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2019年03月03日|お知らせ



パチンコ経済の崩壊とテキヤ経済―おカネはだれがつくっているのか。

パチンコ玉週に2回はパチンコ店に通い、毎月1回は妻と子供3人を連れてレストランで外食、3カ月に1度は家族5人で泊まりがけの温泉旅行──。静岡県伊東市に住む浜岡猛さん(仮名、48歳)は、10年以上続けてきたこんな暮らしを3カ月前、断ち切った。

県内の旅館で副料理長を務める浜岡さんの年収は約300万円。外食や遊興を頻繁に楽しむほど、生活費に余裕があるとは言いがたい水準だ。「それなりに満足する生活」(浜岡さん)ができていたのは、消費者金融からの借金があったからだ。(略)

ところが、2006年暮れあたりから消費者金融会社の態度が急に厳しくなった。30万円まで可能だった借り入れの限度額が突然10万円に引き下げられたのだ。理由を尋ねても、「お客様の実績ではこれ以上は貸せない」の一点張り。

貸し渋りに直面して、さすがの浜岡さんも焦った。借金しないと回らない生活を続けていたら、いつか破綻する。そう反省した浜岡さんは、過去に支払った利息のうち払い過ぎた分を取り戻す過払い金の返還を請求。これを機に、新規の借り入れをやめた。今は年収300万円に見合った消費で我慢する日々。パチンコにも外食にも、もう行かない。 from だれも言わない“ニッポン版サブプライム問題” ?パチンコだけじゃない 思わぬ連鎖でGDP5兆円が消える:NBonline(日経ビジネス オンライン)

午前7時起床。浅草は晴れ。あたしはパチンコをしない人だし、あんな寂しい「みんな」の遊びはないといっているけれど、パチンコ好きがパチンコができないような経済状況って、地方の終わりじゃないの、などと思ってしまう。なぜならパチンコは地方資本主義の最終商品だからだ。

今、日本に限らず、資本主義経済を守るための経済政策は消費喚起に向かっていて(需要:デマンドサイド)、供給:サプライサイドはどうでもよくなっている。一昔前の構造改革なんて、ミクロ的には(つまり「みんな」には)あんまり関係ないのであって、関心は自分の可処分所得なのである。

おカネはだれがつくっているのか。

パチンコするにも街場で酒を飲むにしても、おカネが必要なのは、おカネはメタ欲望だからで、物々交換の世の中じゃないんだから何をするにしてもおカネはいる。ではそのおカネをつくっているのはだれなのかといえば、日本で通貨を発行しているのは、日本銀行と日本国政府となる。

紙幣は日本銀行券で日銀が発行し、硬貨は政府貨幣なので政府が発行している。それで市中に出回るおカネの量をマネーサプライ(通貨供給量)というのだけれども、マネーサプライというのは、お札や硬貨のような現金だけでなく、預金なども含まれる。だから日銀も日本政府もマネーサプライ分の貨幣をつくる必要はない。

つまりおカネには、お札や硬貨じゃないものもある。それでおカネが足りなくなるとデフレになり、多すぎるとインフレになる、というのが一般的な理解。ではマネーサプライを決めているのは誰か、といえば、それは基本的には銀行、つまり貸し出し量(というのがあたしの理解)。

日銀が管理できる貨幣量(マネタリーベース※1)は今は90兆円ほどあって、これが金融機関を通して企業に貸し付けられる。企業はこれを使って設備投資等を行うことで、別の企業や従業員におカネが渡り、消費に使われたりして、残りが銀行に戻ってくる。これが第1ラウンド。

すると金融機関は戻ってきたおカネをさらに貸し出して、これが第2ラウンド。という具合にラウンドが繰り返されて貸し出しは創出される。そしてこの貸し出すおカネは、お札を刷る必要はなくて、銀行は借入者の口座に電算的に金額を振り振り込むだけでいいわけだ。

なので、マネーサプライは、マネタリーベースの何倍にもなったりする。これでおカネは生まれる。もちろんいくらでもおカネをつくっていいわはなくて、日本の場合は土地本位制で動いていて、つまりおカネの量は土地の価格に左右されている(たぶん)。

マコーミック米財務次官の「あー」

米国の場合、先に「しかし、世界経済は実際には米国の消費の伸びと経常赤字の拡大に過度に依存し、多くの国で経常黒字が拡大していた」というマコーミック米財務次官の「あー」なフレーズを紹介した。

米国の経常赤字が大きいということは、貯蓄率が低いということであって、アメリカは金融機関が消費者におカネを貸し出すことで、じゃぶじゃぶの消費の世界をつくり、世界の経済を回していたわけだ(何故そうしなくてはならなかったのかはここでは触れない)。

そのベースになっていたのも住宅を中心とした不動産価格なわけで、この信用のシステムがバブルだったというのが、サブプライムローン問題。これがはじけてしまえば、金融機関はおカネをつくりだせないどころか、今まで、自分の信用でつくったおカネがパーなんだから、それは一挙に自分の負債になってしまった、というのが金融危機。

テキヤ経済

それで銀行がおカネをつくれなくなると、途端にあたしたちの生活は苦しくなることになっている。パチンコの引用記事は、銀行じゃなくて消費者金融なんだけれども、それは同じこと。生活が苦しくなるということは、可処分所得が減ることであって、なぜ可処分所得が減るのかといえば、おカネが減るから。

おカネが減れば、ないものは使えないのだから内需は減少してしまう。そうすると商品は売れない。だから、供給側はリソース(設備や人員)をもてあましてしまうことでリストラし失業者は増える。ふつう失業者におカネを貸してくれるところはないので、益々経済は収縮してしまう。ここではおカネは益々減っていこうとする。

金融政策の方々は、だから金利を下げるとかでおカネの供給量を増やせというのだけれども、金利は限りなくゼロに近く、マネタリーベースを増やしても、マネーサプライは増えない、というのが現状。「みんな」はぎりぎりで生活して残ったら貯金。デフレの時は現金持っているのが一番いい。

こんなときの解決策は、直接「みんな」の所得を増やしてやるしかなく、ではどうするかというと、政府が借り手(最終的な支払者)になっておカネをつくるしかない、というのが景気対策なわけで、それが減税とか公共事業のかたちで行われる。

それを借り入れ(国債の発行)でやると、政府には金利負担が発生するので、それは国民の負担であり、将来の増税を意味するということで、あんまり評判がよくない。ここで政府はジレンマに陥る。

では解決策はないのか、ということなんだけれど、それなら500円玉を山ほどつくればいいのよ(政府通貨)、極端なはなし、というのが酒の上でのあたしの実行不可能な提案(政府貨幣は製造原価だけで利子もなんいもつかないものね)。ただそのためにはデノミは必要かと。

それで減税と公共事業をやる、ついでに公務員の給料も500円玉で支払い、500円以下の買い物は消費税なしにしてしまう(テキヤ経済)。まあ日銀が買いオペしてもおんなじなんだけれど(たぶん)。以上、くれぐれも真面目に受け取らないように。

ところで、今日の株価は大きく下げるな(たぶん)。

※1 マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」

Tags: 貨幣

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年11月20日 08:05: Newer : Older

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