午前6時起床。浅草はくもり。ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン教授の「アベノミクス」を評価した記事が1月14日のNYTに掲載されていたので紹介しよう。

Krugman_New-popup-v2アベノミクスとは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3つを基本方針としており、安倍首相はそれを「3本の矢」と表現している。

個別の政策としては、2%のインフレ目標、円高の是正、政策金利のマイナス化、無制限の量的緩和、大規模な公共投資(国土強靱化)、日本銀行の買いオペレーションによる建設国債の引き取り、日本銀行法改正などが挙げられる。

つまり、一昔前の言葉で言えば「ケインズ政策」と呼んでもいいはずで、すなわちこれには反論もある(というか反論の方が今までは普通だった)。たとえば、「安倍さん、これだけはしないでね」(日本経済新聞 編集委員 西條都)は市場原理主義者の立場からのものである。

彼がいうには、『日本経済の停滞の原因は新しい企業が生まれず、産業の新陳代謝が進まないことだ。日本の社会保障は老人向けの給付が子ども向けより手厚いとよく指摘されるが、企業関連の政策でも、古い企業を支える政策だけでは、新陳代謝はさらに停滞する。東大の戸堂康之教授は「企業の興亡は市場メカニズムに任せて、政府は何もしないのが最善の策」という。』※1のだ。

これはクルーグマン教授の意見と対局をなすものだろう。クルーグマン教授は、長引く不況から武家出しすためには「政策決定権者に、大胆な行動を起こす必要があることを認めさせるのが難しいことにある。

つまり、問題は厳密な意味で経済学的なものというよりも、政治的、そして知的なことなのである。というのも、そうした行動がもたらすリスクは、『生真面目な人々』が皆を信じ込ませようとしているよりも遥かに小さいものだからである。」という。

しかし安倍さんも今さら、という風に思わなくもないが(なにせ自民党は市場原理主義者の温床なのでもある)、クルーグマン教授が、日本政府が自分の推した政策を取る事を歓迎していることは、当然のことといえるだろうし、いわば自己肯定しているのである。

そういうあたしは、根っからにケインズ経済学支持者であるし、そしてクルーグマン教授の支持者でもある。それは脳梗塞の前でも後でも変わらないのであるが、そんなのもでクルーグマン教授の言うことを素直に受け取りたいし、そして地場型中小建設業のためにも、アベノミクスが成功することに期待したいのだ。

くれぐれも、借金を心配する政府は、常に経済回復が本格的なものになる前にそうした政策を引っ込めてしまい、お金を大量に刷ることによってデフレと戦おうとした日銀もまた、改善する前にそうした措置を撤回してしまい、デフレは居座ってしまった、てな事にならないようにであるな。

※注記

  1. 安倍さん、これだけはしないでね」(日本経済新聞 編集委員 西條都)