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階級都市: 格差が街を侵食する (ちくま新書)

橋本健一(著)

2011年12月10日
筑摩書房
840円+税


階級都市: 格差が街を侵食する

午前6時10分起床。浅草は晴れ。東京限定(といっていいのか)都市論である、『階級都市: 格差が街を侵食する 』を読んだのだ。これは「下町」と「山の手」で、住んでいる人の収入、学歴から違うというものだが、下町に住んでいるあたしがいうのも何なのだが、いちいちもっともなので納得して読んでしまった。

「地域間の格差は拡大ている」と筆者はいうが、「そんなのは当たり前だろう」、とあたしは答えてしまうのだが、「当たり前」と考えていては社会学は成り立たない。富めるものは富める地へ、貧しいものは貧しい地へと振り分けられている現実をどう説明しようかと、理論、歴史、統計、フィールドワークなど様々な視点から「階級都市」の現実に迫っている「東京論」となっている。

あたしは面倒なので「東京の磁場」とよんでいるが、「山の手」「下町」といった歴史的な境界線は、人を自分のハビトゥス※1によって、(人を)より深く分断しているようだ。まさに「階級都市」の出現であるといえるだろ。

ただ面白いのは、この人の場合は居酒屋好きで、フィールドワークの最後に必ず近場の居酒屋を紹介してくれる。その居酒屋というのがいずれも下町テイストにあふれたもので、あたしとしてはなにかそこを読むとほっとするのだ。

※注記

  1. ハビトゥス:ピエール・ブルデューの言葉で社会構造が個人のうちに内面化されたものであり、一定のパターンのしたがった行動を生み出すような精神的な傾向、ブルデューの言葉では「性向の体系」のことである。