダンピング→自滅というスキームが働く

そんな環境だから、「財務体質の改善の重要さを強調する」のなら、建設業から撤退するのが、企業としてはベターな選択となる――だからこそ新分野への進出なのだろう。

しかし繰り返すが、「新分野参入の留意点を紹介した」のは、直接的には入札制度改革とは関係のないことなのだ。

「新分野参入の留意点」は、元も子もない言い方をすれば、ぶっちゃけ、もう公共事業でみんながやっていけるシステムなんて無いのよ、と。だからね、お金に余裕のある方は、早いうちに新しい事業でも始めましょう、と。それは銀行も応援しますよ、と。

でもお金の無い人のことは……知らない、ということだろう。

だからね、これで解決がつくなのなら(開発主義の終焉が可能なら)、役所なんていらないのよ。

投稿者 momo : 2007年02月14日 09:27 : Newer : Older

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