江弘毅、清司で上機嫌江弘毅、清司で上機嫌


江弘毅がこのうえもなく上機嫌だったこと

午前5時25分、浅草は晴れ。これは19日に日付が変わろうとした頃、江弘毅が是非に呑みたいいきたい、というので「すし処 清司」に行った時のものである。というのも、江弘毅の最新書、『飲み食い世界一の大阪 そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの』にこんな一説があるのだ。

けれども東京の鮨屋はいろんな店に連れて行ってもらったが、やっぱり良いと思う。とくにおでんの[大多福]にも連れて行ってくれた浅草の住人・桃知利男の行きつけの「町内」の店は、これは京大阪では絶対ない鯔背いなせで陽気で、親切できれいな店だ。客が板前を変にありがたがったり、店が客にやたらへりくだるというようなことはない。代わりに客同士あるいは店と客の長幼先輩後輩関係というか縦のラインがぴしっと利いていて、祭のときの詰所で飲み食いする感じに似ていて心地よい。またそういう空間と鮨という食べ物は、やはり江戸っ子弁が似合う。(p105,106)

この「町内」の店こそが「すし処 清司」なのであり、浅草の「街的」とは「寿司と洋食と蕎麦は、近所のがいちばんうまい」に収斂されているわけで、つまりここもうちの近所なのであるが、看板間際、客のひけた店内に、大きな顔でどんと座った江弘毅は、上の本文+その前の文章を二回、三回と読み直し、ついでにコルト45口径てやつは、と左胸のあたりをまさぐったのだ。

と思えば、ケータイの「だんじり」の写真まで見せてくれて「これが俺や」と。地元の「めうがや」※1も出てくれば、「足袋は岸和田足袋が売られています」、という板さんの返事に、徳利の数は増え、おまけに煙草も呑めるというこの店にそれはそれはご機嫌だったのである。

そして久しぶりに白米を食べたあたしは、米はうまい、というのはとっくに承知していたのが(なにを隠そう米を死ぬほど食って本当に死に損ねたのだ)、こんな夜中に、隣で江弘毅が「がははは」と笑っているだけで、なぜか米はどうでも良くなって米を食った。

とはいえ、午前1時30分、看板から30分ほど過ぎてようやく店を後にしたのだが、いや、本当に楽しい夜だったぞ。江弘毅、またやろうな。[浅草グルメマップ]

あたしの食べたもの

お通し 小鰭
トロ 鰯だと思う?
鯵だと思う? かずのこパパセット

すし処清司
台東区浅草3丁目22-12 新坂ビル1F
03-3872-7275

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※注記

  1. 「めうがや」 うちの近所の息子の同級生の祭用品の店