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2007年02月16日(金) 

格差社会はいいことだ?

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ニューズウィーク日本版 Newsweek Japan

2007-2-21

格差社会はいいことだ

ニューズウィーク日本版、2007-2-21の特集は「格差社会はいいことだ」であって、駅のスタンドでこれを見たときは、なにかのパロディだろうと思った。

その「なにか」とは小沢民主党の言っている「格差社会是正」のことである。つまりこの特集は、なんらかのかたちで各社社会容認論をおちょくっているのかと思ったわけだ。

しかし中身を見れば、これはまじに「格差社会はいいことだ」を語っているように思える。(「超リッチ層の正しい消費術」なるコラムはどう読んでも冗談としか思えないのだが)。

経済成長ありき

リバタリアニズムのOS化

ニューズウィーク日本版で展開されている意見の前提は、まず「経済成長ありき」ということだ。

だから経済成長が我々の幸福に必要なのかどうかといった議論は「」(カッコ)の中にしまわれてしまっている。

格差の解消をと政治家は叫ぶが、差が広がっている国ほど経済は成長するのが16世紀以来の現実。スーパーリッチの台頭は富の循環を促し、新たな雇用とビジネスチャンスを生む。平等幻想で損するのは中流層だ。(p22)

リバタリアニズム

これはリバタリアニズムという思想(とは呼べないような思想)の特徴でもあるのだが、ある前提を「」 (カッコ)の中に入れてしまって、「」のことは棚上げしてしまうことで議論を展開してしまうという手法である。

だから、文面だけをみれば、正しいように思える(というか説得力がある)。

しかし、「ほんとに経済成長ありき」なのだろか、とか、本当に「差が広がっている国ほど経済は成長するのが16世紀以来の現実」なのか、とかちょっとでもそこに疑問をもつと「ちょっと待てよ」となる――例えば「経済成長は、もういらない」と考えている人たちにとっては、これはトンデモ理論でしかない。

私はこの特集の真意をいまひとつ掴みきれていないのだけれども、これがマジに書かれたものだとしたら、リバタリアニズムのOS化の慣れの果てを見たように思うのだが、こういうのに共感を持つ方々も多いのが今時の日本なだろうなと、少しばかり憂いてもいる。

投稿者 momo : 2007年02月16日 16:22 : Newer : Older

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格差社会の必要性? from HPO:機密日誌 (2007年02月17日 16:59)

えー、まだ考えはぜんぜんまとまっていませんが、例によってももちさんの記事について書きたい衝動がむらむら来ている。 が、「経済成長ありき」なのだろか、とか... ...

コメント

ももちさん、こんにちは、

ようやくニューズウィークを読みました。

思ったんですけど、これは製造業がかなり衰退し、サービス業が雇用の大半を占めるようになった米国だから「格差社会はいいことだ」といえるのではないでしょうか?ここのところ、生産性と賃金という議論がネットを駆け巡りましたが、この議論に乗っかって言えば、製造業よりもサービス業の方が海外移転、海外とのアービトラージュに壁があるので、米国では製造業から直接間接にお金をむしりとった超富裕層が国内のサービスにお金を使うということは、米国経済に貢献することになるという前提が、この雑誌の特集にはあるように思いました。

一般論として、格差社会と経済成長との関係については、仮定の上の仮定という砂上の楼閣の議論ですが、↑のトラックバックあせていただいた記事に書きました。

投稿者 ひでき : 2007年02月18日 15:34

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