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ぺるそな

鬼海弘雄(著)

2005年10月20日
草思社
2300円(税抜き)
 


午前6時45分起床。浅草は晴れ。鉄蔵さんから借りた本は『ぺるそな』という、浅草寺界隈に集う人を写した、鬼海弘雄さんの写真集だ。

浅草寺の朱塗りの壁を背景に、1973年から2003年まで、この本が「王」と呼ぶ人達を、白黒写真で紹介している。

登場している人々は、「浅草なら、まあ居るよ」、とでもいうような人達だが、浅草に住むあたしでさえ、(たとえ会ったとしても)話しかけることはないだろう。ただ写真集を見ては、「あー、この人知ってるよ」、とまるで他人事なのである。

personaタイトルは『ぺるそな』。これは第23回土門拳賞、2004年日本写真協会賞年度賞受賞作『PERSONA』の普及版として発売されたものだ。

「ぺるそな」=「ペルソナ」とは仮面である――が、ユングの用法を用いて、自己の外的側面の方がいいかもしれない。

例えば、周囲に適応するあまり、硬い仮面を被ってしまう場合、あるいは逆に仮面を被らないことにより、自身や周囲を苦しめる場合などがあるが、これがペルソナである。

この写真集は、正に『ぺるそな』だな、と思う。

しかし、そんなことを考えるのも面倒臭いな、と思う。別に嫌いな人達ではないのだが、ただ、この人達は元気にやっているのだろうか、とそんなことばかり考えながらページをめくるあたしは、いったいなにものなのだろうか。