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2019年03月03日|お知らせ



道路財源から地方へ1兆円とグリーンスパンの反省と厚生経済学の基本定理 。

FRB前議長「100年に1度の津波」 金融危機で議会証言

グリーンスパングリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は23日、下院の行政改革・監視委員会の公聴会で、金融危機について「100年に1度の津波」と発言。「信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の証券化商品に内外の投資家から過剰な需要が集まったことが問題の核心」と語った。

グリーンスパン氏は2006年1月まで18年FRB議長をつとめた。前議長は「需要の爆発的増加で多くの金融機関が証券化商品を『組成すれば売れる』と信じた」と指摘。住宅価格の上昇期待に基づく証券化商品への需要増がバブルを生んだとの認識を示し、「今後、大量のレイオフ(一時解雇)や失業率の大幅な上昇が避けられない」と語った。

同氏の政策運営に関しては、03年―04年の超低金利政策、デリバティブ(金融派生商品)や押しつけ的な貸し出しに対する規制の先送りなどの批判が根強い。「あなたは間違っていたのか」との質問に対し同氏は「(デリバティブの規制緩和に関しては)部分的にはそうだ」と発言した。(00:28) NIKKEI NET

午前5時30分起床。浅草は雨。時より強く降る。グリーンスパン氏の「反省」の弁は今更なものだし、自由市場絶対論の伝道者であるグリーンスパン氏こそが、1933年に始まったニューディール政策以来、最大級の(政府の)市場介入を導いた張本人なのかもしれないが、まあそれはどうでもいい。

厚生経済学の基本定理

エコノミストは「市場」というものがある、ということを前提にしている。そこは市場メカニズム(市場原理)が働く、あたかも自明で確定した社会システムなのである(ということになっている)。そのシステム原則は「厚生経済学の基本定理」と呼ばれていて、その「原則」(と対の関係にある「例外」)は以下のようなものだ。

原則(一般均衡論) 例外
組織された市場 相対取引
完全競争 不完全競争、交渉、談合
市場普遍性 市場の失敗、欠陥
分権的意志決定 インセンティブ非整合性、監視と統制
資源配分の効率性 不平等が生み出す非効率性
情報効率性 情報の攪乱(ノイズ)
リスク分散・分担 リスクの生成(バブル)
所与のルール ルールをめぐる闘争

今が「例外」なのではなく、いつも「例外」なのである。

結局、今の状況というのは「原則」の崩壊なのであって、グリーンスパン氏は意識的に住宅バブルという「例外」をつくりだしたことで「厚生経済学の基本定理」的に「戦犯」なのだ。それじゃ、つくらなかったらどうなったのか、というのは誰もわからないのだから後出しじゃんけんは反則なのである。まあそれはともかく、経済というのはいつも「例外」に溢れていると考えていた方がいい、というよりも、「例外」で経済は動いている。

限定経済学それは市場原理が機能しないから自動的に生まれたものではなく、そもそも経済は「例外」で動いていたものであるからだ(そこから「自生的秩序」をハイエクは類推したのではないだろうか)。

「厚生経済学の基本定理」的経済的交換というのは、あたしたちが行為連関的に行う社会的交換の特殊純粋モデルであって、それはユートピア論でしかないと(あたしは)思う。

経済のシステムは、リバタリアンの意に反して、政府や中央銀行の介入が意図的につくりだしたものが多い。それはあたしらがお金が好きだからこそ政治的に動くからでしかなく、グローバリズムというのも、じつは国民国家を基体にして、国と国の間の差異でお金を稼いでいるに過ぎなかったりする。つまり、ぜんぜんグローバルじゃない不完全競争、交渉、談合が(国ごとに)機能しているからこそのグローバル市場は機能するのだ。

今回のグリーンスパン氏の証言は、「例外」の一部は私がつくった、と言っているようなものであって、それはグリーンスパン氏が自由市場絶対主義者ではないからでななく、むしろ「市場」において「厚生経済学の基本定理」が働くためには「例外」的に動かなくてはならない、と考えた(非合理性を孕む)「普通の人」だからだろう。

もっと穿った見方をすれば、米国経済は、きわめて「例外」的に機能させ、そもそも「例外」の国だった日本をはじめとするアジア諸国を「原則」の国にすることで、差益を稼ごうとしたのかもしれない。 

道路財源から地方へ1兆円 首相、追加経済対策で指示

記者の質問に答える麻生首相=23日夜、首相官邸

首相は23日、自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男両政調会長、与謝野馨経済財政担当相と会談。

  1. 道路特定財源から約1兆円を地方自治体への臨時交付金に回す
  2. 住宅ローン減税を過去最大(控除額上限500万円)規模にする
  3. 年末までに消費税を含む税制改革の中期プログラムを策定する-などを新たに指示した。

from 2008年10月24日 03時29分 (中日新聞)

道路財源から地方へ1兆円という贈与

麻生さんの「道路財源から地方へ1兆円」も、「厚生経済学の基本定理」では「例外」でしかなく(そもそもケインズ的なものは全て「例外」だと考えるのだが)、考えてみればグリーンスパン氏がやったこととたいしてかわらない(かもしれない)。だからといってグリーンスパン氏は失敗したのだから、日本はもっと市場にまかせるべきだ、というのは筋違いでしかなく、日本の政治経済システムが「厚生経済学の基本定理」に寄りすぎていた反動としての「例外」なのであるから、キアスム的には正常な行動だと(あたしは)思う。

普遍経済学ただこうして「原則」の否定が即「例外」に結びついてしまうのは、おまえさんの好きな「普遍経済学」的ではない、といわれるかもしれない。たしかにそれは「原則」/「例外」という二項対立の枠をを出ていない。

しかしそもそも「例外」は贈与の原理が働く「社会的交換」なのである。『与党は、追加経済対策を「生活対策」と位置付け(1)生活者の暮らしの安全(2)金融・経済の安定強化(3)地方の底力の発揮-の3分野について政策を列挙した。』をみればそれはわからるだろう。

であれば、生活者とか地方とは、純粋贈与の位置にあるのであり、少なからず「普遍経済学」的は機能する。けれども1兆円はいかにも少ない、と(ヘタレなあたしは)思うのである。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年10月24日 10:09: Newer : Older

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