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2006年09月21日(木) 

公共事業はいまやババ抜きのババである。

自民党の新総裁に予定通り安倍晋三氏が選出された。今後は来年夏の参議院選挙に向かって、小沢自由党との対決姿勢を高めていくのだろうが、気になるのは公共事業費や地方交付税の扱いであって、結論からいってしまえば、公共事業や地方交付税を増やすという選択は、自民党にも自由党にもないということだろう。それはいまやババ抜きのババのようなもので、つまり良くて現状維持、悪けりゃさらに減る。

両党とも戦略姿勢は、改革を進めているのは我党である、ということしかない――この二つの党はほとんど区別がつかないぐらいに似ている――、少しでも旧体制的な「ばらまき」的姿勢を見せれば、そこを弱みとしてつかれてしまうことを恐れている。

つまり両党とも相手が旧体制派であることを強調したいのだが、これではこの国にもはや良質な保守勢力はないも同然であり、パトリも当然に消えゆくだけのものになってしまう。

(私がパトリの消滅を懸念するのは、それがお金儲けだけにインセンティブを求めない自立するこころの消滅と同義だからだ)。

しかしなぜそうなのかといえば、この国のぶれない軸である大衆のおかげであり、大衆(世間)は、「改革」(ということば)がなぜか好きなのである。それは嫉妬心が支配するような、ろくでもない素晴らしい世界である(と私は思うが、今更、どうしようもないのもたしかだ)。

大衆の望む「改革」は、自らには影響がなくて、公務員と公共事業にかかわっている奴らが困っているなと思える程度のもので十分なのだ(たぶん両政党ともこのあたりは心得ている。そして地元に帰れば帰ったで、建設業界に向けて利益誘導型の夢を切り売りしているわけだから、まあろくでもない)。(笑)

だから消費税の税率アップや増税のような大衆の身に降りかかることは選挙が終わるまではタブーなのである。冷静に日本の財政問題を考えれば、増税は今やらなくてはならないことのひとつだろうが、手をつけたら最後、選挙で負けることは確実なので手をつけられない。

だから安倍さんにしても、来年の秋以降から考える、と先延ばしを明確に表明しているし、小沢さんは5%のままでいいと云っているわけで、参議院選挙が終わるまでは消費税率アップのはなしはタブーなのである。

つまり、ぶれない軸である大衆に向けた「改革」は、いつでも歳出の削減に向けられるのであって、つまり公共事業費や地方交付税は減らす対象であり、増やす対象ではないわけだ。つまり公共事業費が増えることはない。

ここにパラメータがあるとすれば、それは「格差問題」だと思うのだが、ぶれない軸である大衆の関心が「改革」よりも「格差問題」に大きく傾けば、「配分」というケインズ経済学的な(それを旧体制とマスコミは呼ぶのだが、これもいかがなものか)政策が発動される可能性はあるのかもしれない。

しかしその可能性が小さいことは「格差社会の結末」に書いたとおりだ。

それから安倍さんになって気がかりなのは、入札制度への市場原理化がさらに進む懸念が大きいことだ(12チャンネルのカンブリア宮殿に出演していたとき、そのことを明言しておられた)。

それは結果的には、パトリ(信頼と読み替えてもよい)の益々の衰退を意味するだけであり、パトリなきところで、「美しい国」などあるはずもないのだが――今更地方選出議員の奮闘に期待する……気にもなれない。

投稿者 momo : 2006年09月21日 10:10 : Newer : Older

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