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2019年03月03日|お知らせ



『桃論』―中小建設業IT化サバイバル論 を読む―のか、今更。

『桃論』Web版『桃論』の再開

午前6時30分起床。浅草はくもり。『『桃論』―中小建設業IT化サバイバル論』のWeb化を再開した。昨日と今朝とで、とりあえず1エントリーづつアップしている。→Web版『桃論』

中断していたのは、ここで終わりでいいか、と思ってしまったからなのだが、しかし一昨日の酒の席で、桃組以外の方には、イントラネットの「ミーム論」的使い方が理解されていない(それは当たり前なんだ)ことに気付いてしまったのだ。

それで(ニーズは少ないだろうけれど)、続き(IT化の技術論の部分)も、オープンにしておくことにした。

絶版『桃論』

『桃論』は既に絶版で、あたしの手元にも2冊しかない。しかしAmazon では中古で安く手に入るので、手元にない方は、是非、ご購入いただいて、紙に印刷された活字でも読んでいただきたいのである。

縦書きと横書きでは、読むときに使う脳みそが違うのであって、あたし的は、これは縦書きで読んでほしい――つまり想像力を働かせてだ。なぜ想像力を働かせなくてはならないのか、といえば、それはこの本が書かれた時代背景ゆえのものだといっていい。

最初から遅れてきた『桃論』
もっと遅れていた中小建設業

「『桃論』は、既に、間に合わないものかもしれない」と(あたしは)公言していたけれども、意に反して、地場の建設業の方々は、けっこう呑気に構えていた時代に『桃論』は書かれたのである。それはISOやらなにやら、まだまだ、中小建設業が経営に投資できていた時代だ。

けれども、そんな英米流経済システムの手先のような技術論で、地場の中小建設業は救えない、というのが『桃論』の基底にはあって、それは自分で自分の首をしめていることでしかなく、ただ淘汰のスピードを速めているだけだと。その「間に合わなさ」を、建設業を経営として成立させながら、どうしたら間に合うようにできるのか、と考えたのが『桃論』なのだ。

それはオルタナティブをもつことの必要性の強調だけれども、『桃論』は最初から遅れてきた者であることは否めないし、そんな『桃論』よりも、さらに遅れてしまっていた中小建設業の未来は、最初から真っ暗だったのかもしれない。

オルタナティブ

けれど、あたしが地場の中小建設業を擁護してきたのは、それが「町内会的」を、経営においても、地域コミュニティにおいても、具現化できる唯一の産業的共同体だったからに他ならず、なぜなら、地場の中小建設業は、日本型資本主義(つまり「開発主義」)が生み出したものであることで、欧米流の金融資本主義に抵抗できる、最後の存在だと考えていたからだ(グローバリズムとは日本型資本主義の淘汰が目的だと)。

つまり遅れていた者であることで、公共事業という産業は、欧米流の金融資本主義からは、破壊のターゲットにされたけれど、遅れていたことで、オルタナティブとしての日本型資本主義の特徴を残していたということだ。

そのことは、昨日書いたように、『桃論』も、「少し古い本を読んでみるといいよ」なのだとは思う。それは(英米流の金融資本主義が破綻した)今の時代なら、思考的に、欧米を絶対視するバイアスがとれている可能性が高いので、(今読めば)以前とは違った印象や、感想を得ることができるかもしれないし、新しい発見ができるかもしれない、ということだ。

もちろん『桃論』を書いた頃のあたしと、今のあたしは違うわけもなく(テクストは今の方がずっとましだとは思うけれど)、護持すべきは「パトリ」なのである。ただ『桃論』は、IT化を主題として扱ったものであることで、今となっては古臭い部分が目立つ(特にIT化の技術論の部分、それが更新を止めていた理由なのだが)。

Being Digital

今、『桃論』のようなものを書くなら、それはITの枠を越えて、もっとラディカルで、さらに町内会的なものになると思うし、それには自分自身も興味があるけれど、(たぶん)書かない。

今のあたしは、一日に数個の、横書きの断章を書くことを日課にしている。そのテクストをして「それが私だ」 とは断言はできないし、絶対にそうは言わない。けれど、『Being Digital』(@ニコラス・ネグロポンテ)に感化されてこの世界に入った者としては、こういう収まり方(ビットになっていく)しかないのじゃないのか、と思っていたりする。つまりあたしは、新しい『桃論』を毎日書いている(つもりなのだ)。

『桃論』は5000部ほど売れたけれど、ちゃんと読んだ人は1割未満、というのがあたしの予想だ。それは、毎日書いている新しい『桃論』(つまりこのサイト)もそんなもんだろう、ということだ(毎日1000~1500のユニークアクセス、2000~4000のページビューがある)。

ただデータベース的に機能するという点においては、Webの方が優れているだろうと。唯一の不満は縦に書けないことだけれども。だから縦に書きたいという(つまりなんらかの書籍化)という欲望はまだあるわけだ。

Tags: 建設業 ,

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年10月20日 07:38: Newer : Older

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コメント

札幌市中央図書館にも蔵書してあります。
http://www.city.sapporo.jp/tosyokan/

投稿者 嵐を呼ぶ男 : 2008年10月20日 08:18

>嵐を呼ぶ男さん

寄贈ありがとうございました。
札幌の方は、札幌市中央図書館を是非ご利用ください。

投稿者 ももち : 2008年10月20日 16:35

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