モモログ

うさぎやのシナモンドーナツ　525円

うちのすぐそばにあるダイマスは、スーパーマーケットと呼ぶにはぜんぜんスーパーじゃない小さな食料品店だけれど、浅草4丁目付近の内飯を支えているたいせつな店である。うちの普段の買い物も当然ここでしている。

あたしは食料品店（というか食品売り場）が好きで、浅草にいるときはほぼ毎日、ダイマスに通っては店内を一周し、ヨーグルトを買っている。

ダイマスはヨーグルトに関してはヘンな店で、ほぼ日替わりで変わったヨーグルトが入荷する。たとえばチチヤスヨーグルトやホームランヨーグルトで、それはいつもはない。ただ時々ある。だからほぼ毎日通うのである。

10日の日、いつものようにヨーグルトを買いにいくと、「シナモンドーナツ」と書かれたポップが目についた。

「シナモンドーナツといえば、夕張はうさぎやの商標じゃないか、それを名乗るとはけしからん」などと、爺的なひとりごとをいいながらそれを見れば、なんと、正真正銘うさぎやのシナモンドーナツじゃないですか。

「遠いところをよく来たな」と、あたしは古い友人の手をとるようにレジに向かった。そしてその夜さっさと食べた。ヨーグルトと一緒に。

翌日、またヨーグルトを買いにダイマスに行ったのだが、気になるのはシナモンドーナツの売れ行きであって、そくさくと売り場にいってみれば、まだ沢山在庫があった。

「うそだろう」と思った。

「うさぎやのシナモンドーナツだよ、これはうまいんだよ、夕張のお店に行っても買えない時もあるんだよ、なんでみんな買わないんだよ」と思うあたしは、なんならここで試食販売でもしてやろうか、とさえ思った。

（もちろんやらない。あたしにできることは、せいぜいこうしてブログに書くことぐらいだ。けれどうちの近所の年寄りがこれを読んでいるとも思えない）。

もっとも、あたしがこれを知ったのは、昨年の12月に馬渕さんからいただいたからであって、それまではあたしの〈世界〉に、シナモンドーナツは存在しないものだったのだ。

もしあたしが、その存在をしらないままダイマスでこれをみても、たぶん買わないだろう。売れ残っていても心を痛めることもないだろう。

つまり「たずさわる」というのはこういう心象をいうのだろうな、と思うのだ。つまり、知ってしまったからにはほってはおけないという心象である。

フードマーケット ダイマス
台東区浅草4-23-8
9:00～22:00　年中無休
TEL：03-3871-3611 ／ FAX：03-3871-3615
e-mail ： su-per@e-daimasu.com

[浅草グルメマップ]