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2007年04月19日(木) 

日本人のしきたり。(飯倉晴武)

三重県津市へ移動してきた。移動時間に『日本人のしきたり』を読む。

日本人のしきたり

日本人のしきたり―正月行事、豆まき、大安吉日、厄年…に込められた知恵と心

飯倉晴武(編著)
2003年1月25日
青春出版社
667円+税

この本は昨日、新千歳空港で購入したものだ。購入した理由は単純にベストセラーだから、ということだけなのだが、購入してはじめてわかったのは、これは2003年1月の発行であるということなのだ。そして私の疑問は、本の内容というよりも――この本は「日本のしきたり」についてのデータベース的な記述であり、辞書を読むような感覚である――、それが何故に今頃ベストセラーなのだろうか、ということであって、移動中そのことばかりを考えていた。

データベース的な記述であるこの本は、そのことで強烈な第4象限の記憶の書となっている。先の見田宗介の分類を借りるなら、それは共同体 community(=〈即時的な共同態〉)であり、

伝統的な家族共同体、氏族共同体、村落共同体のように、個々人がその自由な選択意思による以前に。「宿命的」な存在として、全人格的に結ばれ合っている、というかたちで存立する社会。((見田宗介:『社会学入門』:p17)

の記憶である。

社会の存立の4つの形式

つまり、『共同態:「ゲマインシャフト」.人格的な関係 personal』かつ『意思以前的:意思以前的な関係:pre-voluntary』と社会としての、ならぬものはならぬ、の記憶である。

そしてその多くは、過去の残像として(今も)残ってはいるが、ゲゼルシャフト化が強まる私たちの日々の生活においては、既に重要な意味を失っている。

そんなもののデータベース的な記述が、なぜ今、ベストセラーなのだろうか。それが懐古趣味だとしても、その昔を懐かしむような気持ちが多くの人達のこころの中にあるのだとしたら、それは一体なんなのだろう。人間はそんな風にできているというのは簡単だけれども、私には何かが消え行く前の風前の灯のように思える。たぶんこの本をベストセラーにしているのは若人達ではないだろう。

Tags: , 見田宗介

投稿者 momo : 2007年04月19日 17:07 : Newer : Older

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